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土地や建物の贈与と現金贈与の比較。有利なのはどっち?
1. はじめに
生前贈与を検討するにあたって、土地や建物の不動産を贈与するのと、現金を贈与するのでは、いったいどちらが有利でしょうか。
2. 不動産贈与のメリット
不動産の贈与は、現金の贈与と異なり、不動産を登記することで事実が立証されます。必ず証拠が残るので、法律的にも、課税上も安心です。また、賃貸収入を生む建物として賃貸アパートや賃貸店舗、賃貸ビル、駐車場などを贈与すると、その収益は贈与後はもらった人のものになります。将来の長きに渡って、収益を贈与していくのと同じ効果があります。
もちろん、贈与をしたので贈与税の負担はありますが、贈与をした人の所得が多い場合には、所得の少ない受贈者に賃貸経営での収益が移るわけですから、贈与をした人の所得税や住民税を減らすこともできるという、将来の相続税だけに限らず、所得税等の対策にもなります。
贈与の時に税金の対象となる評価額は、土地の場合には通常の取引価格(時価)ではなく、国税庁の定める評価方法である路線価方式及び倍率評価方式により評価した額となります。この路線価方式で評価した価額は、一般的に公示価格(国の鑑定した取引価格)の約80%程度とされています(一般的な目安ですので、詳細は、専門家に確認をおすすめします。)。
建物の評価額も通常の取引価格ではなく、国税庁の定める相続税評価額によると、固定資産税評価額によるとされています。この場合でも、新築の場合には建築金額の約50%から60%程度をなることが多いようです(詳細は、専門家に確認をこちらもお勧めします。)。
その他に、
- ① 貸宅地
- ② 貸家建付地
- ③ 私道等
については、さらに評価を下げることができます。
現金であれば、そのままの金額で評価されますが、不動産であれば通常の取引価格より低く評価されることもあり、贈与税を低くすることが可能です。そのため、不動産が有利と言えるでしょう。
3. 贈与税以外にかかる費用
しかしながら、すべてがメリットばかりではありません。不動産を贈与すると贈与税以外に以下の様々な費用がかかります。このことも考慮して決める必要があります。
- ① 登録免許税・・・不動産を登記するときにかかる登録免許税が、相続の時には固定資産税評価額の0.4%で済むにもかかわらず、贈与の時には固定資産税評価額の2%もかかります。
- ② 不動産取得税・・・相続の時には課税されません。贈与の時にはかかります。
- ③ 諸費用・・・契約書の収入印紙や司法書士などの専門家報酬がかかります。
現金の贈与には、かからないものばかりなので、メリットデメリットを考えなくてはなりません。
現金と違って、不動産は複数の人が1つの不動産を所有する場合には共有となります。贈与によっていったん権利関係が共有になると、売買したいとき、有効活用するときには、原則として所有者全員の同意が必要なので、のちのち揉めるような贈与の仕方は避けるのが賢明です。
現金と不動産贈与の相続税対策上の有利・不利を一覧にまとめてみました。
現金 | 不動産 | |
---|---|---|
証拠 | 残しにくい | 残しやすい |
手続き | 簡単 | 複雑、手間がかかる |
諸費用 | ほとんど不要 | 必要(高額なケースも) |
物価上昇時 | 不利 | 有利 |
物価下落時 | 有利 | 不利 |
将来への効果 | 贈与した金額のみ | 将来の収入を贈与と同様の効果 |
- 賃貸不動産を贈与すれば将来の収入を無税で贈与することができます。よって、収入が不安定な、もしくは低い若い世代へ先に引き継ぐことで、贈与した人も贈与された人も有利となる。
- 不動産の評価は、現金よりも低いのがメリット。しかし不動産の贈与にはコストがかかるデメリットと併せて検討をしてください。
- 事後、権利関係でもめることのないよう検討してから実行する必要があります。
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