演技力について 11 誰が演じているかでお話の結末がわかってしまう!? | 名古屋の鈴木のブログ

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(前回のつづき)
「だからテレビドラマはつまらないのだ」
その言い分は次のようだ。
 長谷川博己さん、木村佳乃さん、大島優子さんらは良いイメージキャラなので悪役は向かない、というか出来ない。たとえ最初、悪役、もしくは悪役側、または裏切り・・・とかを演じていても、最終的には良い人の役で終わってしまうはずだと。つまり、誰が演じるかで、お話の先が見えてしまう。最終回直前の裏切り(大島優子)だってどんでん返しの予兆に過ぎない、木村佳乃さんだって、それみろ、明墨正樹側だったじゃないか、結局、いい人で終わるんだよ、お話の結末がわかっちまう、だから日本のテレビドラマはつまらないのだ!
ということだ。
 まあ、たしかに、俳優女優のこれまでのキャラ、イメージがあって、そこから逸脱すると、かえって視聴者が戸惑うとか、ファンがついてこれなくなって離れるのが不安とかあるから、イメチェンする役は難しい。
もちろん、まったくないわけではなく、たとえば、関西テレビ「白い春」(2009年)では、阿部寛さんと遠藤憲一さん、大橋のぞみちゃんのトリプル主演のドラマだったのだが、阿部さんと遠藤さんが、これまでのイメージと真逆の演技を見せて話題になった。阿部さんは良い役がこれまで多かったが、はじめて刑務所上がりのアウトローな男の役を、また遠藤さんはそれまで悪役のイメージだったのが、このドラマでは小さなパン屋さんの善良な職人・経営者。ドラマはこのイメージを最後まで保って終わった。「アンチヒーロー」のように、正義側と悪役側がひっくり返るようなことはなかった。
もう15年も前の作品である。最近のドラマは、俳優女優のイメージに合わせて作られることが多いので、奇抜なことが起きず、確かにつまらないのかも知れない。
 芦田愛菜ちゃんが、「将来は、陰でいじめを操っているようなヒールな(悪)役もやってみたい」と抱負を語っていたが、重要な発言だ。これまで良い役しかやってきてない、健気でかわいい優等生、ちょっと親に反抗的な役も多いけど、それも、視聴者が共感できるような反抗期の役・・・そういう役ばかりの愛菜ちゃん。だから、最初、悪役でスタートしても、最終回では良い役に変化してしまう可能性も高い。
 最後まで悪役な愛菜ちゃんを、この評論家さん(?)は見たいのだろうか。愛菜ちゃんファン、にわかファン、日本中で大激論になりそうだ。
 そういう議論もあるのだが、さて、先が見えるからつまらないとは、本当にそうか? 一面的すぎないか?
     つづく