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島崎藤村 『初恋』

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今年の秋は雨の日が多く、以前は冬近くなっても半袖1枚で汗をかくほどの
陽気の年もあったのに、肌寒い日が多かったように思います。

雨の日は、昼間でも窓の外は薄暗く、雨だれの音や、濡れたアスファルトの
道路を走り去る車の音が聞こえてくると、ふとしたきっかけで秋の気配を感じ、
なぜか人恋しい様な、さみしい気分になります。

島崎藤村の『初恋』は、中学だったか高校だったか忘れてしまいましたが、
「島崎藤村_若菜集_初恋」と、テスト勉強のために暗記した記憶があります。
『初恋』という題名と、恋心を抱いている少女のことを少年が描写しているという
詩の内容に、なんだか照れくさかったのを覚えています。

今改めて読んでみると、淡い恋というよりも、少女の小悪魔っぽさが
垣間見られ、もう少し色っぽい様な印象を受けました。初恋の甘酸っぱさが、
小ぶりで少し酸味の強い紅玉りんごとイメージが重なります。

この詩を初めて読んだ時に、一番心に残っているのは、リンゴは秋が旬だ
ということでした。
わたしが子供の頃には既に、真夏以外はリンゴを売っていたからです。

当時のわたしはまだまだ、花より団子だったようです。

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佐藤春夫 『秋刀魚の歌』

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秋分の日を過ぎると、随分日が短くなりました。
夕方になり、お魚を焼く匂いがどこからともなく流れてくると、秋になったな…
と感じます。
 
佐藤春夫の『秋刀魚の歌』は、高校の国語の教科書で知ったように思います。
この詩を初めて読んだ時、かなしいような、切ない気持ちになりました。

報われない悲しい恋に苦しむ男性の孤独感…あの頃はわかりませんでしたが、
今再び読んでみて、「男の哀愁」という言葉が、思い浮かびました。

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『花のれん』


なぎぃの木 naggy イラストレーター 山崎豊子 花のれん 装画 装丁 明治 大正 昭和 大阪

本日10月2日から新しく始まったNHKの朝の連続テレビ小説「わろてんか」のヒロインは、
吉本興業の創業者の吉本せいさんがモデルだそうです。「笑い」を商業的に展開し、
大阪の産業の一つと言えるまでに発展させた人物のようです。

吉本せいさんをモデルにした小説や舞台はいくつもあるようですが、
山崎豊子の『花のれん』もその一つです。
この小説では、小さな演芸場一つの経営から、初代の通天閣を買収するまでに
事業を拡大していく女性、河島多加が主人公です。

さまざまな職業や境遇の人たちが行き交う、華やかな大大阪時代の道頓堀を、
小柄な女性が、人力車で颯爽と走り抜けるイメージを描きました。

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