https://www.youtube.com/watch?v=qpNxIRl8RrQ
いつも一緒に暮らしていて
空気のような 当たり前の存在となっていた夫
その人が 「胃癌」とわかった時
どこか 遠い所に行ってしまうようで
いなくなったらどうしよう と
大きな不安に 包まれた
その時 初めて
私は夫が かけがえのない存在だと
今さらながら 気がついたのだった
5月
夫は入院 手術を終えて
目下 自宅療養中である
胃の3分の2を失った夫は 今
食べるということに 四苦八苦している
少し食べると
何とも言えぬ圧迫感があったり
腹部の痛みに襲われる
今やっと 1日かけて
茶碗1杯分のごはんが
食べられるようになった
夫は何度となく 深いため息をつく
体重は6キロも減り
体力もなくなっている
この先 果たして仕事に
復帰出来るかどうか
夫は希望を見い出せずに
いるのかもしれない
そんな夫を 土曜日になると
助手席に乗せて
私は車を走らせる
森林浴と 温泉浴で
少しでも 夫に元気になってほしい
そして 気分もリフレッシュしてほしいから
ドライブの途中で 出会った花々
この頃 通っているのは亀嵩(かめだけ)の玉峰温泉
ここに店を出す 都会からIターンされた
パン屋さん(アルムリーノ)のご夫婦と知り合った
いつも夫のからだを気遣い アドバイスをくださる
玉峰温泉の近くにある 望が丘ふるさと公園にも
足を運んだ
美しい彫刻の像が設置された 急斜面を
夫が登ることは 今は出来ないが
元気になって 丘の上に立てる日を
夢見ている
昨日は 鬼の舌震(したぶるい)に行った
木漏れ陽の中を 歩く
そして平成24年に架けられたという
長い吊り橋を 渡る
渡り切ると 夫は「ここまでが やっと」と言う
先はまだまだ長いけれど
そこまで歩けただけでも 凄いことだ
温泉でからだは温もり
きれいな空気を吸いながら
すばらしい緑の中を 歩く
おなかが空けば
ごはんもおいしく食べられる
こうして 毎日
一歩一歩 元気になっていく