https://www.youtube.com/watch?v=zH8ZwCxdlcg
心の中のどこかに いつも風吹きすさぶ
湿原の風景がある
もの心ついた頃には 眼前に
広がっていた湿原 アシの原
何十年か前には 田であった土地なのに
いつしか湿地になって アシやガマが生い茂り
今も 田を侵食しながら
面積を 広げ続けている湿原が
実家の前に広がっている
ここは 幼い頃から親に
「底なし沼のように埋まるから 絶対に行ってはいけないよ」
と厳しく言われ 底なし沼だと信じていた
湿原の中にある自然の池は 平地からは見えないが
少し高台にある 実家の2階からは
見ることが出来た
望遠鏡でそこを見ると
たくさんの鳥が集まり 鳥の楽園のようだった
あの池まで行ってみたい
そんな思いが 私にたびたび湿原を歩く夢を見せた
嵐の吹き荒れる日 湿原のアシたちは
風に大きく揺れ動き 同時にアシたちも風を生んで
湿原全体が 荒れ狂うさまを
窓際で 長いこと見ていたものだった
また 11月初めの早朝
凄まじい猟銃の音と 猟犬の鳴き声に
驚いて眠りから覚めたものだった
それは 野鳥の猟が解禁になる日なのだった
湿原は 恰好の狩場となった
実家から離れても 湿原の風景は
ずっと私の心のどこかにあって よく夢を見た
池を 鳥瞰図的に眺めていて
その池に 大きな魚がたくさん泳いでいるのを見たり
湿原の中に 小さな家を建てて住んでいる夢も見た