日野川に網を仕掛けて獲ったという
川ガニを たくさんいただいた
発泡スチロールの箱の蓋を開けると
元気なカニたちが うごめいている
カニは私の大好物だ
川のカニって どんな味がするのだろう
楽しみな夕食となる
大鍋に 湯を沸かす
グラグラと煮え立った
その中に カニを入れなくてはならない
カニは・・・と見ると
もうすぐ茹でられるなんて
夢にも思わずに アワを吹き
箱の中で呑気なものだ
長い箸で カニを掴もうとすると
凶器のハサミを振り上げて
応戦の構え
そして 箸を掴んで放さない
その隙に 箱をよじ登って
逃亡を企てるカニもいる
1匹たりとも 私の手にかなうヤツはいない
ツワモノぞろいだ
そして カニの必死の抵抗を見ていたら
煮え湯の中に このカニたちを
入れる勇気がなくなってしまった
かと言って 夜の日野川に
カニたちを放しに行く気にも なれない
息子を呼んだ
「お母さん恐くて カニを鍋に入れられない」
と言うと「何で?」とあきれながら
上手にカニを捕まえて
ポイポイ大鍋に入れた
カニはあっと言う間に
色鮮やかに変化した
後は食べるしかない
甲羅を開けると
味噌と卵がたっぷりで
とても美味だった
私が一番たくさん食べてしまった
でも 心の一部が痛んだ
たらふく食べておいて
こんなことを言っても 後の祭りだが
おいしいものを味わうために
また小さな命を奪ってしまったことに
申し訳ない思いが残った
今も横歩きで すばやく逃げようとする
カニたちの愛すべき姿が 脳裏に残っている
※ このカニはおそらくモクズガニだと思われます。
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