母との墓参り | nagarenotokiのブログ

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四季折々、自然の姿に感じること

 

https://www.youtube.com/watch?v=j_xmzrdMTrE

平成9年9月19日午後9時
これが 父が天に帰った日時である
生前「9」という数字を なぜか嫌がっていたという父
何かを予感していたのだろうか
奇しくもその数字の並んだ時に
父は逝ってしまった
あれからもう 18年の時が経った

墓参りをしようと 母のご機嫌をうかがいながら
電話をすると 母は父の命日を
すっかり忘れていたと言う
稲刈りやら 畑など
目の前の忙しさに 追われていたと母は言う
「ほんなら墓参りをせんといけんなぁ」との
ちょっと事務的な母の声が可笑しい

実家に行くと まずいつものように
庭の植物の写真を写す
芭蕉の 何メートルもある巨大な葉が
風に大きくたゆたう

 

竹のざわめきも聞こえる
その中に 古い竹が関節を鳴らすような
パキパキという音が混じる
朱色の紋をつけた黒アゲハが
ノウゼンカズラの残りの花に 優雅に舞い下りた

母と墓へと上がる
実家の周りについている長い参道を
母は時々 上から下まで竹箒で落ち葉を掃き下ろすと言う
「人様のために」などと母の口から出るのも
ちょっと不思議な気になる
途中 小さなヘビと遭遇
体をS字状にしてピンピン速く動く
私は大人げもなく キャアキャア叫び声をあげた

墓では蚊の総攻撃が待っていた
常に蚊が手足にまとわり付く
蚊を追い払うことが 精一杯の私に
母は「何をしてる。草でも取らんか」と言う
草らしきものは見当たらない
よくよく見たら1cmほどの草が たった3本目に入る
きれいに掃き清めた上にも また箒をかける母
母は蚊など 全く問題にしていない

父が命を天に還して18年
その間に弟家族は 実家を出て別居した
祖父も7年前に亡くなった
母は1人暮らしとなったが
こんなに元気でいてくれる
その事が 本当にうれしい
父は空から 微笑んで見ているのだろうか
それがわからないのが  もどかしかった