$@nagam

6月27日(日),京大時計台にて「超交流会2010~みんなのクラウド」が開催されました.私にとって,この会は同窓会会長として最後の仕事となります.

交流会当日は,会場担当として,ずっとアタフタと走り回っており,セッション等もほとんど見ることはできませんでした.ビールサーバを持ってきたのはいいけど,肝心の氷を買い忘れたりと,不備も多々ありました.

けど,そんな中でも,いろいろな方との交流ができました.今回の超交流会で一つ学んだことがあるとすれば,それは,「交流のうまい人,人脈の広い人は,笑顔が素晴しい」ということでした.去年の超交流会でも感じたことですが,交流の達人(超交流人)とお話していると,その笑顔に引き込まれて,こちらもついつい笑顔になってしまいます.そんな笑顔が出せるのはなぜかと考えると,それは,「会う人はすべて味方」という思考ではないかと思いました.

たとえば,ジャンルの近い研究者同士の交流では,互いに相手を「ライバル」と見て,笑顔で交流というよりは,「なめられたらあかん」的な雰囲気になります.このような雰囲気は,辛いけれども,相手と論争し,それが刺激となって,新しい研究が生まれるという面があり,一概に悪いとは言えません.しかし,そのような環境に慣れてしまうと,「会う人みな敵」という考えに至ってしまい,孤高の戦士とならざるを得ません.

孤高の戦士となってしまうと,それは全てのことを自分一人でやっていかなくてはならないという,非常に辛い人生になります.大天才であれば,そのような生き方で途方も無い仕事を成し遂げることも可能でしょう.しかし,そのような人はほんとうに稀で,やはり人と接して,協力し合うということが大切になります.

笑顔で人と接する→人脈が広がる→仕事で成功する→さらに笑顔になる

という正のフィードバックが「人脈の達人」になる秘訣ではないでしょうか.

@nagam-book

本棚整理するついでに、今年(2009年)発売の本の中から、5冊面白かった本をピックアップしてみた。今年は、特にインターネット関係の本、および確率統計関係の本を多く読んだので、その関連の本が多くなった。なお、以下のランキングはまったく私の主観であり、万人受けする本ではないかも知れない。

(1)ブラック・スワン、ナシーム・ニコラス・タレブ著、ダイヤモンド社
今年、一番面白かった本。統計学における「外れ値 (outliner)」の本質をついた本である。私の生き方にも少なからず影響を与えた。なお、私の過去のブログ も参照してください。
ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質
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(2)デジタルネイティブが世界を変える、ドン・タプスコット著、翔泳社
デジタルネイティブという言い回しが今年は流行した。デジタルネイティブ(ネット世代)の生き方・考え方を徹底的に調査し、考察した本である。大学教員としては、デジタルネイティブに対する教育に関する第5章が最も興味深かった。
デジタルネイティブが世界を変える
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(3)クラウドソーシング、ジェフ・ハウ著、ハヤカワ新書
上記デジタルネイティブのネット上での活動の一つ、wikipedia や youtube での投稿活動に関する本。ここで、クラウド (Crowd) とは「群衆」の意味であり、クラウドソーシングとはネット上における「群衆の知恵」をビジネスに活用するモデルである。このモデルの成功例と失敗例をあげ、クラウドソーシングのパワーを説いている。上記(2)および、次の「FREE」とともに読みたい。
クラウドソーシング―みんなのパワーが世界を動かす (ハヤカワ新書juice)
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(4)FREE、クリス・アンダーソン、NHK出版
クラウドソーシングを含む、ネット上の「無料」を取り入れたビジネスについて詳細に書かれた本。ビジネスに取り入れようとする「売る側」の人にとっても有益であるが、「買う側」の人間にとっても「無料」の背景がわかり、買い物の際に役立つ。私の過去のブログ(1)ブログ(2) も参照してください。
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
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(5)目立つ力、勝間和代著、小学館101新書
このブログを書き始めるきっかけの一つになった本。普通のブログの書き方本と違うところは、ブログを書くことを目標とするのではなく、「目立つことによって、人生を変えること」を最終目標にしているところ。その目標に向けて、具体的なブログの書き方が示されている。
目立つ力 (小学館101新書 49)
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@nagam-blackswan

先日のブログ で、非常に低い確率の事象を確率0と誤認識してしまう話をした。このような事象に、ナシーム・ニコラス・タレブは黒い白鳥 (Black Swan) という印象的な名前をつけている。「白鳥は白い」という命題は、たった一匹の黒い白鳥が見つかれば反証される。黒い白鳥とは、このように、確率はとても低いが起これば相当なインパクトを与えるような事象の総称だ。

先日のブログの自動車事故の例は、黒い白鳥の好例である。つまり、黒い白鳥とは、我々が思わず「信じられない!」と叫んでしまうような事象なのだ。そして、それが起こった後に、黒い白鳥には「しかるべき説明」が加えられ、「信じられない」から「起こるべくして起こった」に変化する。これも黒い白鳥の特徴である。

黒い白鳥は、原理的に予測不可能である。なぜなら、予測可能な事象なら、それは「信じられない!」とはならないからだ。予測不可能になる原因は、ものごとを単純に法則化してしまうことにある。しかし、これは人間の本能でもある。車の免許をとってから、5年間無事故無違反であったとしよう。すると、「自分には車の運転の才能がある」と思ってしてしまう。実際には、5年間何もなかったからといって、今後も何もないとは限らない。裏付けとなる事実をいくら集めても、黒い白鳥が一羽飛んできただけで、その法則は崩壊するのである。

黒い白鳥は悪いことばかりではない。良いほうの黒い白鳥も存在する。例えば、本のベストセラーやベンチャー企業の成功などである。今の時代、本を書くことやベンチャー企業を起こすことは、それほどリスクの高い行為ではない。本業のかたわらでもできる。捨てるつもりで、そのような低いリスクをあえてとって、万が一黒い白鳥が飛んできたら、それはとても嬉しい「信じられない!」なのである。

上記のような考察から、タレブは、両方の黒い白鳥に備えるために、次のようなアドバイスをしている。すなわち、良いほうの黒い白鳥に対しては積極的に、悪いほうの黒い白鳥に対しては保守的に「ブラックスワン」、第19章)。「保守的」というのは、最悪ケースを考慮することだ。例えば、交通ルールを遵守することは、悪い方の黒い白鳥に対する防御である。なぜなら、万が一事故を起こしても、被害は小さいと考えられるし、相手がいた場合の補償金等の面でも有利だからだ。

いっぽう、良いほうの黒い白鳥を呼び寄せるには、積極的な行動が必要である。日本のことわざに「チリも積もれば山となる」というのがある。これをタレブ風に解釈すれば、「チリはいくら積んでもチリだが、もしかしたら黒い白鳥が飛んできて、大山となる可能性がある」となるだろう。ブログを毎日コツコツ書くのも、良いほうの黒い白鳥を引き寄せるためのリスクの少ない積極的な行為である。



ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質
ナシーム・ニコラス・タレブ
4478001251

ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質
ナシーム・ニコラス・タレブ
4478008884

まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
ナシーム・ニコラス・タレブ
4478001227