@nagam-wikipedia

Wikipedia はとても便利なサイトである。
知らない単語があると、まず wikipedia で調べる。
英語版と比べると、日本語版の記述はまだまだ貧弱であるが、
それでも項目数は膨大であり、何かしらの情報が得られる。

たとえば、wikipedia で「ジミー・ペイジ 」という項目を調べてみよう。
彼の経歴から、使用機材、エピソードなどが書かれており、
ジミー・ペイジという人のおおよその情報が得られる。
なお、英語版 wikipedia の Jimmy Page の説明には、
かなりマニアックなところまで書かれており、このページだけでお腹いっぱいである。

こような Wikipedia のコンテンツは、
ユーザーの自発的な無償の労働により成り立っている

ジミー・ペイジの項目を記述し、編集している人は、
おそらくほぼ全て、「ジミー・ペイジに関心がある人」であり、
ジミー・ペイジの記述(宣伝)をすることにより、お金が儲かるたぐいの人、
例えば、音楽レーベル関係の人はごく少数と思われる。
すなわち、時間と手間をかけて wikipedia の項目を編集しても、
お金は一銭も入ってこない人が中心となって編集しているのである


なぜ、このように、人はウェブ上で無償の労働をするのか?
今回のブログでは、これについて考えてみたい。


この問題に関しては、最近出版された書籍、「FREE」(クリスアンダーソン著、NHK出版)に
参考となる記述がある。

私たちが報酬なしでも喜んですることは、給料のための仕事以上に私たちを幸せにしてくれる。
(「FREE」 p. 251)

そして、この説明として、マズローの欲求段階説 を用いて、
ウェブでの無償労働は、欲求段階の最上階、すなわち自己実現の欲求
を達成するためであると述べている。(P. 251)

しかし、この「自己実現の達成への欲求」よりもひとつ前の段階、すなわち、
承認(尊重)の欲求」が、まずは、モチベーションとして大きいのではないか、とも思う。

Wikipedia に投稿したり、オープンソフトウェアを公開したり、
自分のバンドの音楽を無料でダウンロード可能にしたりする。
そのような無償労働を行おうとするとき、われわれは、

 ・コミュニティの間で名声や注目を集めたい (承認の欲求における「低いレベル」)
 ・オープンにすることにより、自分の能力を高めたい (承認の欲求における「高いレベル」)

という欲求を満たすことを目指しているのではないだろうか。
このような欲求がモチベーションとなり、まずは、ウェブ上で自分を表現していく。
そして、コミュニティの間で承認や尊重が十分得られた次の段階として、

 ・自分の専門的知識・技能を与えることにより、コミュニティの繁栄に貢献したい

という最終段階の欲求(自己実現の欲求)が生まれるのではないか。
この欲求が満たされてはじめて、無償労働の本当の幸せが得られるのだと思う。


私たち初心者がこの段階まで進むには、とにかく日々精進して、
自分の知識、アイデア、発見を世界に公開していかなくてはならない。
現段階では、低い欲求のレベルかもしれないが、
究極の目標、すなわち自己実現の達成にむけて、頑張りたいと思う。


フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
小林弘人
4140814047










.