近頃、なでしこリーグの選手がドイツやイギリスの女子リーグで活躍している。

これは、国内リーグでは、どうしても仕事との兼業が避けられない一方、海外移籍をすると、協会から手当として1日1万円が支給されるからだ。

年間でも360万円。金満のサッカー協会からすると、この程度の出費は痛くも痒くもないはずだ。

東日本大震災に被災した日本を勇気づけたのは、なでしこジャパンの世界一だった。

その功績から考えれば、この程度の優遇措置はあって当然である。

それを有効に活用している選手としては、大儀見、安藤、永里、岩渕、大野、近賀、田中明日菜など。

これからも多くのなでしこリーグの選手が海外を経験することは良いことである。

是非、より多くの選手に海外を経験してもらいたいと思う。

話は変わるが、海外移籍には語学が重要である。

例えば、安藤がドイツリーグに長く在籍できているのは、彼女がドイツ語ができるからだと思っている。

彼女であれば、ビジネスシーンでの英会話もこなせそうな感じだ。

この点、その他の選手はダメで、大儀見は英語はいけるが、ドイツ語はイマイチ。岩渕、田中明日菜は言うに及ばず。大野に至っては、「なぜ、フランス人は日本語を話さないのか?」という迷言を吐いて帰国。

もう少し語学を磨いて頂きたい。
INACへ来季から鮫島が加入、田中陽子はノジマステラ、GKの武仲はベガルタ、礒金はジェフへ移籍となった。

その他にも、エルフェンから伊藤香菜子、アーセナルでプレーしていた近賀、大野を加入させるなど、2015年に向けた補強を行っている。

が・・・

はっきり言って、この補強に意味はあるのかと思う。チームの成長を図るのであれば、若手を大事に育てなければならないはずなのに、育成面でのINACは本当にどうしようもないチームである。

今年、なでしこリーグで上位を占めた浦和レッズ、日テレベレーザは世代交代がうまくいって、まったくフレッシュなチームに生まれ変わった。

レッズは昨シーズン、降格の危機に見舞われた。主力が大量に抜けたのだから、致し方ないのだが、そういう事態に陥っても持っている戦力を育てることを優先させ、安易な補強に手を出さなかった。

猶本も皇后杯はけがで出場機会がなかったが、メンタル面に難があるものの、チームの中心に成長した。このブログでも再三指摘してきたが、昨年・一昨年の猶本はチームにフィットせず、どうやっても使えない選手だった。

それをここまで育て上げたチームスタッフの力量は賞賛に値するだろう。

それはベレーザも同じである。ベレーザは澤や近賀、大野などがINACへ移籍した後、チームを立て直したが、そこからさらに岩渕、永里、木龍、伊藤香奈子の中心選手が移籍。残った選手たちの平均年齢は21歳という状態だった。

リーグでは要所で取りこぼしがあり優勝には至らなかったが、皇后杯は取ることができた。

こちらも、昨年就任した寺谷の手腕も褒めなければならないだろう。正直、昨シーズン当初は、寺谷の采配にはかなりの疑問符が付いた。しかし、最終的には、チームの確固たる戦術を固め、皇后杯は無失点での優勝。見事という他ない。

それに比べると、INACはいったい何をやってるのか、本当に意味不明である。昨シーズン前半の低迷は仕方がない。しかし、後半は川澄や外人選手を入れても、まるで勝てていない。それで、補強としてベテラン選手を呼び戻す・・・

仮に来期、優勝できたとしても、その次はもうなくなるだろう。

澤は既に30半ばを過ぎている。川澄、近賀、大野なども今後は衰えることはあっても、上がり目はないだろう。特に大野は、年齢のせいか、現段階ですでに運動量が以前と比べてかなり落ちている。川澄だって、今のような無尽蔵のスタミナや日本トップのスピードをいつまでも維持できるわけではない。

そうなると、だれが次世代のINACを支えるのだろうか?

INACの選手に基本的に生え抜きはいない。基本的に大半は、ベレーザからの移籍組で、今年は監督まで元ベレーザ(松田監督)である。もう少し、まじめに育成というものを考えてもらいたいと思うのは、私だけではないだろう。
INAC神戸 0 - 1 エルフェン埼玉

INACは以前のような絶対的な強さがなくなった。原因は言わずと知れた選手の大量流出である。川澄、ゴーベルヤネズ、近賀、大野、田中明日菜、チ・ソヨンなど。確かに前田は「持っていない」監督であり、采配に疑問符が付くところはあるかもしれないが、現在のチーム編成を見ると、一概に、監督のせいとは言い切れない面も多い。

ただ、この状況になって、一つ明確になったところがある。それは、京川舞の正当な評価が明らかとなったということだ。現在、京川はサイドアタッカーとして出場しているが、スピード・パワーとも物足りず、シュート力もいまいち。卓越したドリブルテクニックがあるわけでもない。要は、まだまだの選手である。

私は、常盤木時代から彼女を見てきたが、京川は大体、このくらいの選手である。そして、現在の彼女の扱いを見ると、INAC人気が落ちてきたこともあって、特別ちやほやされているわけでもない。非常にまっとうな扱いを受けていると思う。

しかし、この京川をオリンピック代表としてゴリ押ししようとした愚か者がいる。それが星川敬だ。当時、京川はINACのフィニッシャーとしてレギュラーポジションを獲得していたこともあって、得点を量産していた。ただ、そのシュート内容は、いわゆる「ごっつぁんゴール」がほとんどだった。それを星川は代表にごり押しし、佐々木も最終候補までは残した。ただ、アルガルベでその京川を見切り、その後のけがもあって、京川は代表候補に名を連ねていない。

仮にも日本の代表候補なのだから、えこひいきとか自信の名誉のために選手を犠牲にするようなことは避けるべきである。その最大の犠牲になったのが京川と言えなくもない。

サッカー選手にとって過大評価はむしろかわいそうだ。最近、まったく名前を聞かなくなった星川敬であるが、彼が女子サッカー界に関わることがない事を願ってやまない。
なでしこジャパン 1 - 0 オーストラリア

なでしこジャパンが初のアジアカップを取った・・・といっても、既に世界の頂点に立っているなでしこにとってみれば、単に「アイテムの取り忘れ」のようなもので、戦績としては、それほど深い意義はない。

ただ、この大会で若手に貴重な出場機会を与えられたという意義は大きかっただろう。

まず、この大会を通じて、一番大きい収穫は川村である。当初はCBとして息の合わないところもあったが、決勝では危ないところを何度も防いだ。まだ、岩清水や熊谷と比べてアラはあるものの、守備の意識の統率が図れるディフェンダーが増えた面は心強い。決勝では、岩清水よりもディフェンス面で目立っていた。

また、川村はサイドバックもできる(というより、もともと左サイドバックである)。左サイドバックの候補としては、上尾野辺もいるので、この辺りのポジション争いも激しくなるだろう。今後の成長次第では、ビジュアル面だけが映える鮫島よりも、はるかに使える存在になるかもしれない。

対して、攻撃面はまだまだ不安要素が多い。まず、澤の後継問題がある。やはり、澤がいるといないとでは、中盤の安定度が段違いだ。決勝の後半、澤は菅沢と交代させられた。将来的なことを考えれば、この交代自体はやむを得ない(澤は不満だろうが・・・)。ただ、やはり、中盤を組み立てる人材は、今の時点ではいないといってよい。

澤のような選手は今後、数十年は出てこないという見方もある。確かのそれはそうだろう。それほどまでに、澤穂希という選手は稀有な存在であることは間違いない。しかし、それでも新しいチームは作らなければならないし、いつまでも澤に頼っているわけにはいかないだろう。澤に代わる他の選手・システムを国際舞台で、どんどん試さなければならない。

だからこそ、丸山のような役に立たない選手を帯同させるべきではなかった。こんな余計な選手を連れていくほど、なでしこに余裕はないはずである。しかし、佐々木が何を期待していたのかは知らないが、毎回、「丸山桂里奈」という余計な選手が代表に名を連ねている。来年のW杯で、大野・安藤・丸山。この3選手は連れて行ってはならない。オーストラリア、中国など、他国が若返りを図る中で、なでしこだけが逆を行っている。

また、この大会で高瀬の処遇ははっきりした。途中出場した菅沢の方がFWとしてはるかに魅力的だとは、前回の記事で指摘したが、この決勝でも、それを証明してくれる形となった。まともに枠に行くシュートを打てない高瀬に対し、菅沢は短い出場時間でも、決定的なシーンを演出できている。

「体を張ったポストプレーで頑張った」と擁護する向きもあるが、高瀬のポストプレーは世界レベルでは通用しない。通用しないと見るや、じりじりとボールを下げ、バックパスするのだから、もはやFWとしての体を成していない。また、スピードも全くない。本来は代表レベルにはるかに遠いはずなのだが、佐々木のえこひいきによって使われ続けている選手である。

しばらく代表の試合はないようだが、澤の言うように、このままではW杯の連覇など夢のまた夢だろう。来年のW杯が始まるまで、有望な若手が出てくることを願ってやまない。
なでしこジャパン 2 - 1 中国

この試合、大変な激闘になったが、良い試合というよりは「泥仕合」だった。

まず、審判がひどすぎた。中国選手の悪質なファールに対して、きちんと対処しない。カードの数え間違いなどあり得ないミスだ。

また、中国選手が必死なのはわかる。しかし、テレビの解説でもあったように、ボールを見ずにヘディング、アフターファール、遅延行為と悪質な行為が目立ちすぎる。

これでは、アジアカップなど出る意義はない。選手を危険にさらすだけでかわいそうである。この準決勝ではW杯の出場権だけ得たら、早々に敗退したほうが、返ってよいかもしれない。その意味では、決勝の相手がオーストラリアなのは幸いである。

さて、この試合では、以前としてW杯組と控え組の差が目立つが、それでも川村、宇津木のDFラインの2選手がフィットしてきたのは収穫だ。宇津木は相変わらずピンチを招くパスがあったが、ミスしたらすぐさま自分でカバーする姿勢は非常に良かった。延長戦でも運動量が落ちず、パフォーマンスが良かった。今日のような出来なら、鮫島よりも使えるかもしれない。

他方、右サイドの有吉は良くなかった。この大会を通じて、有吉のパフォーマンスは良くない。なでしこジャパンには近賀という不動の右サイドバックがいるが、これでは近賀の控えとしても心もとない。CBの川村は中国の攻撃を体を張ってよく防いでいた。今日のパフォーマンスだと、熊谷とそん色ない出来だ。元来、DF面での層の薄さが懸念材料だったなでしこにとっては、心強い要素だろう。

攻撃面では、相変わらず高瀬の低調が目立つ。オープニング直後のシュートチャンス、ポストに入った時のパス制度の悪さ、スピードのなさと、先発させる意味がない。なにより、あれだけチャンスをもらって、1点も取っていないのはFWとして致命的だ。延長後半で良いプレーをいくつか見せた菅沢の方が、はるかに魅力がある。ワントップにするなら彼女を据える方が、得点の可能性が高いと思わせる。

中島はPKを献上してしまったが、これは交通事故みたいなもので、それほど気にする必要はない。その他のプレーも良くはなかったが、それでもこの選手は使い続けた方がよい。スピードもあるし、シュート力もなかなかだ。この試合だけで見限るのは惜しい。

今回、途中出場した選手で出来が良くなかった吉良と木龍だが、これは監督の采配が悪すぎる。。吉良はもともと途中出場で結果を出せる選手ではない。この試合のスタメンで川澄とコンビを組ませた方が良かった。FWとしては、高瀬よりも、はるかに魅力がある選手である。

木龍は、確かに良い選手なのだが、不器用な選手で、①目の前にスペースがある、②左サイド、という2条件を満たさないと高いパフォーマンスが期待できない。途中交代で右サイドに配置されれば、リズムも狂うだろうし、そもそも性格的に内向的で、思い切ったプレーというのが苦手な選手である。極論すれば、まだまだ代表レベルではない。

昨年、なでしこリーグで木龍は素晴らしい活躍をしたのだが、その原因の一つに岩渕真奈・永里の移籍がある。岩渕、永里がいたころは、木龍は左サイドのMFだったが、前列に岩渕がいたため、試合によっては完全に消えてしまうことも多かった。それが昨シーズンはトップに配置したところ、随所に好プレーを演出し、どの試合でも存在感を示すことができるようになった。木龍はドリブラーではあるが、相手を抜き去るフェイントができるような選手ではないので、中盤で活躍できる選手ではない。その意味では、代表では非常に使いづらい選手かもしれない。

GKの福本は、随所に良いセービングは見せた。確かにそれは認めるが、彼女に代わるGKを早く見つけないといけないことには変わりない。この試合では、ゴールキックがひどすぎる。キック力がないため、蹴ったボールがハーフウェーラインに届かず、中国選手へ渡ってしまい、ピンチをいくつもまねいた。それをセーブしていたのだから、ピンチを自ら招き、それを防ぐという、ある種のマッチポンプのようなことを繰り返していたともいえる。その意味では、山根の成長を待つか、若しくは他のGKを発掘しなければなるまい。

澤・宮間・川澄・阪口・石清水のプレーについては、もはや言及の必要はあるまい。澤のいなくなったなでしこはどうなるのか、大変不安にさせられる。また、この試合での川澄のプレーは、ひときわ目を引いた。確かに、120分を走り切るスタミナは驚かされるが、それだけではない。延長戦後半に入っても、あのスピード・テクニックを維持できるのは驚愕させられる。まさに、なでしこのダイナモである。

この大会で、オーストラリアに対しては引き分けたままだ。幸い、オーストラリアは中国・韓国のようなラフプレーはないだろうから、是非、勝利を目指して頑張ってほしい。