『来る』ネタバレ感想 | Nシネマ

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昨年はネタバレ感想に変更したせいか、ついつい感想が長くなってしまいました。

注意しますw

 

 

さて2019年最初の映画は、こちら。

原作は未了です。

 

 

 

●あらすじ

幸せな新婚生活を送る田原秀樹(妻夫木聡)は、勤務先に自分を訪ねて来客があったと聞かされる。取り次いだ後輩によると「チサさんの件で」と話していたというが、それはこれから生まれてくる娘の名前で、自分と妻の香奈(黒木華)しか知らないはずだった。そして訪問者と応対した後輩が亡くなってしまう。2年後、秀樹の周囲でミステリアスな出来事が起こり始め......。

 

https://cinemarche.net/horror/kuru-entame/

 

 

●結果(★5=満点)

 

★★★▲(3.9)

(そんなに怖くない)

 

 

 

 

●感想

 

よかったです。

作品の雰囲気が、好きですねー。

スピード感があって飽きさせない演出が続く。

エンターテインメント作品だな、と思いました。

 

ただ、怖かったかというとそうでもなかったかな。

こういうシーンはあるけど・・・

怖いというより奇妙キテレツな気持ち悪さの方が強い。

 

血は飛び散ってましたけどね。

あと時々身体がちぎれたりするけど映るのが一瞬なので、わりと大丈夫でした。

 

 

 

それと結局皆を恐怖に陥れた「あれ」なるものの正体は最後まで出てこなかったので、結局なんだったんだろう?と思いました。

 

そこは消化不良な部分でしたが、でも全体的に漂う独特な雰囲気が中島哲也監督のテイストで。

それを求めて観に行った身としては、満足でした。

 

 

 

ではネタバレ感想を。

 

 

 

まずこれは言いたい。

田原秀樹を演じた妻夫木くんと、その妻・香奈役の黒木華ちゃんの演技が絶品!!

 

妻夫木くん、秀樹は明るくて爽やかでみんなの人気者で、ものすごく好青年・・・・に見える。

でも結婚式の披露宴、職場、新居のお披露目パーティの時、それぞれのシーンでなんかわざとらしい・・・なんかムカつく・・・

その匙加減が絶妙でした。

 

香奈が妊娠してイクメンパパのブログを更新している様子とか、ほんとイラついた。

 

いい事ばかり書いているけど本当は嘘ばかり、全く育児に参加なんてしていない。

パパ友との交流やブログに付くコメントの方が大事。

香奈に愛想をつかされるのも当然!

(このシーン、アレの仕業だと思わせて、実は香奈がキレて暴れた後だった)

 

アレの恐怖から逃れようと色々と動くけど、結局アレに下半身ちぎられて殺されてしまった。

でも全然同情できませんでした。

 

 

 

香奈の方も、黒木華ちゃんハマり役だと思いました。

一見おとなしそうで清楚に見えるんだけど、映画の冒頭で秀樹の実家の法事に行った時に一人庭でタバコを吸っていたり、披露宴に来た友人たちが金髪だったり、母親も明らかにやさぐれていたり・・・という所から、育ってきた環境が伝わってきました。

 

秀樹と結婚して幸せになれるのかな、と思っていたら、実は秀樹は全く育児を手伝わずブログ三昧。

秀樹が殺されてしまってから、娘のチサを一人で育てることになって、仕事と育児に追われて余裕がなくなっていき、イラつき、チサに辛くあたる。

 

観ていて辛いなぁ・・・と思っていたのですが、実は秀樹の親友の津田(青木崇高)と浮気をしていた・・・というのはビックリでした。

育児を放棄して、津田との逢瀬におぼれていく・・・

アレにも襲われるけど

それよりも彼女の言動の方が怖かったわ。

 

最後はファミレスでチサに謝ったあとで、駅のトイレでアレに襲われて死んでしまいます。笑顔で。

秀樹と逆で「ああ、幸せになれなかったなぁ」と同情してしまいました。

 

(その浮気相手の津田も一見友達思いの優しい男性、と思わせて、実は秀樹を親友と思っておらず「秀樹が手に入れたものを奪い取るのが趣味」と言い切るトンデモ男でした。彼もアレに殺されてしまいました)

 

 

 

それと津田が秀樹を救うために紹介したルポライター・野崎の岡田准一くんは、初中島作品、初ホラーと話題になっていましたが・・・

うーん、私岡田くん好きなんだけど、今回は岡田くんじゃなくても良かったような気がしました。

 

 

同じく、キャバ嬢で霊媒師・真琴=小松菜奈ちゃん、その姉で日本最強の霊媒師・琴子=松たか子さんも・・・

 

この2人は中島組なんだけど、役のインパクトが強くて「この役をこの人が!?」という驚きはあったけど、妻夫木くんや華ちゃんのようなハマり役にはなっていない気がしています。

 

琴子は政府も動かすほどの立場で、どんどん強くなってどんどん人を殺していくアレを退治するために秀樹のマンション一帯を封鎖させ、日本全国からありとあらゆる霊能力者・霊媒師を集結させました。

アレが強すぎて半分以上殺されちゃったけど。

これが映画のクライマックスシーンでしたね。

 

 

わきを固めていたのは青木崇高さんの他に、霊媒師で柴田理恵さん(アレに腕をちぎられちゃったけど再度対決に来る)

香奈の勤務先のスーパーの店長・伊集院光さん(香奈がチサの事でしょっちゅう店を抜けることにイラ立つ)

秀樹の後輩・太賀くん(最初にアレに殺されちゃった。入院先の衰弱した様子が怖かった)

 

皆さんとても印象に残る演技でした。

 

最後は、野崎と真琴がチサを育てていこう・・・というハッピーエンド的な終わり方でした。

 

あ、あとそのラスト。

突然やけにPOPなアニメーションとオムライスの歌が出てきてビックリしたわ。

これも中島監督テイスト・・・なんですかねw

 

 

 

 

 

でも最初にも書いたけど結局皆を襲った「アレ」の正体はわからずじまいでした。

 

なんだったんだろう?

 

登場人物みんな子供について辛い過去があったけど関係あるのかな。

 

・秀樹は子供の頃に女の子と山に入って遊んでいた時「嘘ばかりついている。いつか殺される」と予言されている。

また彼の地元では子供が神隠しにあう事があった=実は口減らしのために親が子供を殺していたという説がある。

・香奈は母親からネグレクトを受けていた。

・野崎は子供を中絶させていた。

・真琴は若い頃のヤンチャのせいで子供を産めない体。

 

 

あとは人間の裏表が全面に描かれていた。

 

・秀樹も香奈も津田も、見た目と違う面があった。

・真琴も実はとても繊細。

・琴子も怖いもの知らずに見えるけど真琴を心配する優しい面がある。

・秀樹の披露宴や新居お披露目会での友人たちの陰口。

 

これらが「アレ」を呼びよせ、大きくして、人々を襲っていたのかなぁ・・・

こう書いていても、なんか釈然としないけど。

 

 

こんな感じで色々思う所はありますが、中島監督だと考えれば納得してしまうというか。

全体的にはほんとにスピード感、映像、迫力、キャラの濃さなど映画としてとても楽しめるものでした。

 

 

好き嫌いはありそう。

 

ホラー映画としてより、エンターテインメント映画として観た方が楽しめると思います。

こういうテイストの映画はなかなか無いので、そういう意味ではおススメです。