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涙と一緒に零れた本音に、潤くんは驚いた顔してる。
でも、実際はオレの方が驚いてる。
驚いた顔でオロオロしながらも、何で知ってるの?って聞かれて、もうこれ完全に無理だって悟った。
どうにも繕えない。隠しきれない。
「母ちゃんから聞いた・・・今日、オレさ・・・おーちゃんに付き合って画材屋さんに行ったんだ。それで・・・潤くんが翔さんと一緒にいるの見た・・・そりゃ、相談相手としては適役だと思うけど・・・じゃあ、俺の存在ってなんなの?」
本当は、もっともっと言いたかった。
ずっと一緒だったじゃん、って。
5人でいたけど、オレにとっての潤くんは、潤くんにとってのオレは、特別なんじゃないの?って。
「オレ・・・ ずーっと潤くんの進学先が気になってて、でも聞けなかった。そしたら、母ちゃんが潤くんにD高からスポーツ推薦の話が来てるって。そんな話、オレには一言も話してくれないし・・・受験勉強にも積極的じゃないし・・・だからD高からの誘い・・・受けるんだって思った」
言い終わる前に、なんかもう既にすっげぇ自分が情けなくなった。
自分のワガママをぶつけて、潤くんと同じじゃないって思い込んで決めつけて、挙句の果てにそれに怒るとか……
もう、潤くん呆れてるんじゃないかって、ちょっと怖々潤くんの顔を見た。
「ちがっ・・・そうじゃないって!俺だってニノの志望校聞けなくてモヤモヤしてて・・・だってニノってば成績いいのに勉強ばっかしてるし・・・だから俺はてっきり翔くんと同じB高狙いなんだなって・・・そう思ったらイライラして煮詰まって、だから翔くんに話を聞いてもらっただけだ」
だってお前に直接、聞く勇気なかったんだよ!
一際大きな声で主張する内容に、一瞬頭の中が真っ白になる。
同じ、だったんだ。
潤くんも、オレと同じ。
そんな事聞いて、どんな返事が返ってくるのかわからないのが怖くて。
一番わかってくれてるって思ってる相手が、全然違う答えを持っていたらって思うと何も聞けなくて。
でも、すごく、すごく気になってモヤモヤしてて。
同じ、だったんだ。
だけど、そんなとこが潤くんらしいなぁって思える。
不器用だけど、真っ直ぐで。
身振り手振りで一生懸命に説明してくれて。
伝えようって思いも一緒に伝えてくれる。
潤くんって、そんな人なんだ。
自分に正直な人なんだ。
思えばちっちゃい時からそうだった。
オレも潤くんも、我が強いというか、自分のやりたい事にまっすぐ進む。
アレやりたいって思ったらすぐにそっちに行っちゃうし、でも相手のやりたい事に興味があれば全力で一緒に楽しんでくれる。
振り回して、振り回されて。
おーちゃんとか、翔ちゃん、まーくんとは違うオレ達2人の特別な関係性。
だったら、オレもまっすぐにぶつかってみよう。
淋しかった。
不安だった。
オレが一番だって思ってほしかった。
オレにとっては、潤くんが一番だから。
ずっと一緒だと思ってるし、これからも
「オレは・・・潤くんと一緒がいい」
本当の意味での本音を言えた。
けど。
あまりにも本音が過ぎた事に、言った後で気が付いた。
⋯言いすぎた。
本音出しすぎた!!!
自覚したら最後、自分でも分かるくらい顔が熱い!
恥ずかしい!!
子供みたいな願望を口に出したことが余りにも恥ずかしくて、思わず視線を逸らす。
でも、その瞬間。
潤くんがぎゅって
抱きしめてくれたんだ。