「ゆめのおと」~潤の夢 | 潤いと和み。

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末っ子ふたりの妄想bl書いてます。
J×Nオンリーです(๑´ㅂ`๑)♡*.+゜

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一秒にも満たない
瞬きのような一瞬のあと。

視覚からの情報に、それが何だか理解出来なくて脳みそがバグるみたいな感覚になる。


・・・え?


背の高いパキラと独特の形のベンジャミンのグリーン。
天を仰げば、パラソルと建物に切り取られた夜空が見える。


ひとつひとつをちゃんと見れば覚えのあるそれらが、記憶の中のピースに嵌っていく。

ゆっくりと見渡せばそこは、俺のお気に入りのカフェの一番好きなテラス席だった。


「・・・え?」


思わず声が出た。

それに応えるように、小さくクスクスと笑いを噛む声が隣から聞こえてきて
思わずそっちを振り向いた。


「に、・・・の?」

「はい、二宮ですよ。」


声の主は、いつものようにふんわりと笑って答える。


なんで?
なんでニノが・・・


見慣れた景色の中に、絶対にいるはずのないニノがいる今のこの状況が
僅かに落ち着きを掴みかけていた脳みそを更に混乱させる。


「じゅんくんのオススメってどれ?」


メニューを捲り、上から順に眺めているんだろうその仕草は

いつもどおりのニノ。

俺とは真逆の、いつもどおりのニノだった。



そこで、初めて思い至る。


あぁこれって夢だ。
そうだ、思い出した。

リーダーの部屋で見つけたあのノート。
見たい夢がみれるっていう、不思議なノート。


一度でいい。
ニノと、デートしたい。
伝える事すら叶わないかもしれない思いだけど、
だからこそ一度だけ


・・・デートがしたい。


そんな事を書いたんだ。


一番好きなリラックス出来る場所なら
いつもより素直になれる気がした。
だから、この場所なのかもしれないな。


ニノが捲っているメニューを覗き込めば、
肩が触れた。
だけどニノは動じる様子もなく、相変わらず並ぶ文字を目で追っている。


「オレ、これにしようかな。」


指さしたのは、いくつかのスイーツが盛られたデザートプレート。

どれも普通よりも一回り小さいサイズで、
女子が喜びそうなものだ。


「俺は何にしようかな・・・。」

「見る?」


ニノが持っていたメニューを俺の方へと寄せてくれる。
確かにその方が見やすい。

見やすいんだけど・・・

せっかく自然な感じで触れてた肩が
離れてしまう。

それをちょっとだけ淋しいなんて思っていたら、今度はニノがメニューを覗き込んできた。


「じゅんくん、コレ飲んでみてよ!」


画像が載せられたそのドリンクは
『カプチーノマティーニ』と書かれてた。


「なんでこれ?」

「グラスがカッコいいから!じゅんくんが飲んでるとこ見たい!似合いそう!!」

「・・・面白がってるだろ。」

「そんな事ないよー!」


反論しつつも声が僅かに震えて、笑いを含んでるのがわかる。

まぁ、いいか。
ニノが見たいなら
ニノが楽しんでくれるなら。


店員さんを呼ぼうと奥を見渡して、
でも誰もいなくて。

おかしいなぁ・・・なんて思っていたら
目の前のローテーブルの上には
さっきメニューで見たデザートプレートとカプチーノマティーニが既に置かれていた。


マジか・・・
夢ってすげぇな。





「コレ、なんだろ?」


スプーンを手に取り、プレートに乗せられたシャンパングラスを手に取ったニノは、いただきますって一言添えて
そっとそのグラスからキラキラ光るゼリーを掬って口に運ぶ。


「ん!シャンパンのゼリーだ!」

「へぇ、美味い?」


ゼリーと同じくらいキラキラと目を輝かせたニノは、無言のまま頷く。


「こっちも食べてみたら?」


促したのは、クリームがたっぷりと乗ったもの。
見た目からはシフォンケーキのような気がする。


スプーンをフォークに持ち替え、俺が勧めたケーキを頬張る。


「あ、美味い。ケーキと生クリームの相性がいい感じ」


ニノは食べるものにはあまり拘りがない。
だけど、味わうって事には意外と繊細な部分があって
そのニノが美味いって言うなら間違いないんだろうと思う。


「じゅんくん、それ飲んでみてよ」

「・・・どんな味だろ?」


ニノに言われるがままに決めたカクテルは、特徴的なグラスに注がれていて
コーヒーとアルコールの香りが立っている。

そっと持ち上げれば、それだけでニノがクスクスと笑う。


「・・・なんだよ?」

「んふふ。やっぱ似合うよ」

「面白がってんじゃねーかよ」


そう言いながらも、楽しそうに笑ってくれるニノが可愛くて嬉しくなる。



そっと口に含めば、口の中に広がるのはコーヒーと、仄かな甘さとクリームの泡の柔らかい口当たり。

飲みやすい。


「うん、美味い」


だけど、たぶんこれ結構度数高そう。


「潤くん、口の端に泡ついてるよ?」


すっと指を伸ばして、俺の口の端に触れた指。
たったそれだけで、足元から電気が走るような感覚になった。

その感覚は



まるで、キスした時みたい。




・・・もっと触れたい

その欲求は、ニノのただそれだけの仕草で膨れ上がる。


「・・・ニノも、付いてる」


細い尖った顎を掬い、視線を合わせる。
本当は何も付いていないその唇は
いつもとは違って僅かに開いていて
その形はまるでキスをする時のようで


きっと、触れたら柔らかいんだろうな。
さっき飲んだカクテルと、どっちが甘いんだろうか。

そんな事が、頭を駆け巡る。


そして、膨らんだ欲求に
自然と身体が動いた。









ゆっくりとその唇に近づけば
察したようにその瞳を閉じる。

それはきっと、合図。

いいよって、ニノからの合図。



感触を、甘さを、温度を
ニノの全部を唇で感じたくて
俺もそっと瞳を閉じた。











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この後、23時にエピローグがアップされます。