クリニックの就業規則と労働法 第38回「公民権行使の時間、裁判員休暇」 | 元MR・社労士がお届けする医療業界のための人事・労務News

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/東京都豊島区池袋 長友社会保険労務士事務所

今回は「公民権行使の時間」「裁判員休暇」に関するポイントをご説明いたします。

 

1.公民権行使の時間とは

 

公民権行使の時間とは、労働基準法第7条で定められた規定で、職員が勤務時間中に、選挙権その他「公民としての権利」を行使し、または「公の職務」を執行するために必要な時間や日数を与えるものです。

 

「公民としての権利」には以下のものが挙げられます。
・法令に根拠を有する公職の選挙権及び被選挙権
・憲法の定める最高裁判所裁判官の国民審査
・行政事件訴訟法に規定する民衆訴訟
※該当しないもの
・他の立候補者のための選挙運動
・個人としての訴権の行使(民法による損害賠償に関する訴え、隣人との間の争いを解決するためのもの等)

 

「公の職務」には以下のものが挙げられます。
・衆議院議員その他の議員、労働委員会の委員、陪審員、検察審査員等
・民事訴訟法による証人・労働委員会の証人等の職務
・公職選挙法の選挙立会人等の職務
※該当しないもの
・予備自衛官が防衛召集または訓練召集に応ずること
・非常勤の消防団員

 

但し、クリニックは、権利の行使または公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができます。

 

2.裁判員休暇とは

 

平成21年5月21日からスタートした裁判員制度により、職員が裁判員等に選任された時の取扱い方法を明確にしておく必要があります。
裁判員等として裁判へ参加することは、前述した「公の職務」に該当しますので、これに必要な日数を与えることは法律上の義務となります。

 

就業規則への規定方法としては、公民権行使の時間に包括して定める場合と、裁判員休暇として独立した条文で規定する場合があります。どちらの方法をとるかはクリニックの判断ですが、裁判員休暇に関して詳細に規定したい場合は独立した規定を設けることが必要でしょう。

 

3.賃金の有無

 

公民権行使の時間や裁判員休暇中の賃金に関して、法律上はクリニックに支払い義務は生じないため無給としても差し支えありません。

 

裁判員等に選出された職員は、賃金が無給となっても、裁判所から日当の支払いを受けられることになっています(金額は概ね1日8,000円~10,000円以内)。

 

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