クリニックの就業規則と労働法 第37回「育児休業、介護休業」 | 元MR・社労士がお届けする医療業界のための人事・労務News

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/東京都豊島区池袋 長友社会保険労務士事務所

今回は育児・介護休業規程で規定された制度である「育児休業」「介護休業」などに関するポイントをご説明いたします。

 

1.育児・介護休業法とは

 

育児・介護休業法では以下の休暇に関する規定が設けられており、これらの休暇を就業規則に定めておくことが必要です。

 

(1)育児休業
1歳に満たない子を養育する職員が請求した場合、育児のための休業を取得することができる。(1歳到達時に保育所等に預けることが出来ず復職できない場合など、一定の要件に該当する場合は6ヶ月間延長可能。)

(2)育児短時間勤務
3歳に満たない子を養育する職員が請求した場合、育児のための短時間勤務制度を利用することができる。

(3)介護休業
要介護状態にある対象家族を介護する職員が請求した場合、介護のための休業を取得することができる(通算して93日まで)。

(4)介護短時間勤務
要介護状態にある対象家族を介護する職員が請求した場合、介護のための短時間勤務制度を利用することができる(通算して93日まで)。

(5)子の看護休暇
小学校就学前の子を養育する職員が請求した場合、子が1人であれば年5日、子が2人以上であれば年10日、病気・けがのの看護のための休暇を取得することができる。

(6)介護休暇
要介護状態にある対象家族を介護する職員が請求した場合、対象家族が1人であれば年5日、対象家族が2人以上であれば年10日、介護のための休暇を取得することができる(介護休業とは別に)。

 

2.留意点

 

育児・介護休業法に関連する各休暇を就業規則に定める際、一般には別途、育児・介護休業に関する規程を定めたうえで、詳細は別規程によるとする委任規定を設けるだけです。

 

これは、育児・介護休業法に関連する制度は上記(1)~(6)以外にも幾つかあること、また各制度に関する要件や具体的手続きや取扱方法などには詳細な取り決めを要し、就業規則に全て記載することができないからです。
また、上記はあくまでも法律で求められている水準であり、この水準を上回る制度とすることも可能です。

 

具体的な取扱方法には例えば、退職金制度があるクリニックで職員が育児休業を取得した際、その休業期間は退職金額の計算期間に算入するかどうかとか、育児休業から復職した職員が最初の賞与や定期昇給の時期を迎えた際、その休業期間をどのように取り扱うかなどがあります。

 

このような取扱方法は、クリニックによって異なるものですので、労働局や書籍・ネットで入手したモデル規程などをそのまま使っていると、実際に対象者が出た時の賃金の取扱いを巡り、クリニックが不利益を被ることもあるので、ご注意下さい。

 

3.賃金の有無

 

育児休業や介護休業中の賃金に関して、法律上はクリニックに支払い義務は生じないため無給としても差し支えありません。

 

育児休業や介護休業期間中の職員は、賃金が無給となっても、雇用保険から育児休業(介護休業)基本給付金の支払いを受けられることになっています(金額は概ね休業前の賃金の50%)。

 

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