コスプレでセクハラ | 元MR・社労士がお届けする医療業界のための人事・労務News

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製薬会社のMR経験を持ち、病院・クリニックの人事・労務コンサルティングを専門とする社会保険労務士が、日々の気になるトピックスをお届けします。
/東京都豊島区池袋 長友社会保険労務士事務所

最近気になる判例が2つ出ていましたのでご紹介したいと思います。今回は一つ目の判例で、セクハラに関するものです。

 

共同通信記事(2013.2.21)

 

▼販売目標に届かなかった罰にコスプレを強要され精神的苦痛を受けたとして、カネボウ化粧品販売(東京)に勤務していた大分県内の60代女性が、同社や当時の上司らに計330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大分地裁(一藤哲志裁判官)は21日までに、同社と上司に計22万円の支払いを命じた。20日付。
判決によると、女性は2009年7月、8月の販売目標に達しなかった。10月の大分支社での研修会で、他の3人と一緒に箱を選ばされ、中に入っていたウサギ耳のカチューシャなどのコスチュームを長時間着用。11月の研修会で、写真がスライド上映された。
一藤裁判官は「任意であっても拒否するのは非常に困難だった。正当な職務行為であるといえず、心理的負担を過度に負わせた」と指摘した。(以下省略)

 

セクハラは、一般に「相手方の意に反する性的な言動で、それに対する対応によって、仕事を遂行するうえで、一定の不利益を与えたり、就業環境を悪化させること」を言います。
また、男女雇用機会均等法ではセクハラを「対価型」と「環境型」の2つに分類していますが、今回のケースは環境型セクシュアルハラスメントになると考えられます。

 

具体的にセクハラに該当する言動があったかどうかは「労働者の意に反している」ことが要件になり、セクハラを受けているとされる人の主観が重視されます。

 

コスプレをさせたことに関しては、人によって「本人の同意のもとで行われた行為では」とか「セクハラは行き過ぎ」と思われる方もいるかもしれませんが、やはりコスプレをしている本人が負担に感じているのであればセクハラになり得るということです。

 

また、その場では本人が応じていても、望まない言動であればセクハラに該当します。今回のケースのように研修会の場で明確な抵抗の意思表示がなかった場合でも、後からセクハラを訴えられることはよくありますので、本人が拒否・抵抗しなかったからOKだろうというのは危険です。
今回は目標未達による罰ということでしたので、本人もその場で拒否しにくかったのかもしれません。

 

なお、今回は研修会という就業時間内に行われた行為でしたが、宴席のように就業時間外で行われた行為でもセクハラの対象となります。
3月、4月は職場で歓送迎会が頻繁に行われるシーズンですが、会を盛り上げるためにコスプレを企画する際は十分に気を付けて下さい。

 

決してコスプレ自体が悪いのではありませんが、人選をする時に嫌がる人にしつこくお願いしてはいけません。また、その場で拒否されなくても後から問題になることもありますので、誰かにお願いする場合は職場でのコミュニケーションがよく取れている方がいいです。間違っても、嫌がる人に上司や先輩からの命令でやらせるようなことは避けて下さい。
コスプレの他にも「カラオケでデュエットを強要する」、「酒席で上司の隣に座席を指定する」、「お酌やチークダンス等を強要する」ような行為を嫌がる相手にしつこく強要するのはセクハラになり得ますのでご注意を!

 

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