壮鎮の角構えの解釈からフォームの理を理解する。武技に魂を入れるための有段者用の形稽古 | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 昨日の続きです。

 

 第3部の「(かた)」の稽古になりますが、3つのグループに分けました

 

 この日、オーストラリアからの参加者の最後の日となり、何かお土産になるような稽古を意識した結果です。しかし、大会に出場する人のための稽古も必要であり、そういった複数の事情が入り混じったので結果として複数のグループに分けた内容になったのです。

 

 その内の1組は選手用の稽古として指導者を付け、「正整(せいさん)」をテーマにやってもらいました。

 

 また別の1組にも指導者を付け、新しい「形」を覚えてもらうための稽古を行ないました。

 

 いずれの組も担当者に任せましたので、私は今日が最後の道場生を担当しました。それで第3部の話はそこで行なった稽古の様子になりますが、タイトルにその内容が記されています。

 

 ここでは「形」そのものの稽古ではなく、その解釈がテーマでした。リクエストを聞いた上でのことですが、具体的には「壮鎮(そうちん)」でした。

 

 きちんと説明した上でということになると、単に動きだけを行なっても魂が入りませんので、特定の動きに特化した内容になりました。

 

壮鎮 角構えから拳槌打ち

 

 上のイラストは「壮鎮」に登場する動きを表したものですが、左の様子は「角構え(つのがまえ)」と言います。

 

 この日はこの動作をベースとした動きの解釈になりますが、ここだけでも複数の展開があります。

 

 結果的に基本的な解釈一つだけになりましたが、そこに存する武技としての理も含め、理解してもらいました。

 

 今回は上のイラストで言うと、左の上肢を「受け」として用いることになりますが、その前提で写真と共に話を進めます。

 

 分解・解説として行なう場合、今回は互いに組手の時の基本的な構えから、ということで行ないました。正整立ち(せいさんだち)」をベースに中段を意識した構えで対峙する、というところからスタートしました。

 

 

 前述の状態から、仕掛ける側は定番の「右中段追い突き(みぎちゅうだんおいづき)」で攻撃してもらいました。もちろん、「裏三寸(うらさんずん)」を意識してのことであり、その様子は写真からもお分かりだと思います。

 

 それに対して受ける側は「角構え」の要領で対応するわけですが、前述したように左上肢の前腕で対応します。その時、パッと見た目は「中段外受け(ちゅうだんそとうけ)」のような様子に見えますが、ここでの接触部位は背腕です。外受け(そとうけ)」として行なう場合は前腕を捻り、脇を締めますが、ここではそういうカタチでは行ないません

 

 その場合、「受け」として脆弱になりやすく、その身体感覚は実際に行なって体験してもらいました。

 

 「外受け」単独の要領で行なう場合は基本通りですので問題は感じませんが、冒頭の動きを念頭に考えると技の拍子に違和感が出てきます。「受け」として極める際、一瞬、淀みが生じやすくなるのです。これはしっかりした感性を有する人の場合、違和感として感じることになりますが、武技を腕力でという場合はあまり感じないかもしれません

 

 そして、背腕で受ける場合の質的な担保になるのが、「上段揚げ受け(じょうだんあげうけ)」のように見える反対の上肢ですが、これは「受け」の質をアップするための補助であり、続く反撃のための準備動作として行なうことになります。

 

 このことについても反対側の上肢の活用の有無で「受け」としての質感を比べてもらいましたが、「形」通り行なった方がしっかり受けることができた、と感じてもらえました。

 

 

 いつものように、アングルを変えて撮った写真です。互いの位置関係が立体的に理解していただけるのではと思います。

 

 

 受けた後の様子ですが、冒頭のイラストの様に振り上げた側の上肢で「拳槌打ち(けんついうち)」を行ないます。

 

 写真を撮る時、その様子が分かりやすいようにと突いた側の上肢を下げてもらっていますが、仕掛け技のクオリティが「裏三寸」の意識で行なっていなければ、「拳槌打ち」が届かないこともあり得ます

 

 仕掛け技の質が武技全体の解釈にも影響するという事例になります。

 

 また、写真の感じだと2拍子の技に思う人がいるかもしれませんが、「受け」から「打ち」に繋ぐ動作は、限りなく1拍子を意識して行ない、もしここで変な間(ま)が空けば、相手からの再攻撃の隙が生じます

 

 そういうことを防ぐためにも「角構え」を意識して受ける時の状態が大切であり、「外受け」の様にしっかり脇を締める動作で拍子を遅らせるより、「受け」から「打ち」までも淀みを作らず一連の動きとして行なうようにすることが肝要です。

 

 「形」として行なう時は一度極めるような感じになりますが、それはその時のフォームに芯を作るためにといった意識で行ない、崩れないような武術体作りのために行なわれると解釈してもらいました。

 

 

 また、別アングルからの写真です。「拳槌打ち」が相手の中段に当たっている様子を理解して下さい。

 

 

 そして最終的な極めですが、ご覧の様に「中段順突き(ちゅうだんじゅんづき)」を行ないます。

 

 互いの立ち位置の関係から十分浸透する「突き」を出せる間合いになりますが、実際に突く時は身体に対してしっかり捻り込むイメージで行ないます。

 

 ここまでの動きは「形」と同じで、ここまでを一つの組み合わせとして行なってもらいました

 

 「形」の流れとしては、この後「前蹴り(まえげり)」などに続きますが、今回行なった解釈はここまでになります。「形」通りの展開なので、解釈と言うにはそのまんまという感じではありますが、こういうところを経て、別解となります。

 

 今回は「角構え」の両上肢を動かす、というところが武技的にどのような作用があるのかということを理解してもらったことになります。

 

 

 また別アングルからの写真ですが、攻撃している側の目線であり、一連の反撃の効果のイメージが湧いてくるのでは、と考えています。

 

 今回は時間の関係もあり、全挙動を限りなく1拍子でということまでは行ないませんでしたが、レベルが上がってきた場合、そのような稽古まで行ない、実戦の雰囲気に近づけていくことになります。

 

 稽古では、話としてもう少し技を加えた動きを説明し、見本を示しましたが、やってもらった内容は以上のところがメインでしたので、ブログでもここまでにしたいと思います。

 

 この日の稽古は、ここで終了いたしました。

 

 

 

 

 

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