昨日の稽古ですが、先日のブログでもお話しした通り、結心館の林師範がお越しになり、宗家杯で演武する選手の為の稽古が行なわれました。内容は棒術で、メニューは前回のブラッシュアップです。その為、新しい動作などを行なうことはなく、同じ技をポイントを意識してそれを定着させる、という感じで行なわれました。
そちらのほうはお任せでしたので、私は別の道場生を担当したわけですが、隣は武器術の稽古です。何かその雰囲気を活用できないかと考えていましたが、その内の一人が質問してきたことがあり、その内容がタイトルに示した「中心軸」と「丹田」のことでした。
左にそのイメージを示したイラストをアップしましたが、この意識は武術の基礎であり、ここからいろいろな武技が繰り出されます。
武技というのは、具体的な動作として理解されているのが一般的ですが、その質を意識した時、このブログでいつも登場する「見えない技」の存在が必要です。文字通り見えないわけですから、それを認識してくださいと言っても最初の内は理解することも難しいでしょう。
今日のテーマである「中心軸」・「丹田」も然りであり、イラストで示せば何となく分かる、といったレベルで理解してもらえると思いますが、その実践となると容易ではありません。
武術ではそれを稽古を通して身に付けていくことになりますが、その感覚を会得した場合、日常の立ち振る舞いにも自然に出てきて、独特の雰囲気を醸し出します。
もちろん、それを感じる感性も必要になりますが、「見えない技」の鍛錬を通じてそういう目も養うことになります。その習得を早めるには、鏡の前で上級者と一緒に動き、微妙な違いの存在を目や肌で感じることがありますですが、この日はそういう意識で行ないました。
直真塾は空手の道場ですが、あるテーマを理解してもらうためにという際には、いろいろな引き出しを用意しています。それを必要に応じて活用するわけですが、ここでのテーマは前述のように「中心軸」・「丹田」です。
これは空手のみならず、他の武術でも必須の身体意識であり、その存在があるからこそ、一つの武術がある程度に達すれば、他のことをやってもすぐに実になることになります。「一芸に通ずれば万芸に通ず」という言葉の実践になりますが、ここでは隣で武器術の稽古をやっているので、剣の振り方を参考に、「中心軸」と「丹田」の意識をしてもらうことにしました。
左の写真はネットのフリー画像から引用したものですが、今回の稽古は手には何も持っていないけれど、剣を持ったつもりで写真のような素振りを行なう、ということをやりました。
この日は集まりが悪く、稽古をスタートした時には人数か少なく、しかも上級者がメインでした。だからこそ、いつもと異なる話や稽古も可能だったわけですが、そういう段階の人の中には、木剣や竹刀、その他古武道の武具を持っている人もいます。
この日の参加者の中にも木剣を持っているという人がいたので、あえてを剣を用いた場合、という稽古法をお話ししたわけですが、その人は木剣を持っていても降り方まで意識して行なっているわけではないようです。
そういう話も伺っていたので、隣で行なっている棒術の稽古に合わせ、斬るための剣の振り方、ということを念頭にポイントを説明しました。
その人の知り合いに示現流の師範の方がいるそうですが、機会があればその流派の剣の振り方を尋ねてみれば、というお話をしつつ、共通する斬るための剣の用法の基礎ということで、上肢の用法、手首の意識、脇の締め、それから手に武器を持った場合の身体操作のポイントまでを説明しました。
その上で、手に剣を持ったつもりで鏡を見ながら振ってもらいましたが、何も持っていなくても剣があるかのような動きにならなくてはなりません。
最初の内はそれなりにこなしますが、上級者ゆえの身体操作の賜物でしょう。でも、数をこなすうちに少しずつ乱れが生じてきます。
実際に持っていたら、剣の重さでもっと早く乱れていたかもしれませんが、具体的には剣筋や剣の静止場所などです。振っている剣をどこで止めるかということも、武器術の稽古では大切な身体操作のポイントになります。最初の頃の様子は、その手首の様子であれば剣の制御ができていないのでは、と思えるような感じでなっていましたが、そういうちょっとしたところなどを修正しつつつ、今風で言うならば「エア剣術」・「エア素振り」とでも言えるような感じで行ないました。
ある程度の数をこなし、剣を持ったイメージで身体を動かすことを理解した後は、そういうことは補助的な稽古として自分で行なうようにと指示し、空手道としての内容に戻りました。
そういう場合は、具体的な「形(かた)」を通して行なうということはせず、関連個所をピックアップしてそれを何度も繰り返します。
今回の場合、「中心軸」と「丹田」の意識がテーマですが、それに関係する最適な個所と言えば、この時の参加者が知っている「形」で言えば、「二十四歩(にーせーし)」や「鷺牌大(ろーはいだい)」に登場する動きがあります。
イラストは「二十四歩」に出てくる「扇受け(おおぎうけ)」の箇所ですが、これはこの日の参加者が全て稽古している「形」です。
それでここでは「エア素振り」でイメージした「中心軸」と「丹田」の意識を、再度空手の「形」に転じてその確認を図る、ということにしました。
本来は全ての武術に共通する身体意識ですから、多方面からその存在と感覚を理解し、感じることができれば、その意識に厚みが出ます。それを意図して稽古してもらったわけですが、どうしても個人的な癖の存在があります。
これまでのアドバイスで好転している人もいますが、その程度が少し軽減しただけ、というケースも見られます。ここは個別指導の箇所になりますが、多方面からの鍛錬と合わせ、癖の修正を行ない、全ての武技の基本となる身体意識を磨いてもらえればと願っています。
この後、また別のテーマでそれぞれ稽古しましたが、その点について後日お話ししたいと思います。
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