昇級審査を意識し、ポイントを確認 | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 火曜日の稽古は2組に分けて行なったと先日のブログに書きましたが、そのうちの1組は今日の夜に行なわれる昇級審査の為の最後の確認でした。


 その全てを1回の稽古で確認し、改善することはできないので、これまで稽古してきたことをベースに、個別のアドバイスをすることにしました。その際、型や「形(かた)」の中でポイントを説明するほうが効率的という判断で、「基本型(きほんかた)」から順に、それぞれのテーマになっている「形」までを行なってもらい、ここだけはしっかり押さえておくように、という感じでアドバイスをしました。


 各自に癖や個性がある関係上、どうしても個別指導的な感じになるので、たくさんのことは言えなかったのが残念ですが、そこで改めて、審査のためにという意識での稽古の問題点についても説明しました。


 審査を意識した稽古時間を取った、ということから言えば矛盾がありそうな感じですが、こういうきっかけがなければなかなか普段の稽古を一生懸命やる、という意識にはなりにくいのが子供達です。


 この書き方でお分かりの様に、今晩の昇級審査の対象は少年部で、今日の話の組の場合、全員中学生です。直真塾の稽古は、少年部は中学生以下になりますが、稽古時間については小学生以下とは区別し、中学生は一般部での稽古になります。だから、こういう時に一般部の道場生との間に、微妙な意識の差を見ることになります。


 もっとも、中学生になればそれなりに自覚が出てくる子供もいますので、その点に期待して前述のような話をするわけで、やがて意識が変化して参加する一般部での稽古までの、予習的な意識で聞いてもらいました。


 といった前フリから具体的な話に入っていきますが、今日は「基本型」の中からいくつかをピックアップしてお話しします。


正拳の右左









 上のイラストは「正拳の右左(せいけんのみぎひだり)」の一部ですが、転身動作があります。


 この場合、目線のことがポイントの一つになりますが、これまで何度も注意してきたにもかかわらず、身体の動きのほうに意識が向きすぎ、転身前の目線の移動を疎かにしている人がいます。


 もちろん、いかにも目線を移動しました、という感じで行なっては実際の状況に間に合わないわけですが、基本として稽古する以上、その意識をきちんと持ってもらいます。


 その上で運足に注意し、大きく足を動かして中心軸の乱れにつながらないように留意してもらいました。上のイラストに示した動きは、側方からの攻撃に対する体捌きであり、適切に対応するにはまず、自身の身体の安定が不可欠であり、その要となる中心軸については、しっかり確保する意識が必要です。


 また、運足と同時に、攻防の意識を実践することも重要であり、上のイラストの場合では、体捌きをし、足の着地と同時に突く、ということになります。こういうタイミングの意識は、このブログでよくお話ししている「見えない技」の一つであり、基本の中で身に付けなければならないところになります。


前進後退 三連突き














 上のイラストは基本の「その場突き(そのばづき)」のように見えますが、「前進後退(ぜんしんこうたい)」という「基本型」の最後に出てくる「三連突き(さんれんづき)」のところです。


 冒頭の「正拳の右左」の場合も、一見「三連突き」に見えますが、技の拍子は体捌きに合わせて1本突き、その後に「二連突き(にれんづき)」を行ないます。


 千唐流の場合、「三連突き」が出てくるのは全ての「形」を含めてここだけであり、そういう意味では貴重な箇所です。


 だからこそ意識する、と思われがちですが、それだけでなく、素早く「連突き(れんづき)」を行なう際によく見られる肘や脇の開きが無いように注意しました。素早く、しかもパワフルに突こうと意識すればするほど、人によっては身体のブレが生じ、質が低下する恐れがあります。あくまでも基本に忠実に素早く行なう、ということを意識してもらいました。


 その際、極めとなる3本目以外は十分腕が伸びない、あるいは3本目で姿勢が前傾する、といったケースも見られましたが、これは中心軸の意識につながることです。最初にイラストで示した「正拳の右左」の際にも中心軸の意識の必要性をお話ししましたが、ここでもその欠落が無いように注意してもらったわけです。


 このように、それぞれの動作の中で基本中の基本になる部分が違った方向から鍛錬され、その定着に努めているという点に気付いてもらい、全体的に武術としてのクオリティをアップしてもらえればと願っています。


前進後退














 アドバイスしたのは「突き」のことだけでなく、「蹴り」もあります。


 上のイラストは「前進後退」の中に出てくる「下段払い(げだんばらい)」から「中段足刀蹴り(ちゅうだんそくとうげり)」を行なっているシーンですが、よく見かける悪いパターンが「受け」の質です。


 「蹴り」で極める、という意識が強くなるため、その前段階の「受け」が中途半端になるわけですが、武技として考える場合、まず「受け」がきちんとできなければ反撃どころではありません。その上での「蹴り」ですから、決して軽視してはいけないのです。


 だからここでは、「蹴り」と同等の意識で「受け」を行なうようにアドバイスしました。このことも普段からアドバイスしていることでありますが、こういうタイミングだからこそよく聞いてくれることになりますので、再度強調しました。


 中心軸の絡みで言うならば、バランスのキープという点で意識しなければなりません。もっとも、身体の柔軟性との絡みも出てきますので、それがネックになってバランスを崩すようであれば、ストレッチなどでその点を改善しなければなりません。それは各自の課題として認識してもらうことになりましたが、こういう点が審査という行事の隠れた効用になります。


 他にも中心軸と「打ち技」を絡めてお話ししようかと思っていましたが、そこまで書くと長くなりそうなので、今日はここまでにしたいと思います。





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