今連載中の雑誌で、千唐流を紹介 | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 1年以上、「きらめきプラス」という雑誌で連載を持っています。この雑誌は会員購読のため、書店では販売されていませんが、それなりの購読者の方が全国にいらっしゃるようです。


 比較的年配の方を対象にした雑誌で、掲載記事も健康モノや文化的なことを扱った内容が多くなっています。


 私の連載のタイトルは「活殺自在」ですが、健康や文化としての武道などをベースに、何を書いても構わない、というお約束でスタートさせていただきました。


 当初はツボの話や体操などを中心に書いていましたが、途中で熊本地震かあり、そこからその後の追いかけ記事なども書くようになりました


 私が指導する千唐流はその熊本が発祥であり、地震の影響を受けました


 現在、復興が続いていますが、今もなお、4万人以上の方が仮設住宅暮らしです。


 その地震のおかげで、昨年予定されていた千唐流創流70周年の最大イベント、宗家杯(世界大会)が延期になり、今年開催されることになりました


 それを復興の具体的な一例として、私の連載の中でもそのことを取り上げたいと思い、今月発売の号で千唐流をご紹介させていただいたわけです。


 ただ、同誌は武道の専門雑誌ではないので、具体的な内容や文体には気を付けました。一般の読み物としての立場からのことです。


 でも、4ページいただきましたので、概要はお伝えすることはできたと思っています。


 先ほど創流70周年ということを書きましたので、戦後すぐに立ち上げられた流派ということはお分かりいただけると思います。


 ただ、空手道の場合、他の武道と異なり、昔は流派名を名乗ることはなく、伝承としては続いている場合も、明確に示されていませんでした。千唐流の場合、「唐手(トーディ)」の系脈にあり、初代千歳強直先生は「唐手」6代目になります。祖父は空手の達人として知られる松村宗昆という名門で、5代目である新垣世璋先生から継いでおられます


 千唐流としてのスタートは熊本県菊池郡隈府町(現在の菊池市)に養成館道場を構えてからであり、雑誌でもその頃の話からになっています。


雑誌 初代






















 戦後間もない頃ですから、街の様子も今とは全く異なります。


 そういう中、元日本兵と進駐軍の兵士たちが約30人、繁華街で乱闘騒ぎがありました。


 警察やMPが来てもその激しさに傍観しているという状態でしたが、一般の人に迷惑をかけるというのはけしからんとばかり、初代は単身の中に入り、騒ぎを収めました


 しかし当時、進駐軍に手を出すということはとんでもないことです。初代はその場をすぐに離れたそうですが、数日後、警察から呼び出しがあったそうです。


 さすがに恐縮して出頭されたそうですが、そこには進駐軍の司令官も同席していたそうです。


 でも、それは罪に問うためではなく、逆に軍にコーチを依頼する為だったのです。


 雑誌の掲載の写真はその時に撮られた記念写真ですが、体格でははるかに勝っている進駐軍の兵士の様子がお分かりになると思います。こういう場では試合の成績云々ではなく、本当の実力が要求されます。そういう環境で戦いのプロに戦い方を教えるわけですから、初代の武術家としての実力はご理解していただけると思います。


雑誌 プレスリー


















 熊本の進駐軍で指導していた関係で、九州各地の部隊にも赴かれましたが、大分にヘンリー・スロマンスキーという人がいました


 初代がヘンリー氏に免状を渡している写真もありますが、同氏はプレスリーの空手の師匠でもあるのです。


 そして、プレスリーのレコードジャケットやプライベート写真に中に、千唐流のバッジを付けたものが多数存在し、千唐流に対する思いのほどを感じさせます


 上の画像に示したように、この雑誌にもその写真が掲載されていますが、これも70年以上の歴史の重さの一つになります。


 記事では、この辺りついてもう少し掘り下げていますが、ブログでは割愛させていただきます。


きらめきプラス55号






























 上の写真は記事が掲載されている号の表紙ですが、熊本地震関連の表記もあります。


 それは、今年8月に行なわれる宗家杯は、熊本地震復興も意識したもの、ということも含んでいるからです。


 こういうイベントが行なわれることで再生への道の一つになれば、という思いが込められているわけですが、この大会、ぜひとも成功させたいと思っています。