昨日の続きです。とは言っても、「形(かた)」の話ではなく、組手のことです。
「形」と組手の2グループに分けて稽古した、ということを昨日お話ししましたが、後者のグループは約1時間、組手ばかりになりました。その後は昨日もお話しした通り「形」の稽古になりましたが、今日はタイトルにある通り、レベルアップのために留意すべき基本ポイントについてアドバイスした内容について綴っていきます。
組手グループの場合、自分たちで稽古できる人たちで構成されていますので、事前に稽古内容についてのテーマを出し、具体的な技については自由に、ということでやってもらいました。
指示した内容は、基本的にはペアを組んでの連続技、約束組手ということでした。前者の場合、最初は2連攻撃、続いて3連攻撃という2種類で行なってもらい、その後に「受け」を入れて約束組手をやる、という内容でした。前述したように、いずれも稽古する技は自由ということですから、各自の得意技、あるいはチャレンジする技、ということになります。
実際には「突き」・「蹴り」・「打ち」が出てきており、この内容は連続技にしても約束組手にしても同様でした。
組手には燃えるタイプのグループなので、当初イメージしていた稽古内容がどんどんヒートアップしていき、連続技のところからすでに自由組手の様相です。「受け」を入れた稽古に至っては、自由組手そのものであり、単に仕掛ける側が決まっているだけ、といった内容でした。
しかし、さすがに冷静さはきちんと持っていましたので、必要以上にエキサイトすることはなく、冷静な中でスピーディー、かつパワフルな内容になっていた。私としてはこのクオリティが試合まで維持できれば、と思っています。
疲労度と相談しながら稽古していましたが、様子を見ながらある程度の時間ごとに「ヤメ」をかけて説明する時に休憩してもらう、という進め方で行ないました。
その間、私は「形」グループでアドバイスするということになりますが、両グループに目を配り、きちんと観察しなければならないというのは結構な集中力を要します。でも、慣れた稽古パターンですので、それぞれに適切なアドバイスができることを心掛けました。
この日に撮った写真はないので、昔の稽古風景の中から近いイメージのものをアップしましたが、基本的な約束組手の場合、間合いが少し遠くなることが多くなります。
でも、前述のように実質的には仕掛ける側が決まっている組手であり、気持ちも乗っているため、相手の攻撃に合わせ前に進み、崩しながら反撃する、というパターンも散見されました。
見ていると、攻撃技を互いに明示した上で行なっているわけではないので、実質的にはいわゆる自由一本組手の様相です。そういう中でも写真のように前進しながら受け、崩したところを反撃する、という意識と技は良い感じです。
こういう感じについては、通常の組手の稽古の時にも説いていることですので、それがここでも実践されているということです。
「その闘志、良し」という感じでしたので、タイトルにあるようにさらなる質的向上のために気付いたことをアドバイスしたわけですが、その一つが構えに関することでした。
上に対峙している様子をアップしましたが、この時、2つのポイントをアドバイスしました。
一つは構えの隙に関することです。
攻撃を仕掛ける側としては、隙の有無を感じ、その上で具体的な武技や狙う場所が決まります。
そこには正確にコントロールする技術を必要とし、これはいわゆる「見えない技」の一つになります。
そのため、アドバイスしたからすぐにできるということではありません。常にその意識を持っての稽古からそういう技を身に付けることができます。
また、構えと隙の関係を意識した上で稽古できるようになれば、その隙を逆利用し、「誘い」として用いることもできます。それにより相手の攻撃をある程度限定し、このブログで何度もお話ししてきた自由組手を約束組化するようにするわけです。
ただ、アドバイス直後はそういうシーンも見られましたが、少し時間が経過すると、そういう意識にまだ馴染んでいない分、どうしても元に戻ってしまうケースも見られます。この点、何度もアドバイスすることが必要になります。
もう一つ、構えに絡んでアドバイスしたことが、奥手の状態です。
一般的には前手で受けることが多くなりますが、その後にすぐに反撃しようとすれば、上肢の場合は奥手が担当することになります。もちろん、同じ側で反撃する場合もあるし、「蹴り」の場合もあります。だから必ずしも奥手で反撃するわけではありませんが、可能性として高い以上、そういう場合にも備えておかなくてはなりません。
こういうアドバイスをしたのは、奥手の意識がない人がいたからで、具体的に拳頭の方向が内側に向いていたり、肘の意識が抜けており、攻撃のためのスタンバイ状態ではなかった、などが挙げられます。
ですから、アドバイスとしてこの点を修正してもらい、拳頭の向きに留意し、相手のほうに向けてもらいました。同時に、肘にも意識を向け、何時でも肘で拳を押し出せるようにしてもらいました。
それにより、奥手での「突き」が容易になったとか、意識の部分で威圧感がアップした、という声も聞かれました。いずれも心の中の問題であり、特に後者の場合は相手方のことですから、誰でも同じようにとは限りません。ましてや戦いの時のことですから、相手の闘気が勝れば特別な感覚はないかもしれません。
でも、自分の心の中の問題は自身のことですから、ちょっとしたことであっても意識が変われば、その分、戦いでは優位に立てます。ここではそういう風に理解してもらいました。
スペースの関係でイラストを結構小さくしましたが、この構えに関連して、「逆突き(ぎゃくづき)」の軌跡についてもアドバイスしました。
というのは、見ていると「逆突き」で極めようという意識が強い場合、意識が上半身に行ってしまい、肩から動くような感じになっている人がいます。
その結果、「突き」が上手く相手の上肢をかいくぐることができず、途中でカットされてしまうようなケースが散見されました。
せっかく奥手を腰に構えているわけですが、そこから相手の中段をめがけて「突き」を放つようにすれば、極まる確率が高くなります。ちょうど潜水艦が浮上してくるような感じの動きになりますが、平常心を保つことで、自ら相手に防御されるような反撃を行なう必要はないのです。
この「突き」についてもこれまで何度かアドバイスしてきたことですが、意識して用いているかどうかということで現場では違ってきます(やがては無意識の内に出るようになることが望ましいのですが)。全体的な内容が良かった分、こういったちょっとしたところでの出来・不出来がとても気になります。
もっとも、「突き」のコースを意識するあまり、逆に姿勢が崩れたりすれば意味がありません。あくまでも上肢のコントロールということで稽古を重ね、決して姿勢の崩れを武技の質と勘違いしないことが大切です。
稽古では他にもいろいろアドバイスしましたが、結構長くなっているので、今日はここまでにしたいと思います。
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