輪転で捕り、投げ・関節技 | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 またBBK(ボディバランス空手)の話になります。


 この日のテーマが「輪転」であったことはお話ししてありますが、前半は単独稽古、後半はペアを組んで行ないました。


 いわゆる約束組手的な内容になりますが、「輪転」を活用して上でいろいろな種類の反撃法を稽古し、技の広がりを体験してもらいました。これまで「形(かた)」の解釈として、あるいは「打ち」、「蹴り」につなげるパターンを稽古したことをご紹介しました。これらは打突系の技になりますが、今日はタイトルにあるように「投げ」・関節技のお話です。


 空手道は「突き」や「蹴り」主体と思われがちですが、このブログで何度もお話ししている通り、本来は総合武術であり、今日お話しする「投げ」や関節技も含み、さらには武器術も存在します。それらは段階を経て少しずつ稽古していきますが、この日は先日お話しした通り、上級者ばかりしたので、今後の展開の予行演習的にということで、「輪転」からの広がりを体験してもらいました。


変手法15番 膝車










 まず「投げ」のほうからお話ししますが、千唐流で教授される「変手法二十八構(へんしゅほうにじゅうはちこう)」の中から「膝車(ひざぐるま)」という技を稽古しました。


 概要は上のイラストの通りですが、少し補足しましょう。


 相手は「中段追い突き(ちゅうだんおいづき)」で攻撃してきます。それに対して受ける側は、右手で「掬い受け(すくいうけ)」を行ないます。


 そこから「転身」し、イラストのように片膝を床に着け、斜め下方に捕った手首を一気に引き、投げます


 一連の動作を言葉にすればこんな感じになりますが、実際には相手も抵抗します。ですから、実戦では稽古のようにスムーズに行くわけではありません。それは、稽古では投げられる側が技の内容を知っていることで、その様に動き、技にかかってくれることが多いからです。


 そのことで技ができたと思いがちですが、こういう意識では武技になるわけではありません。「形(かた)」的に行なうのではなく、武技としての「手の内」をきちんと習得し、使える技にしなければなりません


 もっとも、この日は前述したように、いわゆるお披露目の意味で行ないましたので、細かなコツについてまでは説明していません。


 そして、この技の場合、床に膝を着くというところができない(膝が痛いため)という人がいたので、数回行なっただけで別の技を教えることにしました。


入り身投げ












 それが上に示して技で、これも「変手法」の中にあります。


 14番目の技で、「入り身背負い(いりみせおい)」と呼ばれている技です。


 基本的な流れは「膝車」と同じですが、投げる側の立ち方が違っています。この技では片膝を床に着けることはなく、「四股立ち(しこだち)」になっています。実際は相手との体格差を考慮して瞬時に判断すべきことですが、基本的には同じ体格の人を前提して稽古しますので、投げる側の姿勢を低くすることで「投げ」を容易にします


 前述した「膝車」の場合、片膝を着くことで結構姿勢が低くなりますが、この技の場合、手首を捕った後の身体操作に留意する必要があります。もちろん、「膝車」の場合にもその技独特の留意点があり、本格的に稽古する場合には両者の異同についても理解してもらい、その上で稽古することになりますが、前述のように、今回はそこまでは説明しませんでした。


 それは「輪転」や身体操作により、タイミングが合えばそれなりに姿勢が崩れることを理解してもらえたし、あくまでも今後の稽古の予行演習、という部分には変更がなかったためです。本格的に稽古するとなると、そんなにたくさんの種類は稽古できません。細かな問題点について個別にアドバイスし、その上で数をこなすからですが、そのようなコツを理解してもらわなければ力技になってしまいます。このようなことは直真塾でもBBKでも本意ではないので、「見えない技」の部分についてはレベルに応じ、しっかり教授していきたいと思っています。


腕十字  さて、関節技ですが、左のイラストに示した「腕十字(うでじゅうじ)」を稽古しました。


 これも「変手法」からの技で、22番目になります。


 ただ、「変手法」ではここから続きがありますが、今回はそこまでは行なっていません。


 また、最初の設定も少し変更してあり、その点も「変手法」の場合とは異なっています。


 このような稽古の場合、一般に受ける側は自然体で立っていることになりますが、今回は組手の場合同様、左足を前にして構えてもらってから行なっています。そのため、体捌き・運足などに相違が出てきます。


 自然体で立つ場合、相手が左右どちらで突いてきても、同様に対応できるし、そういう稽古につなげるための構えでもあります。


 しかし、組手の時の構えとなると、逆に制限が出てくることになり、またそれが特定の動作を容易にしたりすることもあります


 今回の場合、相手が「中段追い突き」で攻撃した場合、イラストのように突く側の体側に入り込むことは容易であり、その為に今回は体捌きを先行させて「腕十字」を極めることにしました。


 その違いを説明しますと、「変手法」で行なう場合、最初に右手で「掬い受け」を行ない、それと同時に体捌きを行ないます。その上で左の上肢を相手の肘に巻き付け、捕った手首を返して関節を極める、という流れになります。


 今回はまず体捌きを行ない、同時に相手の肘付近に自分の上肢を巻き付け、すかさず手首を捕って返し、関節を極める、という流れにしました。構えの設定の違いで変化させたわけですが、もちろん組手の構えの場合でも奥手で「掬い受け」を行ない、基本通りの動作を行なうことはできます。


 しかし、今回はこの技のポイントである肘付近に自分の上肢を巻き付ける、という身体操作に重きを置いての稽古にしました。


 今後、この日の稽古をベースにいろいろ展開していくこともあると思いますが、稽古生の方はいろいろなタイプの技を経験できたことを喜んでいらっしゃるように見えました。さらに興味が湧いてきて、より稽古が充実することを期待しています。





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