形の解釈として、転身を活用した猿臂 | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 昨日の続きです。


 先日のBBK(ボディバランス空手)は、上級者ばかりだったと書きましたが、それが稽古内容にも関係することになりました。


 大きなテーマは「転身」で、第1部では各自単独で行なう内容でしたが、第2部ではペアを組んで稽古しました。


 この場合、当然、約束組手的な内容になり、雰囲気的には直真塾での稽古の感じです。


 でも、これまでのBBKの話の中にも、ペアを組んで約束組手的な内容で稽古したということが何度もあり、この日もそのパターンで行なわれたと考えていただいて結構です。


 具体的には数種類の技を稽古しましたが、普段BBKではそういう稽古を行ないません。もしかすると、1つか2つくらいは昔、稽古したかもしれませんが、初めての技が多かったはずです。この点、確認していませんので定かではありませんが、最初に稽古した技はたぶん稽古したことがあるだろう、と思えるものでした。


 これはタイトルにもありますので、何かの「形(かた)」の動作がベースになっていることは推察できると思います。


 その上でお話ししますが、BBKでは「四方拝(しほうはい)」という「形」を、一部の人にだけ教えたことがあります。直真塾では「形」としては最初に行ないますので、入門間もない人以外、ほとんどの人が知っていますが、BBKの場合、稽古の目的が異なりますので、具体的な内容についても違ってきます。


 そこで今回の出席者ですが、「形」のウンチクに絡んで、「四方拝」の最初のところだけを稽古したことがあります。内容は「転身」による「突き」の稽古、運足の稽古、それから儀礼形としての意味を持つところから新年の稽古始めの際に、といった目的で行なったことがある動作です。


四方拝 初動作















 その内容は上のイラストに示してありますが、「形」では90度ずつ「転身」し、突いています


 今回の稽古では、通常の組手の構えから行ないましたので、90度というよりも180度に近い「転身」になりますが、この時の動作の解釈例として稽古したわけです。


 この動作自身については、以前稽古したことを思い出してもらうまでにとどめ、実際に「形」として事前に稽古するまでは行ないませんでした。


 ここで意識すべきは、相手からの攻撃に対して運足と体捌きでかわすことが第一です。それができなければ、相手からの攻撃が当たってしまうことになりますので、反撃は不可能になります。


 こういうことは1回やってもらえば理解してもらえますので、まず見本を見せ、その上で全員で稽古しました。


四方拝 解説1












 そこで具体的な技ですが、その様子が上のイラストに示してあります。


 タイトルからもお分かりの様に、ここでは「後猿臂(うしろえんぴ)」を極め技として用います。


 ただ、今回の稽古の場合、前述のように互いに組手の時の構えで行なったため、完全に上のイラストのような感じではありません。受ける側も「正整立ち(せいさんだち)」で構え、左の上肢が前方に位置している、という状態です。


 相手からの「中段突き(ちゅうだんづき)」に対して身をかわす時、運足を間違えたり、タイミングが合わないような場合、実戦では武技としての用を成さなくなります。もっともこの要素は、他の技でも同様ですので、稽古の際のアドバイスの要の一つになりました。


 「形」の中では「突き」と認識している動作ですが、実はここでは「引き手」の肘を活用した「後猿臂」であるというところに武技としての面白さがあるわけですが、この意識により「突き」も伸びるようになります。


 ただ、ここで用いているのは「後猿臂」という大変射程距離の短い技です。


 そのため、この技を武技として使用すようとすれば、当然の間合いの意識が必須になり、「形」として行なっているだけでは空振りしてしまうこともあるのです。


 そうならないためにも、解釈として稽古する際には間合いに留意し、相手の脇腹の位置にしっかり当てるようにしなければなりません。稽古ですから本気で当てるわけではありませんが、間合いに関してはきちんと認識できるはずです。


 相手との体格差ににより、間合いの調整は瞬間的に行なわなければなりませんが、いずれにせよ、ギリギリの見切りが必要な技です。そのため、「形」の解釈がBBKでの稽古にふさわしいかどうか、という問題はありますが、間合いの意識も大きな視点に立てば身体操作の一つです。護身術的な用法でも「猿臂」は効果的な武技の一つですから、ここではそういう意識で稽古してもらいました。


猿臂  ところで、「猿臂」の場合、きちんと効果を得るにはそれなりのポイントがあります。


 その一つが肘の角度ですが、しっかり意識しなければこの角度が甘くなり、「猿臂」の鋭さが欠けてしまうことが懸念されます。


 だからこそ、この稽古ではこの点にも留意してもらいました。


 冒頭でもお話しした通り、この日の出席者は上級者のみでしたので、基本の「その場突き(そのばづき)」などもこのステージあれば及第点のレベルです。「突き」の及第点には「引き手」の要素も必要ですが、それ自体がそのまま「後猿臂」になりますので、基本の「突き」がある程度できるということは、その点も及第点ということです。


 ただ、意識の主体が変わりますので、そういう変化についてきちんと認識し、そのイメージで身体を動かしているかどうか、ということになります。


 見ている限りではきちんと目的意識を持ってやっているように見えましたが、心の中もそうであってほしいと願っています。


 前述のように、他にも数種類の技を稽古しましたが、機会があればお話ししたいと思います。





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