闘志あふれる組手稽古 | 中山隆嗣の「活殺自在」

中山隆嗣の「活殺自在」

武道と癒しを中心に、生き方、日々のことを綴ります。

 先週の土曜日の稽古の話が中途半端になっていたので今日、その続きを書きます。


 4部構成になっていた稽古の3番目ですが、組手です。


組手 対峙する2人














 当日撮った写真がないので、以前の写真をイメージとして使っていることを了解してください。


 さて、この日出席していた良いライバル関係にある人たちの戦いは、客観的に見ていて質が高く、良い内容でした。


 イニシャルですが、S君とJ君です。


 今日の話はこの2名を中心に書いていきますが、最近はいつも最初にやってもらい、状況によって最後のほうにも再度やってもらうことが多くなっています。この日も同じような流れになり、最初の対戦はその2人です。


 最初に質の高い組手を見て、そのイメージで続いてもらいたい、という考えがあるからです。


 直真塾の組手稽古の場合、1本の基準は試合よりも厳しく、しかも多様な技を認めます。試合では有効打と認められにくいような技でも、その時のタイミングや打突部位、もちろんスピードやパワー、間合いなどの要素から1本になる場合があります。


組手 背刀打ち













 例えば「打ち技」ですが、ノンコンタクトルールでは時々見かけ、ポイントになるケースを見かけます。でも、防具付ルールの場合、実際に当てるために「突き」や「蹴り」のような技の重さを感じさせることを必要とし、ポイントになりにくいという側面があります。


 しかし、「打ち技」の場合、思わぬ角度・間合いからの攻撃技という特徴がありますので、実際に当てた時の衝撃だけで判断するのではなく、どのタイミングで、どの部位に当たったかということから、十分に1本に相当すると判断される場合があります。もちろん、その為には状況を判断するだけの目を持つ必要がありますが、その要素の一つが急所論の認識です。


 以前の稽古でのことですが、少年部からの移籍組同士の組手稽古で、上の写真のように「背刀打ち(はいとううち)」が極まった際、KOといったことがありました。防具を着けていても、状況によってはそのようなことがあるわけですので、技の種別で考えるのではなく、繰り出した技の質で考えるべき、というのが直真塾での組手稽古の趣旨です。


 もちろん、稽古は安全性を前提したものでなければならないので、無制限に何をやっても良い、ということではありません。そのような自分の意識ばかりを主張していては共に稽古する者同士の伸びは図れません。本当の強さというのは、その中に内在する余裕や優しさが必要であり、それを伴った内容でなければいずれその反動が自分にも回ってきます。だから、防具のないところへの攻撃、倒れた相手に当てるといった行為は禁止であり、きちんとコントロールされた場合のみ1本と判断されます。


 武術の稽古というのは、本来は闘争状態でないところで、疑似闘争状態を作り出し、その上で相手を制するための動きを学ぶわけですから、それがいつの間にか本当の闘争になっていた、ということは避けなくてはなりません。制御できるということができる人のみ、武術の稽古が許されていると考えなくてはならないのです。


低い中段突き














 話をS君とJ君の組手に戻しましょう。


 この日の組手は、タイトルにも書いてあるような雰囲気で、互いに引きません。前に前にと出ていき、「相打ち」と判断されるような技の応酬ばかりです。


 上の写真は大会での組手の模様ですが、まさにそのような感じで同じタイミングで攻撃し合っています。


 稽古としての組手も、大会同様の減点方式ですから、「相打ち」場合は相殺され、ともに1本になりません。ちょっとタイミングがずれていれば、と思われるケースが続きます。


 攻撃に入るタイミングが一致しているということでしょうが、稽古終了後にしたアドバイスは、もしこれが本当の戦いであれば、互いに体力の消耗戦になっており(いずれにも1本クラスの技が当たっているわけですから、それによる体力の消耗は大きくなります)、1対複数といった状況ならば結果として負けていることになる、という話をしました。


 そこでどうするか、という話をしたわけですが、「受け」を意識するということをアドバイスしました。


 稽古としての組手、あるいは試合としての組手では、「相打ち」であってもポイントを取られなかった、というくらいで済みますが、実戦の場で、しかも相手が複数という場合は体力も重要な勝負の要素です。もちろん、それは試合であってもそうですが、重要度が格段に違います。試合では命のことまでは関係しませんが、実戦では最悪、命がかかります。


 だからこそ、なるべくダメージを受けないようにすることが必要になり、稽古では互いに打ち合うことで闘志あふれる戦いと評されても、もう一つレベルを上げたところからの視点では、次の課題として「受け」の重要性を考えてもらうことが必要になるのです。


 この時の組手稽古の内容が良かった分、次のステージの課題についてアドバイスすることができ、いろいろな面で他の稽古生にも参考になる雰囲気だった稽古になりました。



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