天使の刻印 - 葉桜夏樹 Blog

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女性の脚、足、靴、踏みつけ、などをモチーフとする異端小説、幻想小説


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葉桜夏樹(はざくら  なつき)

もの書き。女性の脚、足、靴、踏みつけ、などをモチーフとする異端小説、幻想小説を執筆。「踏まれたい」(単行本)「ハイヒールで踏まれて」(kindle版)など。たとえば、femdom、フェティシズム、マゾヒズム、アルトカルシフィリア、マクロフィリア、ファイナンシャル・ドミネーション、クラッシュ、サイズフェチとか。e-mail address:natukihazakura-369☆yahoo.co.jp ☆を@にしてください。



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一 マリンヒルズ


その山(やま)裾(すそ)の漁師町は、近年、海の景観や都市部に近いことから開発がすすみ、切りひらかれた山の斜面には海にせり出すような豪邸や別荘が積まれていった。土地が安かったぶん建物にカネをかけたのか、どれも派手で無駄に大きかった。「マリンヒルズ」と呼ばれるその場所からは広大な海の景観を一望できた。


マリンヒルズと山裾の漁師町とは県道一本をはさんで、くっきりと住み分けができていた。県道は見えない国境となった。両者が行き来することはほとんどなかった。


過去には親睦の意味もこめて運動会や祭りなどの行事や催し物を一緒におこなったこともあったらしいが、互いに相容れないものがあったのか、すぐにそれもなくなったようだった。

 

それでも学校や役所は漁師町にあった。マリンヒルズの住人たちがまったく国境をこえないというわけではなかった。子供の学校は親が車で送迎していた。

 

マリンヒルズの子供たちのなかには学校に馴染めない子もすくなくなかった。学校へ行けなくなる子もいた。どうしても漁師町の学校に馴染めない子は遠くの私立に通っていた。子供の学校のことでマリンヒルズから転出する家族もすくなくなかった。

 

親からの愛情を受けるそんな子供がいるいっぽうで、親から虐待を受けたり家庭環境に問題がある子たちが入る児童養護施設が漁師町にあった。地元の子はいなかった。ほとんどが遠くから来た子たちだった。

 

井上悠人も親からの虐待を受け、そこに入った一人だった。悠人はその施設から漁師町の中学に通っていた。

 

漁師町の大人たちは施設の子たちには寛容だった。施設を出たあと地元で働く子が多かったこともその一因だった。

 

問題だったのは子供を持つマリンヒルズの一部の大人たちだった。偏見を持っていた。口にはしないが我が子と施設の子が机をならべることが我慢できないようだった。そういう親はたいてい漁師町の子も色メガネで見ていた。学校で何か問題があるとたいてい施設の子か漁師町の子のせいにしていた。

 

そんな一部の親たちの影響もあり、子供たちは小学校のときから自分が所属するコミュニティー(漁師町か、マリンヒルズか、施設か)を互いに強く意識した。

 

中学にあがるころには完全にコミュニティーの棲み分けができていた。それは見た目でもわかった。たとえば制服から私服に着替えるとマリンヒルズの子たちは男子も女子もおしゃれに変身した。

 

漁師町の子たちも今風に小綺麗にはしていたが、どこかあかぬけない感じだった。

 

それにくらべて施設の子たちはあきらかにその両者より見劣りした。シミがあったり袖口がほどけていたりする着古しの服ばかりを着ていた。悠人が着ていたのは、学校の制服もふくめて、そういう着古しの服ばかりだった。服以外の持ち物もだいたいそんな感じだった。

 

また施設の子だけが持っていない決定的なものがあった。携帯電話だった。学校側では厳しくそれを禁止していたが、それを守る生徒たちでもなかった。秘密などは全部携帯電話でやり取りされていた。ネット上にもコミュニティーができあがっていた。自分が属するコミュニティーへの帰属意識をますます強めた。棲み分けと格差をあらわにした。

 

たとえば校門でもそれは見られた。登下校の時間になると校門前の路上にマリンヒルズの車がずらりとならんだ。運転席にはたいてい身ぎれいな母親が座っていた。「車に乗る」イコール「マリンヒルズの子」だった。

 

そんな車が漁師町や施設の子が歩く横を通り過ぎていく。漁師町の子たちは学校から家が近いからまだいい。彼らに車の送迎にたいする妬(ねた)みはたぶんなかった。

 

しかし学校からかなりの距離を歩く悠人は違った。車で送迎してもらえる子たちを妬んだ。そんな悠人の横をマリンヒルズの子たちの車がこれみよがしに通り過ぎていく。悠人には車の送迎が親からの愛情に映った。卑屈になった。言い知れぬ格差を感じた。そんなとき顔を伏せて下をむいて歩いた。そのせいで、ついこのあいだも危うく車に轢かれそうになった。

 

うしろからのクラクションで車道に出ていることに気づいた。悠人はあわてて歩道に戻ったが、そのとき手に持っていたもの(給食で出たサンドイッチ)を地面に落としてしまった。

 

車のスピードは出ていなかった。ゆっくりだった。それなのに車はサンドイッチをよけずに轢いた。助手席側の前輪後輪のタイヤで轢いていった。

 

助手席にいたのは同じクラスの戸田夏香だった。夏香は自分が乗る車がサンドイッチを踏んだことに気づいていた。助手席の窓から踏んだものにふり返る彼女の顔が見えた。口もとが笑っている。ついこのあいだ彼女からはかなりひどい目に合ったばかりだった。笑みはそのときのこともふくんで見えた。

 

サンドイッチはぺしゃんこに踏み潰されていた。パンの表面にはビニールの包装ごとタイヤの溝が立っていた。中身も全部出ていた。

 

悠人はそれを拾うとまた歩きはじめた。歩きながらサンドイッチを大事に食べた。パンにはタイヤのゴムの匂いもまじっていた。

 

夏香の顔が浮かんだ。間違いなく学校で一番の美少女だった。しかも学級委員だった。とても手を出せる相手ではなかったが、性格の悪さは有名だった。それでもコミュニティーを問わず、彼女のことを想う男子は多かった。彼らと似た心情は悠人にもあった。が、悠人の場合、夏香に限らず、どんな女の子にも積極的にはなれなかった。

 

ヨシアキにそれを話すと、
「俺たち、親から虐待されただろ? 母親からさ。だから女の子には自信がないんだよ」と説明された。

 

ヨシアキも施設の子だった。歳も同じだった。寮では部屋も同じだった。施設に入った時期もだいたい同じである。ヨシアキとは、学校側が考慮したのか、それとも施設側がそう頼んだのか、小学校のときから今に至るまでずっと同じクラスだった。さいわい彼とは気が合った。親から虐待された者同士、何か共通するものがあったらしい。

 

ヨシアキが受けた虐待は悠人のそれより深刻だったようだ。
「俺、母親からさ、何度も殺されかけたんだぜ」が彼の口癖だった。

 

夏香が乗った車から轢かれそうになった次の日、悠人が一人で学校から帰っていると偶然ヨシアキが前を歩いていた。そのことをヨシアキにまだ話していなかった悠人は彼に駆け寄った。

 

声をかけるとヨシアキが足をとめてふり返った。黙って目を伏せている。悠人は表情に不自然さをおぼえた。

 

ヨシアキがまた歩きはじめた。

悠人も彼の横を歩いた。

「きのう車に轢かれそうになったんだ」

悠人が言った。
あまり関心がなさそうな目でヨシアキは悠人を見た。
ところが、
「夏香の乗っていた車に轢かれそうになったんだ」と悠人がそう言いなおすとヨシアキの表情が動いた。

 

そのときの状況を話した。サンドイッチのことは伏せた。
「俺だったらよけなかったかも・・・」と本気とも冗談ともつかない口調でヨシアキは返した。

 

そのあともヨシアキとならんで歩いた。しかしほとんど何も話さなかった。最近は学校でも施設でも互いに立ち入った話はしなくなっていた。互いに黙りがちだった。仲が悪くなったわけでもなかった。無関心とも違った。思春期あたりから男兄弟は互いに口数がすくなくなると聞いたことがあるが、それと似た関係ではないかと悠人は勝手にそう思っていた。

 

ヨシアキが左手に持ったサブバッグが気になった。ふくらみすぎて開け口のファスナーが半分ひらいている。

 

悠人は中身をたずねた。
ヨシアキは何もこたえなかった。その表情にさっきと同じ不自然さをおぼえた。
サブバックの持ち手に悠人は手をのばした。無理に持ち手をにぎった。ヨシアキの足がとまった。悠人をにらんだ。「手をはなせ」とヨシアキがサブバッグを強く引っぱった。悠人は手をはなさなかった。引っぱり合いになった。サブバッグのファスナーが全部ひらいた。開け口がはだけ中身が出た。地面に落ちた。

 

二人は手をゆるめた。二人の目は地面に落ちたものにあった。上靴の片方が落ちていた。赤いゴムのふちがついた上靴だった。女子の上靴だ。悠人の手はサブバッグからはなれていた。

 

長い沈黙がおりた。
最近、教室で笛や体操着やノートなどが紛失することが続いていた。それはどのコミュニティーでもおきていた。悠人とヨシアキも上靴を盗まれた。というか捨てられていた。それも何度もだった。悠人はそれを「靴なんてお前らには贅沢だ。お前らは裸足でいろ」ととった。

 

いくら新しい上靴を買っても二人の上靴はすぐに捨てられた。二人は学校で上靴をはくことをあきらめた。生活指導の先生も事情を知ってか知らずか裸足の二人に何も言わなくなった。しかし裸足でいることで二人は学校で嫌がらせを受けていた。

 

悠人は地面に落ちた上靴を拾った。「戸田」と靴の甲にあった。戸田夏香の上靴だった。悠人は動揺している自分に気づいた。このあいだも二人は彼女からひどい目にあったばかりだ。悠人はあのときの復讐だと思った。サブバッグの開け口からはほかの上靴も見えた。それらも赤いゴムのふちがついていた。誰の上靴かそれもだいたい見当がついた。

 

ヨシアキが悠人の手から夏香の上靴を取った。上靴をサブバックに戻した。そして一人でまた歩きはじめた。先を急ぐように悠人から離れていった。

 
施設の寮に戻ってからもヨシアキは様子がおかしかった。いつもであれば食事がすんだあと食堂でみんなとテレビを観るヨシアキだったが、その日はそそくさと部屋へ戻っていった。

 

悠人も部屋へ戻った。部屋は二人部屋だった。ヨシアキは二段ベッドの上のベッドで横になっていた。ヨシアキの机にはサブバッグがある。バッグはまだふくらんだままだった。開け口はファスナーでとじられていた。

 

悠人も二段ベッドの下のベッドにもぐった。仰向けになった。そして上のベッドにむかって、
「どうして上靴を?」とたずねた。

 

すこし遅れて、
「みんなには黙っていてくれ」と返ってきた。

 

蚊の鳴くような頼りない声だった。上のベッドがきしんだ。ヨシアキがベッドのハシゴを伝いおりてきた。

 

ヨシアキが自分の机のイスに腰をおろした。ファスナーが走る音がした。サブバッグを持ちあげて開け口を逆さにした。複数の靴が机に散らばる音がした。部屋全体に靴の匂いがこもった。酸味のカビ臭い匂いが鼻をついた。女子たちの足の匂いだった。

 

悠人も二段ベッドから出た。自分の机のイスに腰をおろした。ヨシアキの机を見た。上靴が三足あった。「戸田」と書かれた上靴に目がとまった。上靴はヨシアキの机を踏んでいた。他の上靴にも名前が書かれていた。やはりエリとモエコのだった。二人とも美少女だったが夏香と同じくらい性格が悪かった。三人はマリンヒルズの子たちだった。目がヨシアキの足にむいた。両足の甲にはあのときの赤黒い丸いアザがあった。


 

二 あのときのこと


 

何度も上靴を捨てられ、上靴を買うことをあきらめると、二人は靴下をはいてしばらくは過ごしていた。しかし裏が真っ黒になり、すぐに破れるので靴下も脱いだ。裸足になった。ところが、そんな二人の足をわざと上靴で踏んでくる意地悪な女子たちがいた。夏香、エリ、モエコの三人だった。クラスで中心の女子たちだった。

 

最初は偶然だった。クラスの女子から上靴でうっかり足を踏まれたヨシアキが情けない声をあげた。そうとう痛がった。それを三人の女子たちは見ていた。素足を靴で踏む意地悪を気づかせた。

 

担任は無関心だった。男子が男子にそれをやると「いじめ」ととるが、女子が男子にそれをやっても「ふざけている」としかとらない担任だった。三人は女子という立場を利用して二人の足を踏む意地悪を繰り返した。

 

エリとモエコは人目も気にせずに露骨に踏んできた。しかし夏香は学級委員という立場がある。人前では踏まなかった。やり方も狡(こう)猾(かつ)だった。偶然を装い、人目につかないところで楽しむように踏んでいた。踏みつけ方も激しく容赦はなかった。片足でしばらく踏み続けることもあった。そんなふうに思いきり踏んでおきながら、そこにクラスのイケメン男子などがあらわれると夏香は急に態度をかえた。「ごめんなさい。痛くなかった?」などと聞こえよがしに心配そうな声を出したりもしたが、その目はあきらかに笑っていた。

 

そんなひどい目にあいながら二人は彼女たちに何も言い返せなかった。とくにヨシアキは三人の女子の前に出ると急にちいさくなった。自分から足を踏ませているようにさえ見えた。

 

三人の女子たちは痩せてはいるが背も高くそれなりに体重もありそうだった。姿勢も堂々としていた。それにくらべヨシアキはクラスの男子で一番背が低かった。悠人は二番目に低かった。体つきも二人は猫背で貧相だった。

 

そんな二人の素足を三人の女子は全体重をかけて踏むのだ。いくら上靴とはいえ、鋭利なギザギザの滑り止めが刻まれた靴底で素足を踏まれると痛さもはんぱではなかった。自分たちより体格がいい女子たちから靴で踏まれるのである。無遠慮に力を込めて踏まれるのである。

 

そのうち悠人も知恵がついた。苦痛で顔をゆがめるほど、声をあげるほど、彼女たちがそれを楽しんでいることに気づいた悠人は、できるだけ平然とした顔で声を出さないように努めた。要するに、なんでもないことのように強がった。すると予想通り三人の女子たちは悠人の足をそれほど踏まなくなった。

 

そのことをヨシアキにも伝えたが、彼はむしろ前よりも大げさに顔をゆがめたり声をあげたりしていた。三人の女子はますます彼を踏むのをおもしろがった。悠人はそれを歯がゆい気持ちでながめていたが、何かモヤモヤするべつの感情がくすぶっていた。悠人はそのモヤモヤがわからなかった。

 

ある日の昼休み。悠人が教室に入るとヨシアキの席にエリとモエコの二人がいた。夏香の姿はなかった。ヨシアキはイスに座って机に目を落としていた。いじめのけはいを感じた。悠人は自分の席に腰をおろしてその様子に目をむけた。目をむけるだけで体は動かなかった。女子たちがヨシアキにあびせる心ない言葉に胸をつかれるが、かといって「いいかげんにしろ」とそこに割って入る勇気はなかった。

 

ヨシアキの背中がちいさく見えた。もし、いじめにあうオーラがあるとしたら、それが出ていた。
「ほら、足を出して」とエリの声が聞こえた。

 

ヨシアキが曲げていた両膝を前にのばした。机の下から両足を出した。エリが前の席のイスを引いた。その背もたれを持ちあげ、ヨシアキの両足の甲にイスの後脚をかざすと、
「イスが踏めるように足をひらいて」と言った。

 

イスの後脚の幅にヨシアキが足をひらく。すると両足のそれぞれの甲をイスの二本の後脚が踏んだ。足の甲の厚みぶん、座面は前にすこし傾いている。背もたれもすこし高くなっている。

 

その傾いた座面にエリが腰をおろした。ヨシアキは言葉にならない声を教室じゅうに響かせた。教室には悠人以外にも数人の生徒がいるにはいたが、みんな彼女たちがやっていることには無関心だった。

 

ヨシアキにたいしエリは横向きに座っていた。座面は彼女が座っても傾いて見えた。エリは背もたれを右の脇にはさむと、それを支えにブランコでもこぐように両足をまっすぐとのばした。両方の上靴は床から離れていた。イスの後脚に体重を集めていた。エリはヨシアキの苦痛でゆがんだ顔を満足そうにながめていた。そばにいるモエコもそれをニヤニヤしながらながめていた。

 

エリが腰をあげた。くるりと体を返した。今度はイスの座面を右の上靴で踏んだ。左の上靴は床に残している。背もたれを左手でつかみ、前かがみに座面を踏む右足にぐいっと力を込めた。それに合わせてヨシアキの声も大きくなる。エリの左の上靴が床を蹴った。イスの上に完全に両足で立った。ヨシアキが静かになった。

 

すこし遅れてからおぞましい声が教室に響いた。エリもモエコもべつにその声に驚く様子はなかった。おかまいなしだった。むしろ悲痛な声をおもしろがっていた。エリは下をむいていた。自分が乗ったイスの後脚がヨシアキの素足を踏んでいるのを笑っている。モエコの目もそこにある。もちろん笑っている。

 

傾いた座面に立つのは不安定なようだった。バランスを保つのに適当に座面の踏む位置をかえている。座面の踏む位置によってヨシアキの苦痛の声が変化する。たとえばヨシアキの足を踏む後脚側に寄ったりすると声は強くなった。反対にイスの後脚側から遠ざかると声は弱くなった。エリとモエコの二人はそんな声の強弱でさえおもしろがった。

 

イスの脚の裏の接地面はハイヒールの踵ほどではないが、それでもわずかな面積だった。その面積の二本の脚に女子一人の全体重がかかっている。

 

モエコが「私も乗る」と言い出した。
エリ一人でもかなりの重みだ。その上、モエコの重みまでかかるとなると骨折するのではないか。やめさせるべきだ。しかし体が動かない。腰があがらない。「やめろ!」と叫べない。

 

モエコはイスの座面に足をかけている。彼女もイスに乗る気だ。たまらず悠人は目をそらした。エリとモエコの笑い声にネコが喉をしぼったようなヨシアキの声がまざる。

 

悠人はそらしていた目をヨシアキの席にむけた。エリとモエコの二人がイスに立っていた。二人とも後脚側にいた。二人の上靴はヨシアキの足を踏む二本の脚を分け合うようにその上の座面をしっかりと踏んでいた。

 

イスの上で二人がちいさく跳ねはじめた。彼女たちが跳ねるたびにヨシアキの陰惨な声が波打った。助けを乞う響きもこもっている。机に顔を伏せて両手にはこぶしをにぎっている。

 

さすがに悠人もイスから腰が浮いた。それをやめさせるためにヨシアキの席にむかいかけたとき教室の扉がひらいた。悠人は足がとまった。

夏香が入ってきた。エリが「おいで、おいで」とイスの上から夏香に手招きした。夏香はエリの手に吸い寄せられるようにヨシアキの席に歩いた。
「ねえねえ。夏香も乗ったら」とモエコ。

 

イスの上の二人をながめていた夏香だったが、うしろの席でうめき声をもらすヨシアキに気づくと、彼の両足にも目がふれ、なるほどね、という表情になった。

 

夏香は学級委員だ。教室には悠人以外にも数人の生徒が残っている。その目もある。イスの上の二人に口先だけの注意くらいはする。そう思った。ところが彼女の口から出た言葉は「おもしろそう。私も乗る」だった。

 

イスの上の二人が夏香が乗る場所を空けた。空けたのはヨシアキの足を踏む後脚の座面だった。夏香の右の上靴がその座面を踏んだ。左の上靴はまだ床に残している。背に人の視線を感じたのか夏香が突然ふり返った。
「文句ある?」と悠人をにらんだ。

 

憎々しげに目をとがらせた。
立ちすくんだまま悠人は夏香の目に何も言えずにいた。体がセメントのようにかたくなった。

 

ふん、と鼻を鳴らして夏香は体を前に戻した。左の上靴の踵を大きくあげた。右の上靴でイスの上に踏み乗った。ヨシアキの声色が変わった。夏香が両足をそろえたのはヨシアキの右足を踏む後脚のすぐ上の座面だった。脚のちいさな丸い接地面に夏香の全体重がある。いや彼女だけではない。イスにはエリとモエコもいる。彼女たちの体重もふくまれている。イスの座面が上靴だらけに見える。三人の女子たちは互いの体につかまり、イスから落ちないようにして立っている。




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【あらすじ】


ある地方の山裾の漁師町に様々な事情を持った子が入る施設がある、悠人とヨシアキの二人はその施設から中学に通っていた。学校で二人は学級委員の夏香をはじめとする女子たちから執拗な「いじめ」にあっていた。そんなある日、二人は夏香の誕生会に招かれる。そこでは夏香の二人の姉、冬香と春香が待っていた。美人三姉妹からの残酷極まる虐待が待っていた・・・



【内容より一部抜粋】


悠人は転がるようにヒールから逃げた。それをパンプスが追いかける。ボールを蹴り転がすように壁際に追いつめる。そこで背中を踏みつける。とがった踵を左右にひねり、鞭痕の皮膚にぐりぐりと無理に押し込んでくる。


背中は汗でねっとりぬれている。滑りやすくなっている。背中を踏むつもりのようだ。ヒールを皮膚にしっかり食い込ませてくる。背中からすべり落ちないためのようだ。強い踏圧が加わる。まだ片足だ。悠人は目をかたくつむった。両手のこぶしをにぎりしめた。すぐに両方のパンプスから踏まれた。


*


突然、頭上で空を切る音がした。皮膚が裂ける音がした。左肩から腰に熱いものが走った。刃物で切りつけられたのかと思った。声を出す暇もなかった。あとから激痛がじわりときた。


土下座の恰好で首だけをおこした。目をあげた。冬香の右手から鞭が垂れていた。鞭の先が生きた蛇の舌に見えた。その舌が床を舐めまわしていた。さらに高く目をあげた。冬香の顔を見あげた。目が不思議とまどろんでいる。すべてを本能にゆだねる目だった。


*


その夏香が運転する車がこっちにむかってくる。悠人は全力で走った。走ったと言っても下は砂地である。はやく走れるわけがない。足が絡まる。それに相手は車だ。すぐに追いつかれる。


体にふれるかふれないかギリギリで車が横を通り過ぎていく。その風圧で前のめりに悠人は砂に両膝をついた。車が行ったあとにタイヤの轍(わだち)が深い溝となって残った。砂は車の重みで圧縮されタイヤのトレッド模様が刻まれていた。その模様に夏香の重みがふくまれていることを想った。



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イスに腰をおろすと彼女が「舐めて」と右のハイヒールのつま先をあげた。靴底には踏んでいた食パンがイチゴジャムを塗ったせいで接着剤のようについていた。


その踵を床で、二、三度たたくと食パンはあっさりと床に落ちた。生地の真ん中は踏みあとで三角に深くくぼんでいる。靴底にはイチゴジャムがべっとりと残っている。彼女が言った「舐めて」とはこれのことだろう。私はそう判断した。食パンよりも先に靴底に口をつけた。


彼女は黙って靴底を舐めさせている。イチゴジャムの甘さが内臓にしみわたる。舌の音を立てて舐める。靴底からジャムがなくなるとハイヒールはまた食パンを踏みつけた。そしてイチゴジャムをたっぷりと吸った靴底を見せた。私はその靴底をまた舐めあげた。それを何度も繰り返した。(下書き原稿)






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「どうしたら、踏むのをやめてくれるんだ?」
おそるおそるたずねた。
それを三人は話し合っている。しかし聞こえてくる話は私の踏み方の算段だった。三人のなかの一人が私をにらんだ。
「土下座」と静かに言った。


土下座? なぜ? とも思うが、土下座程度ですむのであればと、うしろにさがり、腰をおとした。膝をつき正座した。靴で踏む床に両手をついた。すぐ目の前には三人の女子社員のパンプス。それにむかって床にひたいをつける。三人が笑う声。その笑いを一身にあびる。ある意味、身体の苦痛より痛い。


床についた両手の甲を踏まれる。最初は本底で押さえるようにかるく踏んでいたが、そのうちヒールで踏みはじめる。加減がなくなる。苦痛で腰がくねくねおよ

ぐ。体もくずれる。踏み潰される虫の心地をおぼえる。


ただ踏まれただけなのに力を使い果たしていた。パンプスたちはまだまだ踏みたがっている。両手は全体にわたり指先まで赤く腫れている。三人のパンプスのそれぞれの靴底模様もしっかりと刻まれている。手は死んだように動かない。そうやってながめると、自分の手ではない気がしてくる不思議さ。


三人のパンプスの表情が動いた。また踏みはじめる。今度は左右の手をわざと踏みながら目の前で往来する。踏む場所をすこしずつ変えながらゴミでも踏むように無造作に踏んでいく。はやく歩いたり、ゆっくり歩いたり、足に力を込めたり、込めなかったり、そのうち踏み方もやみくもになる。とまった状態で踏まれるより歩きながら踏まれるとかなりの衝撃だった。


彼女たちにしてみると、日ごろ床を歩くときと同じかも知れない。床の上にあるモノを踏んでいるだけかも知れない。しかしモノじゃない。生きた人間の手だ。私の手はかたい床とは違う。(下書き原稿)



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担任はクラスのことに無関心だった。男子が男子にそれをやると「いじめ」ととるが、女子が男子にそれをやっても「ふざけている」としかとらない担任だった。三人は女子という弱い立場を利用して(親がいないとか、みすぼらしいとかいった理由だけで)二人の足を踏んでいた。


ルイとユイは人目も気にせずに露骨に踏んできた。しかし彩奈はいちおう学級委員長という立場があるのか人前ではそんなことはしなかった。そのぶん、やり方は狡猾だった。人目につかないところで偶然を装い二人の足をさんざん踏んでいた。踏みつけも激しかった。容赦なかった。片足でしばらく踏み続けることもあった。そんなふうに思いきり踏んでおきながら、そこにクラスのイケメン男子などがあらわれると急に態度をかえた。「本当にごめんなさい。痛くなかった?」などと(聞こえよがしに)心配そうな声を出したりもしたが、その目はあきらかに笑っていた。(下書き原稿)


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マゾヒストの婚活: アルトカルシフィリア 価格 972円  


田辺啓介は婚活をはじめた。高卒で地方公務員。年齢は三十六歳。年金生活の両親と実家で同居をしている。子供のころから住んでいる古い借家である。兄弟はいない。職場と自宅とを往復する単調な毎日。給料は安い。が、休みはとれる。


今の生活に不満はない。そうなると無理に結婚しなくてもとなるが、それでも、ときどき人とのつながりがまったくないことに気づく。ふと寂しさをおぼえることがある。最近やたら家族連ればかりが目につくようになった。あんがい孤独であることに気づかされる。老境に入った両親も体が言うことをきかないと愚痴をこぼすようになった。ぼんやりとした不安が込みあげる。それで婚活をはじめてみることにした。


ある土曜日の午後、ネットで見つけた結婚相談所に出かけた。駅前の小綺麗な雑居ビルのなかにそこはあった。エレベーターで四階にあがり廊下をしばらく歩く。突き当たりのドアに結婚相談所の社名入りのプレートを見つける。ドアをあける。狭いオフィス。若い女性が四人。いっせいに啓介に目をやり、にっこり微笑んだ。


全員、美人すぎて思わず息をのんだ。一人が腰をあげて啓介に応対する。一番美人の女性だ。美人を前に緊張しながら名前をつげる。 メールで無料相談を申し込んでいたことがわかると、「ようこそ、お待ちしておりました。こちらへ、どうぞ」とブースがある奧へと通される。 女性のあとに続く。スレンダーで啓介よりも背が高い。彼女がはくパンプスの靴底の表情に目がいく。細い横線の溝が刻まれている。踵の面積はちいさい。


(ああ世の中にはこんな美人と付き合ったり結婚できたりする男がいるのだ。こんな美人から顎(あご)で命令されてみたい。靴を舐めろと命令されてみたい。彼女の前に跪(ひざまず)き、その靴底を舐めてみたい。踏まれたい)


そんな妄想をたずさえながら啓介はブースに案内されると彼女からあらためて挨拶され名刺を渡された。名刺には「結婚アドバイザー 北山美鈴」とある。歳は二十代前半といったところか。まだ少女のあどけなさを残している。彼女とオフィステーブルをはさんで腰をおろした。 あらためて美鈴の顔をながめる。やはりかなりの美人だ。すっかり彼女の顔に見入ってしまう。しかし目が合いそうになるとすっと視線をそらしてしまう。これで本当に婚活などできるのだろうかと不安になる。


視線は勝手に美鈴の唇から胸もとへと舐めるようにすべり、最後はテーブルの下のパンプスへと落ち着く。黒のシンプルなデザイン。つま先はポインテッドツゥ。ヒールの高さは五センチほど。タイプの靴だ。ここが一番落ち着くながめだ。「さっそくですが、そちらにご記入いただけますでしょうか?」 パンプスから視線を戻すと美鈴が微笑んでいる。いつのまにかテーブルには一枚の紙とボールペンが目の前に置かれている。


紙には「氏名、住所、電話番号、勤め先、学歴、身長、体重」そして一番下の欄には「相談内容」の記入項目がある。 啓介がなかなかボールペンをにぎらないでいると、「差し障りのない範囲でかまいませんよ」と美鈴が優しく言った。 啓介はあわててボールペンをにぎる。記入事項を埋めていくが最後の「相談内容」の項目で手がとまる。いったい何を相談したかったのか。女性との縁がないことか。啓介はわからなくなる。


今の職場は公務員とはいっても土木建築課の技術職で作業着を着た男ばかりである。高校時代は工業高校だった。学校全体で女の子は二十人もいなかった。それも不細工ばかりだった。中学時代は男女共学だったが、そのころは父親が病気で倒れ家計を助けるため学校には内緒でアルバイトをしていた。塾へも通えず部活もできなかった。女の子どころか男の友だちもすくなかった。


過去を語ると暗くなる。それでもグレずになんとかやってこれたのは、たぶん親がちゃんとした人間だったからだろうと今ふり返るとそう思う。 高校を出ると公務員になった。おかげで経済的には安定した。両親の年金と合わせれば、ささやかだが家族三人それなりの生活ができるまでになった。子供時分の貧困生活にくらべると雲泥の差である。 そんな啓介でもときどき無性に寂しくなる。心がかわいている。


職場の上司や同僚たちにはみんな妻がいて子供がいる。家族がいる。職場以外の友だちもいる。趣味もある。しかし啓介にはそれらが何もない。家族がいるといっても両親との暮らしであり子供時分からの固定化された家族である。結婚して一家をかまえているのとは違う。職場にはもちろん啓介以外にも独身はいるが、みんなまだ二十代である。三十代で独身は啓介だけである。


せめて何か没頭できるような趣味でもあればとも思うが、ものごころがついた時分から貧困にあえぐ生活のなかから、そんなものを見つけられるわけがなかった。食っていくことに必死だった啓介は完璧な無趣味だった。おまけに何の取り柄もなかった。顔も粗末だ。自分が無価値な人間に思えた。虚無感が嘔吐に似た感じでいつも押し寄せた。それらの卑屈は奇異な性癖とのつながりをますます強く求めていった。


そんな男が公務員となり、それなりに時間もできると、それはそれで苦痛だった。カルチャーセンターで何か習い事でもすれば埋められるものでもなかった。そうやって行き着いた結論は結婚だった。一家をかまえること。そして妻や子供のために時間を使うこと。それしか寂しさや虚無感から抜け出す方法はない。


そんなことを考えながら「相談内容」に視線を落として、ぼんやりとしていると、「無理に書かなくてもけっこうですよ」 美鈴は「相談内容」の項目で長いこととまっているボールペンを見かねたようだった。


啓介はテーブルの紙から顔をあげた。美鈴は微笑んでいる。彼女の微笑みをながめながら、この女性は子供のころからずっとシアワセのなかにいたのだなと思った。自分なんかとは大違いだと思った。まったく別次元の人だと感じた。その彼女にいったい何を相談するというのだ。また相談してみたところで彼女にいったい何がわかるというのだ。何をアドバイスできるというのだ。急に何かが失せた。結婚なんて・・・、と。


すると美鈴のほうから、「どんな女性がお好みですか?」とたずねてきた。 好みの女性ときかれても困る。ネットなどでたまに見る婚活情報からそんなことが言える身分ではないことくらい心得ている。選ぶのは自分ではない。向こう様なのだ。だから、「私をいいと思ってくださる方ならどなたでもよいのですが」とこたえるしかなかった。


それを聞いて美鈴がすこし困った顔をする。 結婚できるのなら誰でもいいです、と解釈したのか、啓介の言葉を投げやりととったようだ。「いろいろと相手に注文をつけてくる方もそうですが、反対に、ご自身のなかに結婚したい相手の像が浮かばない方も、経験的に言って、なかなかご縁をいただけませんね」と美鈴が優しくたしなめる。


笑みは消えている。「そうなんですか」と啓介はため息をつく。 続けて、「年齢的にはどうですか? 三十五歳以上の男性の場合、たいてい一(ひと)回(まわ)りくらい年下の二十代の女性を希望されたりしますが・・・」とたずねられる。「ね、年齢ですか、こだわりはありません」と啓介は返す。


美鈴は話の糸口がつかめたと思ったのか、すこしほっとした表情で、「お子さんが欲しいと強く望まれる男性の場合、やはり女性の健康状態とか年齢をすごく気にする傾向にあります」と話を進める。


啓介は黙って美鈴の話に耳をかたむけている。「田辺さんの場合、そういった年齢的なこだわりがなければ、かなり選択の幅もひろくなります。それに公務員ですし。公務員の男性は収入も安定していることから女性にも人気がありますよ。けっこうご縁があるのではないでしょうか?」 美鈴が啓介の顔をのぞき込む。心のこもった目だった。


「はっ、はあ・・・そうですか・・・」 啓介は頼りなく、それにうなずき返したが、これまでに経験したことがない不思議な心地にもすこし酔っていた。 女性から、それも美鈴のような若い美人から認められた気になったからだ。美鈴の言葉は営業用のトークだとはわかっている。それでも美人から客観的に承認されるとこうも嬉しいものなのか。自信がつくものなのか。「私の経験から、田辺さんの場合、必ず素敵なパートナーに出会えると考えます。どうでしょう?


弊会に入会されてみては?」 美鈴が手もとにあった相談所のパンフレットを啓介のほうにむけて差し出した。表紙は若い美男美女の結婚式の画像だった。教会前でみんなから祝福されている。見るからに男女はシアワセな表情をしている。しかし、その画像の男の顔を自分に入れ替えたり、その風景に小汚い両親の姿を挿入したりすると、結婚を現実的に肯定的に想像できなくなる。自分に結婚なんて、と気持ちが曇る。


美鈴が表紙をめくり説明をはじめる。この相談所で結婚にゴールインできた元会員の体験談がいくつも載っている。ついでに結婚後のシアワセそうな家族画像までそえられている。みんな子供がいる。家族持ちからの年賀状でよく見る、あの手の画像だ。こんな家族を自分も持つことができるのだろうか。


ため息をつくと、「大丈夫ですよ。必ず結婚できます。私が保証します」と美鈴が力強く言った。 最後に相談所のシステムと費用についての説明があった。費用は啓介にとって安くはなかったが、かといって決して高いというわけでもなかった。気づくと「入会申込書」が目の前にある。迷いはなかったが、もし無理に迷いがあるとすれば、彼女には黙っていたが、じつはたったひとつだけこだわりがあることだった。


それを他人が聞けば、たぶん「なんだ」ということになるだろう。こだわりを美鈴に話すことにためらいはない。ただし、なぜこだわるのかを問われると困る。返答しようがない。それでも入会前にそのこだわりは確認しておくべきだ。そう思った。 たったひとつ、どうしてもゆずれないこだわり。 それをきいてみることにする。「あ、あのう、入会前にひとつだけききたいことがあるのですが・・・」「何でしょ?」


美鈴は微笑みながら首をかしげる。「あ、あのう、この会に『S学園女子高校』の出身者の女性はどのくらいいますか?」とたずねる。 美鈴が目を大きく見ひらいた。 昨今の少子化で、私立の男子校や女子高が生徒集めのため次々に男女共学に姿を変えていくなか、いまだに幼稚園から高校までの女子の一貫教育に力を入れているのが学校法人S学園だった。S学園女子高等学校はそこの高等部である。啓介にとってS学園女子高校はあこがれであり、その名を聞くだけで好きな女の子の名前を言い当てられたように動揺する。


S学園に通う女子生徒たちの父兄には地元の名士や医者や弁護士や企業の経営者などが多かった。しかしそれは幼稚園から小学部までの話であり、中等部以上になると、少子化の波か、サラリーマン家庭の子女も入学するようになったという。もちろんサラリーマン家庭といってもそれなりに裕福な層だった。


啓介が美鈴にたずねたのは、そんなお嬢様学校出身者がこの会にどのくらいの数いるかということだった。 そのことに、どうして美鈴が目を大きく見ひらいたのか。それはわからない。ただ言えることは自分のことをいいと思ってくれる女性であれば誰でもよいと言っておきながら、お嬢様学校出身者の女性にこだわるあたり、やっぱり、と美鈴も思ったに違いない。厚かましい身の程知らずと思ったに違いない。


目を見ひらいたのはその気持ちのあらわれだと思った。しかし啓介のこだわりは美鈴がおそらく想像している男――逆玉の輿を狙っている男――とは違うのだ。S学園女子高校に付き合っていた女の子がいたからとか、片思いの女の子がいたからとか、そんなありきたりの理由からでもない。そもそも、お嬢様学校のS学園女子高校の女子生徒たちが啓介など相手にするわけがない。


個人的にS学園女子高校出身者の知り合いがいるからでもない。そんな何のつながりもない啓介が、どうしてS学園女子高校にこだわるのか? 理由はべつにある。深い複雑な理由があるのだ。* 理由は啓介の体験にあった。時間を巻くと小学校時代にまでさかのぼる。新聞配達をはじめた五年生のころだ。そのころ啓介の家では父親が、入院はしていなかったが、腎臓を患い、思うようには働けず、パートに出る母親が一家を支えていた。


とうぜん母親の収入だけでは足りずに啓介も新聞配達をすることになった。そこの店長もはじめのうちは「小学生などとても使えない」と追い払っていたが、啓介がしつこく何度も何度も頼みにいくと、彼の家の事情を知ることとなり、けっきょく折れてしまった。そんなことがまだ許される時代だった。


配達は朝と夕方。雨の日も風の日も雪の日も、啓介は自転車で新聞を配り続けた。配達先のなかにはクラスの友だちの家もふくまれていた。そのときは気をつかった。新聞配達は学校に内緒だったので先生に告げ口されることを恐れた。そのせいで啓介は学校では消極的だった。友だちなどいなかった。そのころの自分をふり返れば、いつも伏せ目がちに下をむいていた暗い記憶しかない。


そんな啓介にも新聞配達でたったひとつだけ楽しいことがあった。それは配達先のなかにS学園女子高校があったことだ。 蔦(つた)が絡まるレンガ造りの校舎は、どれも屋根がとがっていて、まるで西洋の城のようだった。校門の鉄(くろがね)の門扉も巨大だった。彫刻がほどこされたそれは威圧的で排他的だった。S学園女子高校に来ると身分の差をいつもちいさな胸に感じた。 朝刊はとじた門扉のポストに新聞を入れる。夕刊は学校に入り玄関の受付窓口のカウンターに新聞を置くようになっている。


そのときだけ堂々と学校の敷地に入ることができた。啓介は楽しかった。門扉から校舎の玄関まではおよそ三十メートル。敷地に入った瞬間、空気が違った。匂いがある。啓介の鼻にしみついた生活臭とは違う世界の匂いだった。夕方、校門の横に自転車をとめ、新聞を持ってなかに入ると心がおどった。気持ちがはなやいだ。生きている感じがした。 S学園女子高校に新聞を配る時間はだいたい夕方の五時ごろだった。


間近に見るS学園女子高校の女子生徒たち。紺のセーラー服も黒のローファーも開校以来変わらないらしい。 父親から聞いた話によれば、S学園女子高校の創立者は炭鉱で巨万の富を築いた御崎なにがしとかいう大富豪だったらしい。その富豪が品位ある日本の女子を育む教育機関として創立したのがS学園女子高校だった。開校当時は全寮制で、中央から優秀な教諭を大勢引き抜いてきたということもあり、良家の令嬢が全国から集まったという。


戦中戦後の物がない時代でもセーラー服姿でローファーをはき、バイオリンケースを持って寮から通学する子がいるような学校だったようだ。そんな彼女たちの姿を富の象徴として地元の人たちは羨望の目でながめていたという。 ところが彼女たちが、金持ちを鼻にかけてお高くとまっていたのかといえば、まったくそうではなかった。自由な校風だったこともあり、あんがい野放図だった。学校から寮までの帰り道に平気で買い食いをするところや、日曜日などの休みの日には、流行の服をまとい、頭にはリボンをなびかせ、さっそうと町を歩く姿をよく見かけたらしい。


そんな彼女たちを地元の人たちは好意的に見ていたようだ。それは女子生徒たちに共通する性格にあった。さっぱりとした性格にあった。また怖いもの知らずでもあった。地元の人たちは「炭鉱で働く、この町の荒くれ男よりも、あの娘たちのほうが、よっぽど気(き)っ風(ぷ)がいいじゃないか。本物のお嬢様とはあんなものなのかね――」などと噂し合ったほどだった。


そういう彼女たちも、寮の近くを流れる川の土手で、花をつんだり、川をながめながら、みんなで歌をうたうような少女っぽさもあった。彼女たちに生活の匂いはなかった。人生の厳しさも憂(うれ)いもなかった。まるで妖精のように眩しく輝いていた。戦中の暗い世相や戦後の混乱期のなか地元の人たちは彼女たちのそんな姿に慰められたという。


当時のそういったS学園女子高校の様子は映画「乙女たちの園」のなかでうかがい知ることができる。昭和三十年代に撮られた映画で、昭和の大女優、白鳥節子の代表作としても知られる名作である。他にも昭和の有名女優たちの若かりしころの姿を見ることができる作品でもある。


その映画のなかで女優たちが着ていたのがS学園女子高校の紺のセーラー服だった。そして、はいていたのが黒のローファーだった。映画には当時のS学園女子高校の女子生徒たちもエキストラ役として出演していた。この町の年寄りたちは、いまだに当時の撮影風景をおぼえているという。町は映画のロケが行われるとあって大変な騒ぎだったらしい。町に一館しかなかった映画館も、撮影がはじまると同時に、たちまち増えたという。


ロケはS学園女子高校の校舎や敷地内そして町のなかで行われた。学校内での撮影の見学はできなかったが、町での撮影は自由に見学することができた。町のロケはいつも大勢の野次馬たちであふれていたという。銀幕の有名女優たちを生(なま)で見ることができるのだ。町の人々が色めき立つのも無理はなかった。 ロケのことは当時小学生だった啓介の父親もよくおぼえていた。


父親が通う小学校でも映画のロケ中は連日その話で持ちきりだった。 そんなある日のこと父親が学校に行くとクラスのガキ大将が友だちたちに石を見せびらかしていた。手のひらにのるほどの石で、ちいさな菓子箱のなかに入っていた。見たところ、なんの変哲もない、そのへんに落ちている石である。父親が石にふれようとすると、その手を払われ、「汚い手でさわるな」という。不思議に思った父親が石のことについてたずねると、ガキ大将は「女優の白鳥節子が踏んだ石だぞ。すごいだろ」と自慢げに言った。


そのことにみんなは驚いた。それはもうただの石ではなかった。踏まれたとはいえ、ローファーの靴底とはいえ、銀幕の大女優白鳥節子にふれた石だったからだ。 それから子供たちのあいだで女優たちが踏んだ石を集めることが流(は)行(や)った。


そのうち大人たち(とうぜん、そんなバカげた真似をするのは男たちだが・・・)までそんなことをするようになった。しかも石だけではなく女優たちが踏んだものであれば、木の枝や、葉など、なんでも拾うようになった。野次馬からのサインに応じなかった女優たちの態度も彼らの行為に拍車をかけた。 父親も石拾いに夢中になった。ロケの最中は女優たちがはく黒いローファーを目を皿のようにして見ていた。ロケ隊がその場を離れると女優たちが踏んだ物の取り合いとなった。


大人たちもまじって、それはすごい争奪戦だったらしい。なかには石を売る者まで出はじめた。女優たちが踏んだというだけで道に落ちていた石がカネになったのだ。 啓介の父親は今でも女優たちが踏んだ物を大切に持っている。啓介が子供のころ、父親は酒が入ると、ときどき押し入れからダンボール箱を取りだしてきては、その中身を自慢した。女優が踏んだ石を布(ぬの)袋(ぶくろ)に入れ――それこそ甲子園から砂を持ち帰った高校球児のように――ずっと大切に持っていたのだ。


ダンボール箱には他にも黄ばんだわら半紙や新聞紙がていねいに折られて入っていた。それらの紙も女優たちが踏んだものだという。たしかによく見ると踏んだあとらしき靴あとがうすく残っている。箱の一番下には額が入っている。そこにおさめられた紙には、はっきりとわかる靴あとが残っている。


「白鳥節子がはいていたローファーの靴あとだ。これは貴重なものだぞ」と父親はとくにそれを自慢した。子供のころは、その額を家の壁に飾り毎日手を合わせるようにして靴あとをながめていたらしい。そんなふうなことをしていたのは父親だけではなかったようで、大人たちは女優たちが踏んだ石を売ったりしていたが、子供たちは、女優が踏んだ石ならきっとおいしいに違いない、とアメ玉のように舐めていたという。



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【あらすじ】


アルトカルシフィリア(女性から靴で踏まれることや虐待されることに興奮する)シリーズ。


結婚相談所に登録して婚活をはじめた田辺啓介。高卒で地方公務員。年齢は三十六歳。婚活にあたり、啓介にはたったひとつだけ相手に望むこだわりがある。それは伝統あるお嬢様学校「S学園女子高校」の出身者であることだった。


結婚相談所からその条件をみたす女性、御崎瑞恵を紹介してもらう。瑞恵は啓介よりも年上だった。しかもS学園女子高校に通っている娘が一人いる。瑞恵は裕福で娘のクルミと二人で暮らしている。


瑞恵との付き合いをはじめる啓介だが、奇異な性癖が頭をもたげ、そのことに気づいたクルミは・・・。



【内容より一部抜粋】


パンプスが腹部に移る。両方のヒールが完全に腹部に沈む。ローファーや上靴の底のたいらな靴とは違う踏圧。ヒールで体を踏まれるのははじめてだ。

二つのヒールの痛みだけが強調される。ハイヒールをはいた女性の体重は八割がた指のほうにかかると聞いたことがある。が、とてもそうとは思えない。


故意にヒールに体重をのせているのか。美鈴の姿勢がよいせいなのか。

そんなことを考えてしまうほど、美鈴から踏まれる痛みは二つのヒールに凝固している。


とがった踵で踏まれても甘美な苦痛だと勝手に妄想していた。

要するにヒールの踏圧を舐めていた。しかし今、大人の女性からヒールで踏まれ、その妄想との違いに啓介は驚いている。激痛が身体の深部にまでしみ込む。肉体が受ける苦痛の許容範囲を大きくこえている。


*


美鈴は、そのあいだも両足のすねから腕や手の指先や横に倒れた顔まで体全体をまんべんなく踏みつけていた。


踏みながらバランスが悪そうに身体が上下する。カネをもらう以上、踏む側も踏むからにはサービスをしないといけない。そんな律儀な踏み方だった。


働く若いきれいな女性がオフィスではいていたパンプス。横顔を踏まれるとパンプスの革の匂いがする。ストッキングの足の匂いもする。


*


顔を近づける。足裏の汗とも靴の革ともとれる匂いが鼻の奧にふくらむ。右足の土踏まずを見る。アーチにそって舌を這わせる。その日、一日じゅう、黒いタイツ、黒いソックス、そしてローファーや上靴でつつまれていた足。


蒸れているはずだ。舌の上に残った塩っぽい味がそれを物語る。指と指のあいだの味はとくに濃い。


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彼女は学校帰りで制服を着ている。私は彼女が座るベンチの前で正座する。目は彼女のローファーに固着する。ローファーは地面に落ちた数枚の枯葉を踏んでいる。彼女と知り合う前であれば、彼女が通う女子高の生徒がローファーで踏んだというだけで、ただちにその枯葉を家に持ち帰り、穴があくほどながめまわしたあと口に頬ばり食べてしまったことだろう。

 

しかし今、その女子高のローファーが目の前にある。もうどうなってもいい気持ちになっている。苦しくて苦しくてしかたがなかった。この苦しみから解放されるには彼女のローファーから踏まれるしかなかった。しかし彼女は、踏んではくれずに、まずローファーの靴底をきれいにしろ、というふうに右のローファーの靴底の表情を見せた。

 

足首を両手で支えながらローファーの靴底をぺろぺろ舐めると彼女はすぐに気持ちよさそうに目をとじた。生き物のように靴底で這う舌の動きを靴をとおして感じているようだった。そして、それに味をしめたのか、だいたい舐め終えたところで、彼女は右足をあずけていた私の両手をふり払った。両足の靴とソックスを脱ぎ捨て、今度は素足をなめろ、と言わんばかりに両足を突き出した。(下書き原稿)


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嬢様学校として伝統あるS女子高校。その昔、この学校では映画の撮影がおこなわれた。そのとき有名女優たちが着ていたのが、そのS女子高校のセーラー服だった。また彼女たちがはいていたのもS女子高校の黒いローファーだった。そのセーラー服のデザインと黒いローファーは今も当時のままである。



父親の話によると、そのときは町全体がまるで映画のロケ地のようだったらしい。映画の撮影もすぐ間近で見ることができたという。また当時の子供たちのあいだでは女優たちがローファーで踏んだ石を拾い集めることが流行ったようだった。なかにはその石を口に頬ばりアメ玉のようにしゃぶる子もいたらしい。


そのS女子高校の女子生徒たちがはいたローファーが歩道いっぱいにひろがっている。こっちにむかってくる、それをすこし離れた場所から誠一はふり返るようにして見ていた。学校帰りだった。背中にはランドセル。やたら冷たい風が首もとから頬をなでる。手をやるとマフラーがないことに気づいた。きょろきょろ、あたりに視線をおよがせる。さっき歩いてきた歩道にマフラーは落ちていた。


マフラーは母親の手編みだった。パートや家事で疲れているにもかかわらず編んでくれたベージュ色のマフラーだった。誠一は母親が編んだマフラーをとても気に入っていた。また大切にしていた。


*そのマフラーにローファーがのびていた。そしてつま先から踵まで靴全体で踏んでいった。マフラーにはまったく気づいてはいない踏み方だった。まるでゴミでも踏むような、踏まれてとうぜんという踏み方だった。そんな踏み方でマフラーは次々に踏まれていく。アスファルトを踏むローファーの靴音がマフラーを踏んだ瞬間だけかき消される。かわりにマフラーからの悲鳴が聞こえた。母親の声に似ていた。

マフラーに気づいた女子生徒がいた。「何これ?」とか「マフラー?」とか「猫の死骸?」とか、そんなことを言いながらも、それをたしかめるようにしてわざわざ踏んでいく。またマフラーの手前で一瞬立ち止ると、ぴょんと飛び、両足でマフラーに踏みのる女子生徒もいる。憎しみのこもった踏み方。何がおかしいのか笑い声がした。(下書き原稿)




 


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(上下巻・内容より一部抜粋)

男子学生が女子学生の足もとで地べたに膝をつく。彼女のパンプスにむかって土下座をする。怒った女子学生はイスから腰をあげるとスーツの腰に両手をあて右のパンプスで彼の後頭部を踏みつけた。前かがみになり力を込めた。後頭部を左右に踏みにじった。男子学生からうめき声がもれる。そんな信じられない光景に三人は唖然とした。



四人の女子学生たちは手すりに手をあずけスケート靴で彼らの背を踏んでいる。彼女たちは壁の鏡を見ながら、体を左右にかたむけたり、片足で立ったり、浮いた脚を左右にまわしたり、バランスをとる練習をしている。そんな女子学生たちのなかに一人だけ姿勢のいい子がいる。ピンと背筋をのばして微動だにせずまっすぐと両足で立っている。女子学生はその姿勢から両方のスケート靴の踵を浮かした。つま先立ちしている。スケート靴の先のギザギザだけで男子学生の背に立っている。踏まれる男子学生はそれにたえるため両手にこぶしをにぎっている。



人力で馬車を動かしていた。もちろん全員が男である。この大学の男子学生だろう。馬車の前に四人、うしろに二人。全員が上半身裸である。前の四人は綱のようなものでつながれている。うしろの二人は前のめりになって馬車を押している。馬車にはゴルフウェアを着た女子学生たちが四人ほどのっている。ゴルフバックも見える。馬車は遊園地で見かける子供がのるミニ電車の客車にも見える。「コビトの国」で使われていたアトラクションをゴルフ場のゴルフカー(人力馬車)として再利用しているようだった。



女子学生たちのハイヒールとパンプスが迫る。コビトの死体を次々と踏んでくる。踏むたびに靴の下では体の中身が飛び散った。靴底につれていかれる死体もあった。なかには、いったん靴底に貼りつき、その靴底が浮いた瞬間、垂直に立たされたような状態にされ、その頭上から踏まれる死体もあった。そうやって踏まれた死体はマンホールのふたのような形になって潰れた。もはや人の姿ではなかった。女子学生たちの動線上の死体はあたりまえに踏まれていく。頭も手足も引きちぎられて体はバラバラに損壊している。






 


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