第59話 【立太子の行方】
ヨファがやっと…自らの過ちに気づいてくれました
百済は民の国であることや…
クンチョゴワンが、どれほどの苦しみを乗り越えてきたのか…
にも…
彼女は20年も…恨みの世界に閉じこもっていたのですね
その扉を開けたのは…愛する我が子・ヨグス王子でした
そのヨグスがそんな母に、命を張って向かってくる!!
一人、すべての罪を背負って…ヨファは逝きました
大きな体を幼子のように投げ出して、母の膝にすがり
オモニ~オモニ~と泣きすがるヨグス
投降した反乱軍
首枷をはめられて、断罪を待っています
ナムダンの誰もが当然の処罰を!と声を揃える中
たった一人…
”投降した者は殺さないのが戦の掟
彼らは王様に投降してきました
チン・ゴト将軍は馬韓攻略で手柄をたて
内臣佐平はチヤン城を救いました
お二方は百済の功臣です”
というヨグス
それは、クンチョゴワンの考えと同じ
王は、縁戚のチン氏、慰礼宮の処罰に悩んでいました
涙にくれて…ヨグァンの命乞いをする老いた祖母 母
ヨグスの言葉に希望の光を見ます…
罪を悔いてはいない
しかし、罪人として潔い態度を見せるチン氏
頑ななスンにクンチョゴワンは言います
”そなたの言う貴族の国とは、百済の門を閉じ
自分たち以外の者をはねつける懐の狭い国だ
臣下の功労は忘れないが
貴族に生まれた者だけが代々幸せに暮らせる国など望んでいない
有能な者たち…鍛冶師であれ 農民であれ重用する
海路に通じた者も 馬韓 伽耶の民も同じ
高句麗出身の者でも喜んで受け入れる
貴族の国であれば
モンナグンジャ パユン マッコヘ アジッキ ビランらは
南堂に入れなかった
今の百済はなかった!!!”
彼らを無罪放免する!とクンチョゴワン
チン氏を東屋に呼んで酒宴を催しますが
依然、頑ななチン氏
チン氏一族を救ってくださるなら スンだけでよかった
将軍とは命乞いなどしないもの!生き恥を晒したくない!!
と、チン・ゴド将軍
宮主の頼みだからですか?というスンに
”宮主の頼みがなくても同じ事
私がそなたたちを見捨てるわけがない
父上は、チン・ゴド将軍を我が身のように大事に思っていた
母上は、甥のスンを我が子のように可愛がった
ご存知のはず!
このプヨグの体内には、伯父上たちと同じ一族の血が流れているのです
その一族を私の手で滅ぼすのですか?
投降の報を聞くまで私は怖くて仕方ありませんでした
私は百済の法であり、王…公平に裁かねばなりません
でも、私には伯父上たちを斬首する自信がなかったのです!
私は伯父上たちに見放されてしまいましたが
心の支えは伯父上たちでした
私に剣術を教えてくれたジョン伯父上の手のぬくもり
私を木馬に乗せてくれたゴド伯父上の広い背中
幼い頃握ったスンの手を忘れたことはありません
ソソノ国祖母様を見送った高句麗のユリ王の詩です
「空舞う ウグイスのつがいの仲睦まじきことよ
寂しきかな 我が身 誰と空を舞おうか」
私は伯父上やスンと離れて一人では飛べません”
クンチョゴワンの言葉に…頑なスンの心が溶ける…
感極まったように立ち上がると、床に手をつき
愚かな私が間違っていました!!
どうかお許しください!!オイ オイ オイ。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
叔父たちも…涙しながら土下座
太学
百済の歴史書を記述しているコ・フンの元へ
内法佐平・アジッキが王命を伝えにきました
”反乱の記録を残すな!”と
伝えながら…
”歴史書とは、出来事を正確に書き記し 後世に伝えるものでは?”
って言っています
”臣下を懐に包み込もうとする王様の深い思いは
歴史書よりも優先されるもの
だからといって、事実を記録しなければ歴史書としての
役目を果たさなくなってしまう”
そうコ・フンが答えると
傍らのチビ弟子が
その記録を抜き取り、文字を消しました
アジッキ、驚いて、先生の草稿を修正するとはけしからん!!
と慌てますが
後の王仁(ワンイン)であるチビ弟子が
”漢城に大地震が起き、家屋が倒壊しだが
皆で力を合わせ天災を克服した と書き直しました”
と澄ましています
ハハハハ…それでこそ私の弟子
兄弟子とは違い、クノジ(チビの名)は儒学を正しく学んでおる!
-----ナレーション-------
「三国記」の百済本記 近肖古王編によると
王は兵を率い、高句麗・南平壌城を攻撃
斯由王は矢に射られ、絶命したが王が後退したと記述されている
サユを倒しながら後退した理由は「地震が起きた」という記述が鍵
「三国記」は隠喩表現が多いが
地震は反乱を示す記述として登場する
安平殿
ヨグス王子がチン氏を屋敷に送り届け
チン・スンからの書簡を預かってきました
「スンは兄貴の深い心を知らず罪を犯しました
救われた命を使って、百済の領内を回り、民の国であることを
証明する旅に出ます
そして、身分や出身地を問わず、優れた人材をナムダンに送ります」
生母のことを教えなくて悪かったとヨグスに詫びるクンチョゴワンに
事情が分かっているから大丈夫ですとヨグス
ヘ・ゴンの最期
ヨファの墓に一人佇み…
臣下としてではなく…
ヨファという美しい従姉を慕っていた弟として来ました…と
一人 酒を飲み
”ゴンは先王様のご遺志も、父上の遺言も守れませんでした
ですが…
百済はさらに強大になり
王様の業績は偉大です
チョゴ大王系 コイ大王系の争いは一体何だったのか…
何が正しく 何が間違っていたのか…
私には分からなくなりました”
懐から短剣を取り出し…
”姉上… 姉上に会いたい…
恋しくてたまりません…
もうすぐ…姉上の墓にこの身を捧げます
どうかあの世では 私のことを受け入れてください”
自害して果てる…へ・ゴン
ヨグァンが探していたらしく 駆けつけましたが
ヘ・ゴンはヨファの墓の上に大の字に腹ばって
ヨファに抱きつくように息絶えていました
職位にふさわしい葬儀に…
祖先の地に葬ってやってくれ
ヘ氏の跡継はいるか?
甥のヘ・シクがいます
ヘ・シクをへ氏の長とし ナムダンに迎えよ
朝廷佐平… 宮主に会ったら達者かどうか尋ねてくれ
私があの世に行くまで宮主を見守ってくれ…
とクンチョゴワン
立太子の行方
高句麗攻めの論功行賞が行われるナムダンで
立太子の件を言上しようと話し合う王妃 ビラン伯父 アジッキ
ところが…そのナムダンで
元馬韓の目支国の長・ゴンゴンマンシンと 乾馬国の長・ハンブルに
立太子の進言をされてしまいます
ヨグス王子様を太子に!!!と
ムムム…な雰囲気の中
なんと!!
マッコヘ将軍が、私もヨグス王子様が適任だと思います!と
大声で賛同
ビラン なぬ!! キッ!!
マッコヘ 後でビランに責められても自説を変えません
”ヨグン王子様は学識豊かで人柄もよいが
高句麗攻めの補佐はヨグス王子が適任だ”と主張します
練武場
夜更けに 一人武芸に励むヨグン王子
ヨグスを太子にという意見に心が乱れています
同じくそのことで胸を痛めるヨグスもやってきました
おもいっきり僻みモードに陥ったヨグン王子
嫌味を並べます
”誰かと思えば英雄のおでまし?
サユを討った兄上が練武場をお使いになるようなので
私はこれで失礼します!
ヨグンの前にひざまづいたヨグスに
”もうすぐ太子になられるお方がなぜ、ひざまづくのです
順番から言っても、太子になるのは兄上です
母上は第二王妃で、宮主は第一王妃でした
コイ大王系とチョゴ大王系を親に持つ高貴な兄上が
なぜそんな真似を!?
”ヨグスは王子様の臣下です
私の母は鍛冶師セノの妻
父は鍛冶師セノです
私は王子様の前ではセッコビです”
ですが!生まれは否定できません!!!とヨグン
”本当は百済を出て、遼西でも倭国へでも行きたい!
でも、高句麗攻略が済み
東明王(プヨ)陵にナトウ旗が掲げられるその時までは
王様 王子様に仕えます”
そんなヨグスを立たせると
”兄上のことは信じています!
私が未熟なだけです
我々兄弟は、父上とヨフィ伯父上のように仲良くなるでしょう
私が精進します!と”ヨグン
抱きあう兄弟
その様子を、ヨグンを心配して練武場まで来ていた
クンチョゴワン 家臣たちが見守っていました
コムジェ別宮で一人悩むクンチョゴワン
父・ピリュ王の言葉を想い出しています
「当時の百済はヨチャンが必要だった
今の百済はヨグ お前が必要だ!!」
父上もこれ程苦しまれたのですか?
私はヨグスを見捨てることになろうとも、ヨグンは見捨てません
ハンタンを統一し ヨグンへ渡します
ヨグンは太平の世へと導いてくれるでしょう
チング姫の父が危篤との知らせ
チング姫が急遽、ヤマタイ(大和)へ帰国することになりました
姫と共に大規模な使節団を送るというクンチョゴワン
王の意を汲んだアジッキが、その使節団長として
ヤマタイへ赴くことを志願します
クンチョゴワンは
ヤマタイを中心に、倭国を1つに統合し
百済の支配下に置くつもり…(;^_^A
ヤマタイは今は小国でも、いまに強大な国になる
チング姫を通して百済の文物 精神を倭国に伝えたい
倭国全体に百済の文化が行き渡った時
遼西~倭国への海路が完成する…という構想です
さて、ビラン伯父さんが怒っていますヽ(`Д´)ノ
こんな重要な時に何考えてんだ!!
倭国へなんぞいっちゃうとはぁ~~~
冷静なアジッキが言います
ヨグス王子を伴うと…
ヨグス王子は本当は倭国へでも行きたい…と言っていた
しかし、今すぐ百済を出ていかせないと…と
そして
目支国のゴンゴンマンシンや 乾馬国のハンブルが
不穏な動きをしているから後をつけるように…と
ヨグス王子は
アボジ~~!!と鍛冶場へやってきました
仲良く三人で養父母の家で食事してます
美味しいね♪
そこへ…ゴンゴンとハンブルがやってきて
”太子に推します
その時はナムダンでよろしく”なんて言ってます
怒ったヨグス
”これ以上そそのかすなら!私の固真剣が黙っていません!”
ゴンゴンマンシンらの後を追ってきたビラン
その言葉聞きましたが
ヨグスを呼び出し
アジッキと一緒に倭国へ行きなさいと言います
自分は王様を助けて高句麗攻略を…と言うヨグスに
他の将軍達に任せて…王子は百済を出てほしいと
”王子様の事は信じています
でも、王子様が百済にいると揉め事が起きます!
木が動く気がなくても、風が枝を揺らし
海が静けさを望んでも、風が波を起こすもの
1つ間違えば、ハンブルやゴンゴンマンシンら
馬韓出身の貴族が死ぬことになります
兄弟同士で血を流す気ですか?
王位継承を巡る過去の悲劇を繰り返すのですか?”
安平殿でも…
アジッキも王に進言しています
”ヨグス王子様を思う気持ちは分かります…が
王子様はあまりに強く 危険です
ヤマタイに行かせなければ
百済は再び分裂し、血が流れるでしょう”
思い悩むクンチョゴワン
そこへヨグス王子がやってきて…
”私の剣は、諸刃の剣になるということに気づきました
私の固真剣が百済を傷つける前に百済を離れます…
ヤマタイに行きます…と
黙って了承する父クンチョゴワン
手を差し出しヨグスの手を握る…
安平殿の前では、気になるヨグンと家臣らが集まっています
ヨグスと出てきた王は、彼らを裏山に連れて行きました
そこには一本の老松
”これは温祚(オンジョ)大王が植えた
ヨグンは根で幹だと
グスや、お前はグンの幹から四方に延びる枝になるのだ…”
クンチョゴワンの話をうなづきながら聞いていたコ・フン
王宮専属の鍛冶場にやって来ました
ウルマフルことセノに頼みごと
鉄で作られるが
形は木のような剣
それは人を傷つけるものではなく
天下を懐に包む剣
王様が持つにふさわしい剣…を作ってくださいと
母・ヨファの墓に別れの挨拶に来たヨグス王子
”今晩
母上が眠り
父上がいらっしゃる百済を離れます”
アイがまた追いかけてきて…
一緒に行くって言いますが…それは次回