あんびるやすこさんの「魔法の庭ものがたり」シリーズ第三弾

 

『ペパーミントの小さな魔法』をご紹介します。

 

 

れは、魔女の遺産を相続した人間の女の子の物語。相続したのは、ハーブ魔女トパーズの家、「トパーズ荘」と、そのハーブガーデン、「魔法の庭」。そして、もうひとつ・・・・。トパーズがかいた薬草の本、「レシピブック」でした。こうしてジャレットは、トパーズのあとつぎとして、「ハーブの薬屋さん」になることになったのです。(あらすじより)

 

レシピブックとは・・・ハーブ魔女トパーズがかきのこした本。370種類のハーブ薬のつくり方がかいてある。ふしぎな魔法がかかっていて、よむことができるのは、ジャレットひとりだけ。しかも、魔女ではないジャレットには、よみたいと思ったページだけしか見えない。

 

 

 

 

 おなじ歳の女の子

 

前回ははじめて薬屋さんにお客さんが来て、新しい友達のスーまでできたジャレット。今回はさらに新しい友達が町に引っ越してきます。彼女の名前はエイプリル。どうやら咳が出る病気のため、空気の良いこの町へひとりで引っ越してきたそうです。エイプリルはお母さんとふたりで暮らしていましたが、お母さんは仕事の都合で一緒に引っ越して来ることができず、今は画家をしているおばさんの家でお世話になっています。さっそくスーと一緒にエイプリルに挨拶へ行くジャレットですが・・・・。

 

なんとふたりが訪ねて行ってもエイプリルは知らん顔。怒ったスーは帰ってしまい、ジャレットはおばさんに「薬が必要ではないか」と聞くものの、どうやら問題は心にあるらしくどうすることもできません。

 

 

 

 ルッカとベッカの注文

 

その後、ジャレットは飼い猫たちをエイプリルの家に送り出して様子をうかがいますが、彼女が元気になることはありません。猫たちの情報によると、「エイプリルはママが大好きで、家にあるピアノのコンクールで優勝したときの写真には、ぜんぶママと一緒に写っていた」とのこと。けれども「ひとつだけ優勝できなかったコンクールがあって、そのときはママが見に来れなくて失敗してしまった」そうで、どうやらそれが原因で落ち込んでいることがわかります。

 

一方、トパーズ荘には二匹のアナグマのルッカとベッカが薬の注文にきます。それはトパーズが生きていたころに作ってもらった魔法の薬で、名前がわからないというのです。わかっているのはそれが何にでも効く薬で、幸せな気分にもなる薬だということ。しかしそのような薬はトパーズが遺したレシピにも載っておらず、ジャレットは途方に暮れてしまいます。

 

 

 

 エッセンシャルオイル

 

迷ったあげく、ありったけのエッセンシャルオイルを入れた薬を完成させたジャレット。しかし、ルッカとベッカからは「においが違う」と言われ、作り直すように言われます。そんなとき、エイプリルのおばさんが庭でミントをぬいているのが見え、目が合うと、「おてつだいしてほしい」と頼まれます。

 

庭の手入れが終わった後、おばさんにお礼をしたいと言われたジャレットは、引っこ抜いた大量のペパーミントをいただくことにします。家に帰って大量のミントをどうしようか考えていると、魔法のレシピが輝き、「エッセンシャルオイルのつくり方」が書かれたページが新たに読めるようになります。

 

さっそくレシピ通りにペパーミントのエッセンシャルオイルを完成させたジャレット。すると、そのタイミングでルッカとベッカが訪ねて来て「これは間違いなく魔法の薬のかおり!やっぱりあなたは、すばらしい薬屋さんですね」と感謝されます。なんとルッカとベッカが求めていたのは、まさにペパーミントのエッセンシャルオイルだったのです。

 

 

 

 とくべつな薬

 

そこでジャレットは閃きます。そうだ、ペパーミントは万能薬だ。きっとエイプリルにも効くに違いない!

 

そこでジャレットはエイプリル用にとくべつな薬を用意します。それは猫からの事前情報で得たエイプリルのお母さんの香り、ラベンダーの鉢植えです。それをおばさんの家にあるペパーミントの庭に置けば、ミントとラベンダーの香りがあわさって、エイプリルも元気になるのではなかと思ったのです。

 

元気がでる香りのミントと、ママの香りのラベンダー。予想はバッチリで、エイプリルは部屋から出てきてピアノを披露します。実はこのとき、スーも鉢植えを運んでくれるのを手伝ってくれていました。何だかんだでエイプリルのことが気になっていたのですね。めでたし、めでたし。

 

最後は少し感動的な展開になっているのでお楽しみに。エイプリルが母親への本当のおもいを打ち明け、それに対しジャレトが素敵なアドバイスをくれます。そして後日、エイプリルは「ジャレットとスーがいればそれでいい」と、再び失敗を恐れずピアノを弾けるようになったことを伝えにきておわります。

 

 

あぁ、なんていじらしくて、かわいらしいお話なの。このシリーズ本当に大好きです。こうして友達も増え、薬屋さんの評判も上がり、順調なジャレット。次回はどんな魔法を繰り広げてくれるのでしょう?ちなみに今回の巻末は、ペパーミントエッセンシャルオイルの使い方について。私もミントは頭痛がするときお茶で飲んだり、湿布にして愛用しています。みなさんもハーブの世界に足を踏み入れてみませんか?奥が深くて楽しいですよ。そのときには、こちらのかわいい本も忘れずに。

 

 

以上、『ペパーミントの小さな魔法』のレビューでした!

 

 

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