今回ご紹介するのは、「魔法の庭ものがたり」シリーズ②から『二代目魔女のハーブティー』です。

 

 
<前回までのあらすじ>
人間の女の子ジャレットは、ある日、魔女のトパーズから遺産を相続することになる。その遺産とは、トパーズが住んでいた屋敷「トパーズ荘」と、たくさんのハーブが育つ「魔法の庭」、そして、トパーズが書き残したハーブを使った薬の「レシピブック」の3つ。音楽家で世界中を飛び回る両親と離れ、6匹の子ネコたちと「トパーズ荘」に住むことを決意したジャレットが、心を込めてハーブを育て「ハーブの薬屋さん」として村で暮らし、様々な悩みを抱えている人や動物たちと出会い、成長していく。(好書好日より)

 

 

前回、無事に「トパーズ荘」を相続し、魔法のレシピを手に入れたジャレットは、いよいよ「ハーブの薬屋さん」をオープンします。しかし、村の人々はジャレットを見て「あんな子供が魔女のわけがない」「薬なんてつくれるの?」と、疑って誰も来てはくれません。

 

噂どおり、確かにジャレットは魔女ではなくふつうの人間の女の子。まだ子供だし、信用ならないのは当然です。では、どうしたらいいの?

 

そんなとき、「ビーハイブ・ホテル」の娘・スーがやって来て、「あんたみたいな子がどうしてトパーズ荘にやって来たのかわからないって、村の人たちがみんないってるわ」と文句を言ってきます。ついカッときたジャレットは「あんたなんかカエルにしてやる」と言って、まるで自分が魔女であるかのように振る舞ってしまいます。

 

すっかりスーに魔女だと信じこませてしまったジャレットは、ビーハイブ・ホテルに泊まっているバーボアさんが薬を注文しているので診に来てほしいと言われ・・・・

 

ありゃりゃ、これは大ピンチです。ジャレットはなぜか魔女ではないのに、魔法のレシピが読め、薬も作れるのですが、これで村の人に魔女という嘘が広まったらやっかいなことになります。結局、その予感は大当たり。ジャレットは「最近さっぱり元気がなくて、いつもさびしい気分の」バーボアさんに、ドライ・ローズヒップティーを処方してあげると、バーボアさんはたちまち元気を取り戻します。

 

一方、トパーズ荘では毎晩、猫用の靴下が一足ずつ泥棒に奪われていくという不思議な現象が起きていました。しかも泥棒は「もっと くつした ひつよう」という置き手紙まで残していく始末。そこでジャレットは昔バーボアさんが編み物をしていた話を思い出し、泥棒用の靴下を編むための方法を教わりにいくことにします。

 

さっそくジャレットがお薬代として編み物を教わりたいというと、バーボアさんは大喜びし、ますます元気になります。孫が小さかった頃はよくしていた編み物も、大きくなってからはマフラー作ってプレゼントしても喜ばれなくなってしまったため、またこうして誰かの役に立てることが嬉しいようです。

 

そんな二人を見ていたスーは、ますますジャレットの魔力を信じ、この凄さを村中に伝えようとトパーズ荘でパーティーを開くことにします。しかし、焦ったジャレットはみんなに魔女だと信じ込ませるためには、ふつうのハーブティーでは物足りないと考え、「からだがうきあがるお茶」を作ろうとします。猫たちには大反対されるも、それを無視したジャレットがレシピを開くと・・・・

 

あら、大変!なんとレシピから文字が消えて真っ白になり、読むことができなくなってしまったのです。

 

このレシピにはトパーズの魔法がかかっており、相続人にしか中身が読めない仕組みになっていました。ジャレットは誰もが読めなかったレシピを唯一読むことができる存在のはずでしたが、よからぬことを考えた結果、その力を失ってしまったようです。

 

これでバーボアさんとスーには嘘がバレてしまったジャレット。怒ったスーはホテルへ帰っていき、バーボアさんからも「パーティーは別の日にしましょう」と言われてしまいます。

 

すっかり反省したジャレットは、レシピが読めるときはいつも「困っている誰かのために薬を作ってあげたい」と思ったときであることに気づきます。大事なことに気づいたジャレットは、再び力を取り戻し、ある人に薬を作ってあげます。そのある人とは泥棒さんなのですが、いったい泥棒さんの正体は何なのでしょうね。それは読んでからのお楽しみ。

 

今回ジャレットは、スーからの要望で、ラベンダーのサシェを処方して不眠症のお客さんを治したりもします。ジャレットは魔女ではありませんが、ハーブのお薬屋さんとしての腕は確か。この力はスーも認めていて、バーボアさんからも仲直りをすすめられています。

 

さて、二人の仲はどうなるのでしょうね?友達になる?ならない?このまま険悪のまま?
 

 

ちなみに巻末には、物語に登場したサシェの作り方が載っているので、興味のある方は真似してみてはいかがでしょうか?

 

泥棒の正体に、スーとの関係、そしてハーブ魔女としての評判と将来。どれも気になりますよね。そう思った方は一巻から順番に読んでみましょう。一度読んだら絶対にファンになるので、そうなった際は一緒にこのシリーズを盛り上げましょう。

 

 

以上、『二代目魔女のハーブティー』のレビューでした!

 

 

前回のおさらい