今回ご紹介するのは、秋吉理香子さんのクローズドサークルミステリーになります。

 

 
<あらすじ>
全員、悪女。この中で最も嘘つきな殺人犯は誰?

リゾートアイランドに集められた、外見と内面の美を競い合うコンテストの最終候補者。メンバーは女子高生モデル、経営者、小説家、医師、シェフ、インフルエンサー、大学院生の七人。これから二週間、互いを知りながら、高め合いながら、助け合いながら、最終選考の準備を行う。その日々を見守ってグランプリを決めるはずだった主催者が、二日目の朝、瀕死で見つかった。次々と殺人が起きるなか、巧妙に隠された参加者たちの「嘘」も明らかになっていく――。この中で、一番嘘つきの殺人鬼は誰? 最高に後味の悪いイヤミス長編!

 

 

 

ミスコンのファイナリストに選ばれた7人が孤島に集合します。しかし最終審査の前に殺人未遂事件が起こり、そこからバッタバッタと殺人事件が続きます。

 

一番最初に殺され(かけた)のは、主催者のクリス。幸運なことに、全被害者の中でクリスだけは一命を取り留めますが、事件のクライマックスまで意識を取り戻すことはありません。なぜこの人だけ助かったの?目覚めたら犯人の名前を言っちゃうんじゃないの?それなら犯人はもう一度殺しにくるんじゃないの?と思いますが、謎に犯人はクリスを放置したまま次の犯行に及びます。

 

美女たちはキャラクター豊かで、誰がどの人かわからなくなることはまずないです。表紙に7人の絵が描いてあるのですが、本書を読めば誰がどの美女かすぐにわかるので、見た目もキャラも大変イメージしやすくなっています。

 

彼女たちはさすがにファイナリストだけあって、容姿だけでなく、その経歴もゴージャス。単に容姿だけ優れている人というのは、早々にはじかれています。ということは、もちろん彼女たちも人格者という認識でいいのか・・?というと、それはNO。

 

クリスに続き、7人の中からも最初の被害者(しかも今度は死亡者)が出てから、いよいよ彼女たちの本性が露わになっていきます。

 

まずは第一発見者になってしまったが為に、最有力容疑者候補にされてしまった京子は、無実を訴えるも信じてもらえず、泣き虫キャラを発揮します。おまけに自身の経歴で嘘をついていた部分がバレてしまい、ますます信用を失って大ピンチに。

 

そんな京子に唯一寄り添ってくれていた舞香は、この殺人事件が最終審査のための”やらせ”ではないと知ったとたん、豹変し、あっさりと優等生キャラを放棄してしまいます。

 

さらに他のファイナリストたちもコンテストの出場条件に反した行いをしていたことが判明し、後ろめたさがないのは小説家の美咲だけという状況に。そして美咲とある人物以外すべてが殺されてしまうという展開になります。

 

しかし美咲は最後に生き残った人物を前にしても、結局誰が犯人だったのかを理解することができません。なぜなら最後に生き残った人物は、美咲の命を救ってくれた人物でもあったからです。

 

おかしい。犯人は既に死んでしまったのか。確かに亡くなった5人の中には事故死とも言えなくない人がいました。また、恐怖からパニックになって自分以外の生き残りを殺そうとした人もいました。もしかすると、その流れで真犯人が殺されてしまった可能性もあるのか。

 

ん~難しい。もうあまりページ数がないけれど、どうなるのだろう?そう期待して読んでみるとアレレレ。

 

最後はちょっと無理があるような・・。よく考えると、どうやったらお目当ての人物たち全員がミスコンに出場するというキセキが起きるんだ?!いくら犯人がそのメンバーを集めたいと思っても、当の本人にやる気がなければ参加してもらうこと自体むずかしいのでは・・・。誰かしら美容に興味がなかったり、目立つことが苦手だったりしないものなのか。

 

ネタバレはできませんが、結末をやんわり表現すると、急にブラックジャック的な展開になります。それにあわせて韓流ドラマもビックリするような7人+クリス人の出生の秘密が明らかになります。もう途中、信じられな過ぎて、頭が真っ白になりますが、どうやらこれが真実のようで・・。

 

一生懸命「この子、あやしいな」などと推理はしていたのですが、想像と全く違う結末にかなり衝撃を受けました。いや、これはわからんわ!!てっきり復讐系かと思っていたのですが、実際犯人の動機は自己中極まりないもので、真面目に推理したのが恥ずかしいくらいでしたよ。おーい、これが犯行動機か!!嘘でしょー!!

 

というわけで、皆さんも本書を読む際は騙されないでください。あまり深刻に読まず、むしろ最後に来るトンデモ展開をお楽しみに。

 

 

以上、『殺める女神の島』のレビューでした!

 

 

 

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