来週の帰国を前にして、いくつもの心揺さぶる経験が重ねられた2015年@パリの夏に、輝かしきクライマックスがやってこようとしている。
明日の夕方、アトリエ・ネクトゥー に出向く。
これは、「東京になぜパリが?」実現計画に関連した行動である。
単純化すると、フランス語を学んでいたら、ぶらりと入るとフランス語が好きなひとがいたり、東京在住のフランス人がいたり、来日したのはよいけれど迷子のようなフランス人がいたり、フランスに特別な興味を持っていないけど、入ったらとか連れてこれれたら、楽しいじゃん!のようなスペースがあったりいいかなということです。
すてきな場所は密やかに生まれるのがいいから、くだくだといわないことにします
でも、いまの自分の毎日の多くの部分が、この活動のトキメキで埋まっているので、書かないわけにもいかず。
もうしわけないです
ともかく、これはとてもむずかしいことだ。
東京で調達しようとすると、「バカ高い」か「なんちゃって」になるが、自分が東京で働いている限り、じっくり時間をかけてすべてをフランスで選んで安く送ることはできない。
でも、自分が関わるかぎり、できるだけ近づけたい。
ということで…
わたしは、みんなで集まれてフランスを感じさせるカフェ文化について、もともとよりも深く入っていったのです
そのなかでも、心をゆさぶられたのが、カウンターの錫の縁取りです。
le zinc(錫、つまり亜鉛)
普通なら、「ザンク」と発音するところですが、「ザング」です。しかし、軽めの「グ」なので、「ザンク」と発音するひともいます。というか、あるフランス人には「ザングと発音しなきゃ、誰もわからないよ!」といわれたし、また別のフランス人からは「えっ、ザンクじゃないの?」といわれたし、さらにもうひとりのフランス人からは「どっちでもいいんだよ!」といわれました。
フランスのカフェは、カウンターにザングを巻きつけている店と、そうでない店があります。
興味を持ちだすと、もうザングがないカフェはダメだしものです
また、ザングもゴージャス系と、とりあえず金属です系に分かれます。
うえに貼ったアトリエ・ネクトゥーのサイトに行くと、美しいザングのパターンが掲載されています。
今年の夏は、フランスにくるまえから、心をときめかせていた。
だから、すぐにアトリエ・ネクトゥー(パリ郊外)へ行きました。
でも…
わたしは知っていた。開いているはずがないことを。バカンスですから。
しかし、行かずにはいられなかっただけだ
扉には8/27日までお休みです!
と書いてあった。
正確な情報はゲット?
それだけじゃない。
なんと、わたしは、エテニエ・トウランジェオ も訪ねたのである。リンクを貼ったサイトのザングがとても美しい。
「あなたの持っているバーのジャスト・サイズで仕上げます!」と記されている。
こちらのメーカはパリ郊外ではなく、なんとロワールの城の根拠地トゥールにある。
もちろん、ここもバカンスなのは、わかっていた。
しかし、ここを見たいので、何度も訪ねたロワールの城へ出かけたのだ。
その機会にしか行けるはずがない。
トゥールそのものではなく、ほど近い集落の工業地帯にあった。
わたしはザングのカウンターに憧れ、クリニャンクールの蚤の市も彷徨した
するとあった
正統派のカウンターが。
縁取りはシンプルだけれども、木でも大理石でもなく、ザング。
「高いですよ!」といわれたが、高くはないと思った。
12000ユーロだそうである。
162万円だが、1900年前半のアンティーク。
どちらで見つけられたのですか?
と尋ねると、「ストラスブール(アルザス地方)です」とのことだった。
これと同じものを日本で買ったら、いくらになるかわからない。
輸送費を含めても、おそらくはもとが取れるはず。
しかし…
問題は、飲食店舗設計基準の違いにより、このままでは日本で使えないことだ。
天板はもちろんのこと、見事に保存されている内側も、全部取り壊して、コールド・テーブル(=店舗用の低い冷蔵庫)をはめ込むなどしなくてはならない。
ちなみに、これまで見たなかで最も美しい東京のザングは、神楽坂の「ブッション・リヨネ」である。
明石@それを請け負ったのがアトリエ・ネクトゥーである(はず)。明日、それを再確認します。渋谷のヴィロンのザングもそうです