「青い猫と虹の一族」三章~信じる心(14)・・・冬編
前回~心が満たされたジョイは、元気にセピアの館へと向かった。~続き
その頃、サムは暖炉の火を強めて部屋を暖め我が猫の帰りを『今か!』と待ち詫びていた。
サムは、戻ったジョイの明るく輝くグリーンの瞳を見て安堵(あんど)に包まれる。
体中から嬉しそうにして、ジョイを抱き上げる。
お蔭でジョイは砂マットで足を拭くことも出来ずに、ほかほかの暖炉にゆるりと置かれて座り込んだ。
『何と暖かいのだろう!』
ジョイはいつの間にか、青い色の全身の力を抜きうたた寝をする。
冬の夕暮れは、急いでやってきた。
ジョイが突然の電話のベルの音で目覚めた。
サムを見ると、電話に駆け寄り受話器を外しながら、
「きっと、妹のローズだよ、ジョイ!」
と、愛する猫へ微笑みかける。
この館では、毎年クリスマスが近づくと、けたたましく電話が鳴る。
ただひとりの年の離れた妹ローズは、兄が猫と共にクリスマスを寂しく過ごすのを気遣って招待のために電話をかけてくる。
遠い田舎町に住むサムの妹ローズの大きな声は、受話器を持たないジョイにまで聞こえる。
「兄さん、だめですよ。また今年も来ないなんて。私たちがどんなに兄さんが来てくれることを、心待ちにしているかを分って貰いたいわ」
「いや、しかしねー、ローズ。君の家までは遠いのだよ」
「だから、今年は夫のセバスチャンが車で兄さんとジョイを迎えに行きますから、必ず来てくださいよ」
「ああ、そうかい。それなら助かるから・・・ウッ!ウーッ!ウーン!」
サムの右手から受話器が滑った。
ジョイが右手で胸を押さえて苦しそうに身を横たえていく主人の側にすばやく駆け寄る。
受話器の向こうでは驚きの余りに、パニック状態のローズの声がする。
「兄さん!兄さん!どうしたの?返事して!えっ!待って、待って落ち着いて!兄さーん!」
その(15)へ続く (by ゆうゆ)
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