「青い猫と虹の一族」三章~信じる心(13)・・・冬編
『「それは、本当かどうか分らないなー」』
と、ラファもからかい半分に応じる。
すると、バルナバがジョイを横目で見ながら
『「真実は本人だけにしかないんだよ。だから、ただ信じることだね。何があっても友情は今までどおりさ、変わらないんだ。そうだったね?ジョイ!」』
と、微笑む。
ジョイは自分の語った口調どおりに真似るバルナバに可笑しくなり、危うく凍っている塀の隅っこで滑りそうになる。
ジョイが笑い出し、バルナバも笑い出す。
ラファも何が何なのか分らないまま笑い始める。
冬の真昼時、晴れた空の木枯らし吹く中を
「ンーグー、ンーグー!」
と、いう猫の笑い声がアルトベイク市の町に響く。
それは若い猫たちの青春の笑い声である。
同時に、友情の勝利を意味する歓びの声でもあった。
『信じて良かった。愛は信じるんだ。そして信じることは幸運をもたらすのだ』
と、ジョイは自らの信念と経験を通して悟ったのだった。
一週間前の雪の日、バルナバの訪問を受けてラファのことを聞いた最初の驚きと戸惑いのひと時に、答えを自分なりに考えて見出した。
雪を漠然と眺めて捕らえた白い小さな塊を、屈み込んで観察した結晶は一片ずつ全て違っていた。
それは、まるで友同士でも違っていて当たり前と教えているようだった。
であれば・・・互いを細かに知りつくすなんて出来ないのと同じではないのか?
だからこそ、「信じる心が大切なのだ!」
と、ジョイの心は導かれた。
そして、あの部屋のシクラメンの花は、トラブルで生気を失ったとはいえ、やはり同じシクラメンだった。
では、ラファにどんな過去や噂があっても、変わらずにラファなのだ。
ラファが別な猫に変わるわけではない。
だから友人の自分に出来ることは「ただ、友を信じきることだけ!」なのだと導かれた。
まだ若いジョイは、ジョイなりの観察と推論から教訓を汲み取った。
将来、彼が自らを振り返ったときには、きっと自然界から読み取ったつもりの理屈に合わない論理を思い出し、赤面するであろう。
だが、今のジョイにとっては最善の洞察力による結論に至って最良の結果を生んだのだ。
心が満たされたジョイは衝撃を受けたあの日を思い出しつつ、クリスマスが近づき活気付いた家並みを横切り、元気にセピアの館へと向かった。
その(14)へ続く (by ゆうゆ)
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