【はじめに】
アメブロで勝手に連載をしておりました、ファイティング・ファンタジーゲームブック、「魂を盗むもの」のオリジナルリプレイにつきまして、
今回四話目となる、恵那ケミカルの完全オリジナルの物語を進めていきます。
これより以降は、本来のゲームブックの最終決戦に向かう道程であり、ネタバレが多数発生してしまうため、恵那ケミカルによるアレンジ、独自解釈、そして個人的シナリオとしての扱いに切り替えて発表して参ります。
本編とは全く異なります。
それでもいいよと素人同人の物書きにお付き合いくださる方のみ、読んであげてくださいませ m(_ _)m
Fighting Fantasy: Stealer of Souls Text Keith Martin, 1988 Illustrations by Russ Nicholson
trademark owned by Steve Jackson and Ian Livingstone, all rights reserved Fighting Fantasy Gamebook Concept copyright© Steve Jackson and lan Livingstone, 1982 Official FIGHTING FANTASY
website: www.fightingfantasy.com
※このブログは、ファイティング・ファンタジー作品
「魂を盗むもの」を元に書かれた、恵那ケミカルの二次創作物です。
※
辛くもモルドラネスの分身を倒し、牢獄から脱出したブーとアルサンダー。
しかしアルサンダーは体力の消耗がひどく、残る全ての魔力を用い、ポルアへの魔法での送還術を行うことになった。
「すまんなブー。 この老いぼれができるのはここまでじゃ。」
「十分だよ。 あの化け物を倒して牢獄を出られたのはあなたのおかげだし、あと、まだ魔法が2つ残っている。あとはまかせて。」
ブーは弱々しく呟く老魔法使いの背中を撫でながら笑った。アルサンダーは申し訳なく立ち上がると、全てをエルフに託し、空間転移の魔術の準備を始めた。
モルドラネスはまたすぐに攻撃をしかけてくるだろう。
アルサンダーはポルアにこれからも必要な重鎮であり、タイタン世界では数少ない善の魔法使いだ。
ブーは当初の予定であるアルサンダーの救出を最優先し、彼の体調をかんがみて転移送還に二つ返事で同意した。
「本当ならあたしが最後まであなたに付き添わなければならないのだが... 今のチャンスを逃したら、モルドラネスの暗殺は極めて難しくなる。
あなたにはかえって無理をさせてしまうが...すまない。」
魔術を発動させ、アルサンダーの目の前の空間が、ぐにゃりと歪む。
そして虹色の光を放ちながらそれは、人ひとりが通れるほどに拡大していった。
アルサンダーはブーを見て、にこりと笑うとそのまま虹色の光芒の中に入っていった。
膨大な魔力が鉄の地下廟中に拡散してゆく。
それはエルフゆえか、はたまたどの種族でも感じるものなのか......ブーは薄雪のように消えてゆく魔力の波動を感じながら、アルサンダーの無事を短く祈った。
「......さて。行くか。」
ブーは愛用のマチェットを研ぎ直し、怪物たちの血を存分に吸い、満足そうに赤く光る魔剣を鞘に戻し、そして再び編み込んだ竹網を腰袋にくくりつけ、立ち上がった。
それから慎重に迷宮を歩いてゆくが、一本道の広い廊下が続いていた。
そして半時間も過ぎないうちに広い長方形の部屋で行き止まりになり、その中央には緑色の炎のようなものが揺らめいていた。
「............。」
何か異様な感じがする。
ブーは魔剣サンザシをゆっくりと抜いた。
そして腰を落とし、緑色の炎からしっかりと距離を取り、斜め方向より近づいてゆく。
その時だった。
緑色の炎が大きくゆらめくと、その中から燃えるような何かが現れた。
「!!!!」
それは巨大な、全身から大量の血を吹き出しながら浮遊する、恐るべき頭蓋骨だった。
ビリビリと肌を刺すような瘴気をともない、夢魔モルフェウスの眷属であるかのような、恐るべき「もの」。
今までこの悪夢の迷宮で出会ったモンスターの中でも、飛び抜けておぞましい姿である。
化け物は血のような大量の液体ををだらだらと流しながら、ブーの身長の倍はあろうかという頭蓋骨は、ふわりとエルフの暗殺者に近づいてきた。
ブーは魔剣を中段に構え、敵から発せられる禍々しい波動に抗いながら呼吸を整えた。