バレエ学校の文化の違い | あるバレエママの告白

あるバレエママの告白

デンマークの暮らし、教育、子どもたちを通して知ったバレエのこと、旅行の話などなど、ふと頭に浮かんだこと、思ったこと、感じたことをそのまま綴るブログです。

前回、高校の最後の登校日の話を書きましたが、昨日、「息子は生物の授業が残っているから」と出かけていきました。


よくわからないのですが、とにかく、昨日が本当に最後の授業だったそうです。


明後日、木曜日には、政治/社会の口頭試験がある、とかで、午前中はその準備で部屋にこもっていますが、午後からはバレエのトレーニングで劇場の方に出かけていきます。


研修生は完全にバレエ団に属していて、バレエと関係のないアカデミックな教育はされていなかったのが、2014年に制度が変わって、研修生が高校に通うことが必修になると発表された時、私たちはその決定に半信半疑でした。


結局のところ、どちらも中途半端になってしまい、どちらもものにならないのでは?と考えたからです。


ヨーロッパにある、他の公立バレエ学校でも、高等教育を必修にしているところはあるけれど、デンマーク王立バレエ学校の研修生プログラムは、実際に普通の公立高校に物質的にも通わなければならないと言う稀な例で、高等教育、バレエのプロ養成と言う2つの教育を同時にこなす、と言う野心的なプログラムになっています。


実際、「毎日が拷問のようだ!」と言って、勉学に徹するために途中で断念してバレエを辞めた先輩もいます。


その反面、両方を、難なくこなし、今はバレエ団でプリンシパル、と言う先輩もいます。


個人差があって、一般論は書けないけれど、2014年以降は、高校の方はギリギリの線でなんとか卒業して、バレエの方は、デンマーク王立バレエ団に入団できたらバレエダンサーになるし、出来なかったら辞める、と言う例しかなく、研修生プログラムを終了して、デン王立に入団しなかったのに、他のカンパニーで踊り続けている人を、私は一人も知りません。


6歳の頃から19歳になるまで、ずーっと同じ劇場の中にある学校で、その劇場の舞台で踊り続けるために訓練を受け続けて、朝から夕方まで、出演する公演がある時は夜中までそこにいて、多少具合が悪くても自分がいないと幕が上がらない!と信じて劇場に向かい、自宅にいるよりも劇場にいる時間の方がずーっと長い日があるなんて当たり前で、雨の中、風の中、律儀に週6日登校して、大きな劇場の何がどこにあるのか、隅々まで、自分の家と同じように知り尽くしていて……。


その愛着のある場所から、必要とされていない、ってわかった時、その場所に繋がるもの、自分をその立場に追い込んだと思われるもの、全てに否定的になって、憎くなって、縁を切って新しく生まれ変わろう!って考えるのは、私には自然なことのように感じられます。


どのカンパニーでも良いと言うものではないんです。


でも、これは、デンマーク王立バレエ学校独特の文化だったのかもしれません。


そして、バレエ学校の新管理者は、この昔ながらの文化にメスを入れようとしているようです。


よくわかりません。


メスの鋭さがいまいちで、グジグジやってるから、血もいっぱい出るし、痛みは激しく、膿も出る、それが現状です。