今日は、デンマークの多くの中学校、高校で、最終学年の生徒の最後の登校日です。
6月末に始まる夏休みまでの期間は、卒業試験準備期間と卒業試験になっています。
我が家の末っ子で、バレエ男子の息子の高校も、今日が最終登校日で、「クラスメイトと朝食をとる」と言う、この日に恒例の儀式に参加するために早めに出かけていきました。
兄や姉たちが通った高校は、我が家から自転車でチャチャチャーと行ける距離にあったので、どんなに早くても8時頃に出かけていましたが、バレエ学校が指定するコペンの中心地にある高校に通う末っ子は一限目に間に合うためには7時を過ぎた頃に出かけていました。
高校の後は、直ぐに劇場に行ってトレーニングする毎日で、帰宅は19時半、時には20時、長〜い1日だったので、普通の高校生活を送ったとは言えないかも知れないけれど、比較的普通の高校生活を送れたと思います。
そのことを感謝しています。
前回のブログでは、私がつまずいた話を書きました。詳細は暴露しないけれど、実は主人も「落ちて、肩の骨にヒビが入る」と言うやらかしをしました。
義母と言う母、私と言う妻を持ち、超人的に忍耐強い主人は、医師の誤診もあり、折れているのを知らないで普通に仕事をし、スーツケースを持って海外出張にも出かけ、重いのにお土産を買って帰国したりしていました。落下事件があった5週間後に(いつまでも痛いのはおかしい!)とレントゲンをとって貰い、折れていたことがわかりました。
物質的に、つまずいたり、落ちたりするのは、痛いけれど、苦しくはありません。
私たちにとってもっと苦しかったのは、末っ子がつまずいたり、落ちたりする姿を見ることでした。
担当の突然の失脚。その後の混乱。理不尽な内部オーディション。諦めた外部オーディション……
その時はいちいちキツかったけれど……どれも、大した苦しみではなかったのでしょうか?
まだ息子は同じ現実と戦っている最中なので、苦しみが過ぎ去ったとは言えないけれど、痛みと同じで、苦しみもいつか過ぎ去るだろう、と信じられるようになりました。
バレエ学校も新しい体制で前に進みつつあります。
5月下旬に実施される最終試験の合格者は、その時点で、どこからも契約を貰えていない場合、次のオーディション・シーズンまでの半年間、学校に残ってトレーニング出来るようになりました。
怪我などで、最終試験をフルプログラムで受けることが出来ない場合は、最終試験は合格、不合格が未定になり、半年後に再度試験に臨みます。そして、学校に在籍し続け再試験を受けなければ卒業資格を取得できないようです。
追加で説明します。
2014年以前は、研修生は完全にバレエ団に所属していました。2年、人によっては3年の研修生期間が6月に終わると、9月新シーズンから入団するのが一般的でした。当時、研修生の人数はとても少なく(全員で10人いない?ちなみに今は全員で15人くらい)、毎年の研修生試験を合格し続け、無事に終えたダンサーにはカンパニーのドアが開かれていたと言う記憶があります。
2014年に新しい研修生プログラムが立ち上げられて、研修生が高校にも通わなければならないことになりました。研修生プログラムはバレエ学校が管理しているので、それ以降、研修生はバレエ団にも、バレエ学校にも所属している、と言うちょっと曖昧な状態になりました。
そして、以来、6月高校卒業と同時に、バレエ学校の研修生プログラムも卒業とみなされ、去る、と言うのが常識化していました。そして、その時点でデン王立と契約が取れていないダンサーは、別のバレエ団との契約がある場合は移籍し、ない場合はあっさりバレエ以外の道に進みました。
新経営陣によると、研修生3年目の実技試験をなんらかの事情でパス出来なかった場合、次のシーズンも研修生として半年間在籍し続けなけらばならず、研修生プログラムを終えたとはみなされない。明白ではなかったが、そのシステムは2014年以来あった、と言うことです。
ただ、「居残る人が今まで一人もいなかっただけ」なのだそうです。
息子が研修生プログラム卒業試験で、どうなるか?そして、その後どうするか?それはわかりません。
いずれにしても、自分の道は自分で決める、そうです。