『白鳥の湖』ゲネプロ | あるバレエママの告白

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デンマークの暮らし、教育、子どもたちを通して知ったバレエのこと、旅行の話などなど、ふと頭に浮かんだこと、思ったこと、感じたことをそのまま綴るブログです。

ブログを書き始めて今まで約7年間、バレエの初日公演の前日に本番同様に行われる最終通しリハーサルのことを、バレエなのだからバレエ用語のフランス語を使うのがいいんじゃない?répétition générale からジェネラルって呼ぼう!と勝手に決めて、「ジェネラル」と書き続けてきました。


でも、日本ではバレエでもコンサートでも、ドイツ語のゲネラル・プローベから「ゲネプロ」と呼ばれるのがより一般的なようですね?


実はデンマーク語でも、カタカナで書くと、ゲネラル・プルーヴなんです。


だから、いまさらですが、私もフランス語に拘るのはやめて、これからは初日公演の前日のリハーサルのことは「ゲネプロ」と書くことにしました。


独り言のような前書きが長くなりましたが、昨日、今晩初演の『白鳥の湖』のゲネプロに行って来ました。


『白鳥の湖』オペラハウスでの上演です。


公演は6回あるのですが、少し前からチケットは完売されていて、相変わらずの大変な人気です。


オペラハウスへ向かう途中に建築中の隈研吾デザインのお馴染みの?建物たち。随分建築が進んだようです。ベランダにパラソルがあるアパートもあったりして、既に入居している人がいるのかな?そうだとしたら、まだまだ工事現場のど真ん中のアパートで不便そう?



オペラハウス内からそちらを見渡した風景。

前の公園も、建築が進みました。


2025年には全てが完成している予定みたいです。そのことは下のブログに書いてますので、ご興味がある方はどうぞ。

https://ameblo.jp/mwins/entry-12766987698.html


さて、『白鳥の湖』のゲネプロの話に戻ります。


大好きな韓国人バレリーナ、ジーミン・ホンがオデット/オディールデビューすることになっていて、昨日は彼女が踊る番だと知っていたので、この日を心から楽しみにしていました。


昨日の配役リスト。


アンダーながら、この3週間は、高校へは行かず、バレエダンサー業一筋の毎日を送っていた息子から、彼女がいかに素晴らしいオデット/オディールであるかを、毎日のように聞かされていました。


ジーミンちゃん(勝手に親しみを込めてこう呼ばさせて頂いてます)は、容姿も、技術も、表現力も抜群なんです。


でも、私たちが彼女のファンなのは、それだけではなく、彼女の内面なんです。


高校生の時に、カナダ国立バレエ学校に留学するものの、病気になり韓国に帰国。その後なんと4年間バレエを踊ることが出来なかったそうです。


それでも、バレエと言う芸術を愛する心が消えなくて、元々の出身校のソウルにあるYewon Art School の先生方にも支えられて復帰を果たし今に至った人です。1987年生まれだから、今36歳?少し遅いオデット/オディールデビューなのは、そんなことが原因なのかもしれません。


王立劇場の公式サイトのプロフィールに載っている「あなたはなぜバレエをしているのですか?」と言う質問に、彼女は下のように答えています。


「バレエは私に人生の生き方を教えてくれました。それは、まず『謙虚であること』です。なぜなら、芸術の力と美しさは私よりもはるかに大きいからです。 必ずしも自分の思い通りに物事が進むとは限らないので、忍耐強く;なければなりません。 しかし、チャンスを与えれば、最終的には意図したとおりに動くでしょう。 そして『感謝すること』です。自分が一番好きなことをやらせてもらえない時の気持ちを知っています。だから踊らせてもらえるのは私にとって奇跡です。 パブロ・ピカソは「芸術は魂から日常生活の塵を洗い流す」と言いました。 ダンスを通して、そんな瞬間を観客に届けたいと思っています」


4年間のブランクの後の復帰、と言うストーリーは、ブランクの期間がどんなに苦しいか多少知っている息子にとっても、私にとっても正に奇跡のようなお話で、彼女のこの言葉に、息子は本当に励まされたのでした。


そんな彼女の踊りは、正に、バレエへの「謙虚さ」「感謝」で溢れていて、人間を超えた美しさがあります。


素晴らしいターンアウト、美しいおみ脚、別格の身体条件の持ち主で、神さまからバレエを踊るために選ばれて、守られて続けてきた彼女だから可能なことなのかもしれません。


そして、彼女のオデット/オディールは、期待を裏切らない、鳥肌が立つ美しさでした。


ジーミンちゃんがデンマーク王立バレエ団にいてくれることに感謝します。


ちなみに、パートナーでジークフリート王子役だった、Gregory Deanも凄く良かったことを書き足します。ベテランプリンシパルの貫禄で、ソロも、パートナーへのサポートも本当に素晴らしかったです。


以前にもチラリと書きましたが、近年、デンマーク王立バレエ団には、何故か?いい男性ダンサーがどんどん集まってきていて、女性中心になりがちな古典バレエ公演ですが、ソリスト級の踊りはもちろんのこと、群舞やディヴェルティスマンにも男性パワーがムンムン出ていてとても見応えがあります。


ところで、いくつかの役にアンダースタディーの息子ですが、昨日のゲネプロでは、急にマズルカを踊る役で入ることを言い渡されて舞台に立っていました。


ぶっつけ本番で、配置も慣れている場所ではなく(ヒエ〜〜)って感じだったようです。


アンダーって大変ですね〜!でも、こう言うのを何度もこなして認められて行くのでしょう。


「最悪の出来。何箇所も間違った」

と後で言っていました。


おつかれさま〜〜!


素人の私は息子の言う「間違い」に気づくことはなく、第2幕にチラリと踊った後、舞台に暫く立ちっぱなしだった息子を、ジーミンちゃんのゾクゾクするほど魅惑的な黒鳥に集中しながらも、時々チラチラ見れたのは、嬉しいサプライズプレゼントでした。


最後に、公式サイトを下に貼り付けておきます。

https://kglteater.dk/det-sker/sason-20232024/ballet/svanesoen