それぞれの『サンクチュアリ-聖域-』 | あるバレエママの告白

あるバレエママの告白

バレエしている息子のこと。それを母として観察する私が考えたこと。デンマークの暮らし、教育などなど、ふと頭に浮かんだことをそのまま書いてます。

息子は無事に予定通りにカナダから帰国して、翌日からはまた普通に学校に通い始めています。


刺激的で、充実した、本当に楽しい1週間だったようで、帰国した日の午後は、トロントの印象、カナダ国立バレエ学校(NBS)の素晴らしさ、トレーニングやリハーサル、勉強会、そして完璧な食事のこと、体験談を沢山話してくれて、そして珍しく聞くこと聞くこと嫌がることなく答えてくれました。


アメリカ大陸の街と言うと、去年行ったニューヨークしか見たことない息子なので、どうしてもこの2つの都会を比べてしまうようでした。なんといってもトロントは比較的物価が安いところが気に入ったようで、NBSの側にあると言うバレエショップであれこれ買い物をしてきたようです。


お土産も忘れずに買って来てくれました。



昨日は早速クレープを焼いて、メープルシロップをたっぷりかけて食べました。美味しかったです。


大麻が合法なニューヨークでは、街の至るところ?に大麻の香りが漂っていて、匂いを嗅ぎ分けることを覚えて来てしまった息子でしたが、カナダでも合法だそうで「街の中で同じ香りがする場所があった」と微妙な気付きもあった滞在だったようです。


2018年に参加した、コペンハーゲンにあるチボリ公園のバレエ学校が主催したバレエサマーインテンシブには、NBSの先生方がいらしていたのですが、5年経った今も息子のことを覚えていて声をかけて下さったそうです。また、10年前、小学校一年生の時にバレエの担任だったデンマーク人で、息子たちを受け持った翌年にNBSに移った先生がいるのですが、彼も同期の女子と息子のことを覚えていて下さって「おーい君たち!」と声をかけられ、デンマーク語で話したそうです。久しぶりのデンマーク語での会話だったらしく、先生も嬉しそうだったそうです。


バレエの先生方の教え子たちへの記憶力って凄いな〜って思いました。


(知り合いは全くいない)と思っていた場所に自分を知っている人がいたのは意外で、それはとても喜ばしい体験だったようです。


いつもとは違う古典クラスが刺激的だったこと。コンテの指導講師がとても優秀だったこと。初体験のアフロフュージョン・ダンスのクラスは難しくてついていけなかったこと。そして、別々の国からやって来た若者たちとリハーサルをして、舞台でパフォーマンスした体験が、なによりも貴重だったこと。


息子が持ち帰ったパンフレットに、デンマーク王立バレエ学校の生徒たちを支援して下さったお二人の名前が載っていました。お名前から察するところ、デンマーク人ではなく、カナダ人のサポーターの方とお見受けします。


改めてありがとうございました。


最後に、突然ですが、連休中にネットフリックスで観て、考えさせられたり、泣かされたりしたドラマを紹介させてください。


それは、大相撲を題材としたドラマ『サンクチュアリ-聖域-』です。バレエとは全く関係ないようで、実は大いに共通点があるように思われます。



日本の伝統的な興行であり、神事でもある大相撲。聖域である土俵。そこに立つために過酷な稽古に耐える力士たち。変わらない伝統。相撲界を支える社会。そして暗闇。抵抗するジャーナリストたち……などなどが描かれたドラマで、相撲のことをまるで知らないで観るととても勉強になるし、なによりとても面白いです。伝統を完全に無視する相撲界の問題児、猿桜。少しずつ変わっていく彼。そして彼を取り巻く人たち。俳優たちの演技。相撲部屋の様子。凄くリアルで、とにかく超お勧めです。シリーズ2(ありますよね?)が今から楽しみです!


今回息子が参加したAI23は、バレエ芸術における人種差別問題がテーマでした。


西洋の伝統芸術であるバレエを、多種多様な現代社会、そして将来の社会に伝承し続けていくために、今後必要な変化について考えたり、表現や創造的なプロセスで、社会の多様性に共鳴させ、反映させるためにはどのようにすればいいのか?について考える機会をダンサーたちに与える、と言うのが目的の一つだったと思います。


変化しつつあるバレエ界です。


でも、バレエにも舞台と言う「聖域」があります。


将来どうなっていくのか?


もう暫く、リアルに追って行くことができたら!?と願っています。