振付家との絶縁 | 大好きな日々の覚え書き

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デンマークの暮らし、教育、天然酵母、麹、発酵の話、旅行の話、子どもたちを通して知ったバレエのことなどなど、ふと頭に浮かんだこと、思ったこと、感じたことをそのまま綴るブログです。

こんなに暗かったのか〜〜!と、今更のように思い知り、鬱になりそうな日々を1週間過ごして来ましたが、今日、やっと青空をみることができました〜!


デンマークの冬の青空、イコール、氷点下。今日は、キューンと冷えてます。でも、雪化粧した森は、どこをみても最高に美しいです。


写真の上の方だけ真っ直ぐ明るいのは、そこだけに日がさしているからです。

はい、デンマークでは冬の間、お日さまは1日中横からさします。そして上の方に登ることなく、地平線のあたりをウロウロして、午後4時頃には沈んでしまいます。


どんなに寒くても、雪が降って、お日さまの姿があるほうがいいなぁ〜、って私は思います。だってこんなに明るいんですもの!もう氷点下、万々歳って気分です。


さてさて、前書きはここまでにして、今日書きたいことは?と言いますと、私が留守の間に報道された、デンマーク王立バレエ団と縁を切ることになってしまった振付家の話です。


デンマーク語ですが、参考のために報道された記事の一例を下に貼り付けておきましょう。もし良かったらGoogle翻訳などで読んでみて下さい。


皆さんはもうお分かりですね!その振付家とは、ジョン・ノイマイヤーです。


上の記事の中に「ノイマイヤーの 50 周年記念式典へのゲスト出演の招待を辞退すること、来シーズン上演される予定だったノイマイヤーのバレエ『マーラーの交響曲第 3 番』がキャンセルになったことを伝えるデンマーク王立バレエ団からのメールを、ジョン・ノイマイヤーは11月16日に受け取った」と書かれています。


なんでも、ジョン・ノイマイヤーがハンブルグ・バレエ団の芸術監督である間は、ノイマイヤーの作品はデンマーク王立バレエ団では上演されないことが決定されたそうです(現役の場合、彼自身を劇場に呼んで振付を最終チェックしてもらう必要があるから、らしい)。


ジョン・ノイマイヤーが はじめてコペンハーゲンにやって来たのは1963年、伝説のバレエ教師、ヴェラ・ヴォルコヴァに師事し、以来60年間、彼とデンマーク王立バレエ団は親密な関係を保ち続けてきました。彼の作品は毎年のように演目に上がり、ドラマチックな作品の数々はいずれもデンマーク王立バレエ団の十八番的な存在で、ジョン・ノイマイヤーは、ブルノンヴィルの作品同様、デンマーク王立バレエ団のDNAの一つ、とも言えるほどでした。でも、その関係が断たれることになってしまったのです。


こんなに深い亀裂が生じてしまったのに、上の記事を読む限り、ジョン・ノイマイヤーの方に、その原因の自覚症状がないように思われて、それが何よりとても不思議です。


ことのはじまりは『オセロ』のキャンセル騒動でした。

代わりに『真夏の夜の夢』が上演されて、全てが丸く収まる予定だった?はずでした。


下の記事にも少し書いてます。今日はその続きです。


https://ameblo.jp/mwins/entry-12773732610.html


水が溢れ出る前の最後の一滴は、初演前に劇場を訪れたジョン・ノイマイヤーがした、ダンサーへのスピーチだったようです。


そのスピーチの中でジョン・ノイマイヤーは、ダンサーの尊厳については理解を示すことなく、ダンサーが自分の振付を誤解していること、自分の作品はアンチ・レイシスムであることを強調して、オセロが上演されるべきであったと繰り返したと言います。


そして、そのスピーチは、ダンサーたちの中にあったジョン・ノイマイヤーへの不信感を決定的なものにしてしまったようです。


その結果、劇場の幹部はダンサーを守るために、振付家と縁を切ることに決めた、と言うことらしいです。


この縁をキッパリ切っちゃったところは、かなりドラマチックで、一般人の私には理解し難く、もう少し説明していただきたいところです。でも、仕事の環境を健全に保つために振付家と縁を切らなければ収まらない、何かが起きたのは確かみたいです。


他の記事の中で、「リハーサルにおいても、メディアにおいても、ダンサーが、知性も、知識も、経験もない、子どものような扱いをされている」と、あるダンサーが語っていました。


「いけないのは作品ではない、作品を理解できないダンサーなんだ」と言うのが、振付家を含めた一部の人の意見みたいです。


「むしろ可変性と表現そのものについて話したい。特定の民族や人々のステレオタイプで風刺的な表現は、政治的に不適切で不必要であるだけでなく、芸術的にも面白くない」もう一人のダンサーが、こうインタビューに答えていました。


問題の振付の、作品中での意図は十分に理解した上で、さらに振付の無意味さを指摘し、今後のバレエ芸術のあり方も考えている興味深い発言です。


これは今を生きる若者たちの生の意見であり、尊重されるべきだと思います。(観客として正直なところ、ジョン・ノイマイヤーさん、なんでそんなにその振付に拘っちゃったかな〜……、その振付がなければ、『オセロ』観れたのにな〜……です)


ジョン・ノイマイヤーの作品は好きなので、旧舞台で観れなくなるのはとても残念です。


でも、アーティストたちの間で、どうしたって協調できないムードが出来上がってしまったらしいので、当面絶縁ってことで仕方ないですね。


今回の事件でデンマーク王立バレエ団と劇場の幹部は、スター振付家のエゴ以上に、ダンサーの意見と尊厳をリスペクトする姿勢を世に示した、と言えると思います。


それは、それでバレエ界にしては革新的な試みで、素晴らしいのではないでしょうか?


別の振付家の作品を踊るいいチャンスかもしれないし、前向きにドンドン開発して行って頂きたいと思います。