2024年6月度(第151回)mwe交流会を開催しました! | mwe

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Medical Welfare Environment

◆今月のmwe交流会のテーマは?
今月のmwe交流会のテーマは、
人々が持つ様々な個性や違いに関わらず、暮らしやすい社会づくりのために…
『“ユニバーサルデザイン”と“パラスポーツ”の理解を深めよう!』
です。

私たちの街には、子どもから成人、お年寄り、男性・女性、外国人、車いすを利用する人、
視覚障がい者、聴覚障がい者、そのほか外観では分かりにくい障がいをお持ちの方、
妊産婦、ベビーカーを押す人など、いろいろな人が暮らしています。

こうした年齢、性別、文化、身体の状況など、人々が持つ様々な個性や違いに関わらず、
最初から誰もが利用しやすく、暮らしやすい社会となるよう、まちや建物、もの、
しくみ、サービスなどを提供していこうとする考え方がユニバーサルデザイン
です。

さて、日本WHO協会の発表によると、現在世界では約13億人が、何かしらの障がいを
抱えながら生活しています。これは実に全人口の16%に当たる人数であり、

6人に1人が障がい者ということになるのです。

 

また、令和5年版 障害者白書によると、日本国内には436万人の身体障がい者、

109万4千人の知的障がい者、614万8千人の精神障がい者が暮らしています。

この数は日本人口の9.2%に該当し、多くの方が障がいと向き合いながら

生活していることを示しているのです。

今月の交流会では「誰もが暮らしやすい社会づくり」のために“ユニバーサルデザイン”
と“パラスポーツ”の二つの切り口から私たちの視点・視野・視座を拡げるような場
なりました。

今月の交流会もよろしくお願いいたします!


◆理事長によるmweフィロソフィの共有


毎月、交流会の始まりは、mwe杉田理事長によるmweフィロソフィの共有からです。

mwe活動で大切にしている理念(「利他」「協働」)を異なる側面からお話する時間です。

日頃、仕事に追われて、忘れている「大前提」「原理原則」に立ち返る時間になっています。

今月のテーマは、『お客様に「感動を与える仕事」をする』です。


◆財団交流会 講演①◆


テーマ :「 もっと知りたくなる!“パラスポーツ” 」
     ~障がいの有無に関わらず、楽しめるスポーツを知ろう!~
講 師 : 埼玉県 県民生活部 スポーツ振興課

          パラスポーツ担当 主査 楯 明希子 様 / 主事 高山 和希 様

冒頭、埼玉県 楯様より、「埼玉県が取り組むパラスポーツ」の解説を頂きました。

<パラスポーツとは?>
パラスポーツとは、一般に行われているスポーツをベースに障がいの種類や程度に

応じてルールや用具を工夫しているスポーツのことで、障がいのある人のために

考案されたスポーツです。また、パラスポーツは障がいの有無に関わらず、

総ての人々が実践して楽しめるスポーツとなっています。

具体的には「ボッチャ」「ゴールボール」がパラスポーツの代表です。
●ボッチャとは?
 :目標の白いボール(ジャックボール)に向かって赤と青のボールを6球ずつ投げ合い、

 どれだけたくさんのボールをジャックボールに近づけられるかを競うスポーツです。
 実際、交流会でもボッチャの体験会を行いましたが、ダーツとカーリングの要素を

 合わせたようなスポーツと感じました。

 皆さん、初めての体験だったのに、大盛り上がりでした!


●ゴールボールとは?
 :アイシェードで目隠しをし、鈴の入ったボールを相手ゴールにシュートして

 得点を競う競技です。

<埼玉県の障がい者スポーツ振興について>
埼玉県では県民のQOL向上を目的として埼玉県5か年計画(令和4年度~令和8年度)で

1週間に1回以上スポーツをする成年の割合を65.0%以上として目標設定をしています。

しかし、現状は57.9%(令和4年度)、56.2%(令和5年度)と目標には達していない

のが現状です。

そこで、埼玉県ではスポーツを通じた共生社会の実現のため、埼玉県スポーツ推進計画

(令和5年度~令和9年度)を策定しています。同計画では、障害者のスポーツ大会

「彩の国ふれあいピック」に参加する障害者の人数を4,500人以上として目標設定を

しています。 (令和5年度実績:2,520人)

<タテ・ヨコ・ナナメのスポーツ振興>
健常者のスポーツでは、「タテ:競技力向上」「ヨコ:スポーツの普及」の掛け算で

振興の広さ・深さを図りますが、障がい者スポーツでは。タテ×ヨコに加えて、

ナナメの施策として「ナナメ:障がい・障がい者への理解」が加わります。
 

 タテ:競技力向上 

   × ヨコ:スポーツの普及 

      × ナナメ:障がい・障がい者への理解

        = 「共生社会として誰もが分け隔てなく活躍することができる社会へ」

埼玉県では、これら3つのベクトルを伸ばすための施策が打ち出されています。
1.ヨコ:スポーツの普及
  パラスポーツを知って、始めてもらうきっかけづくりのほか、パラスポーツを

  サポートする人材育成などに取り組み、パラスポーツの普及、裾野を拡大します。
 ●彩の国ふれあいピック
  :パラスポーツの普及を図るとともに、障害者とパラスポーツに対する理解を

   深めるため、全県的な大会として開催されます。
   「春季大会」「秋季大会➡パラスポーツフェスティバル」「球技大会」
 ●公募型パラスポーツ活動支援事業
  :地域でスポーツを始められるきっかけづくりとして、パラスポーツの

   すそ野拡大につながる事業に10万円支援する制度です。
 ●パラスポーツ指導員養成講習会
  :スポーツをするためのサポート・人材育成として、障害者のスポーツの

   振興を図るとともに、パラスポーツ指導員の養成を行い、障害者の

   健康・体力の維持・増進と競技力の向上に寄与を目的に開催れます。


2.タテ:競技力向上
  アスリートの発掘育成から強化まで一貫したサポート体制を整備し、

  将来、国際大会で活躍する県ゆかりのアスリートの輩出を目指します。
 ●プラチナアスリートの認定
  :県ゆかりの選手を「プラチナアスリート」として20名を認定。専門家による

   個別サポート(トレーニング指導、メンタル指導、栄養学)やスポーツ科学

   支援や、大会遠征費や用具のメンテナンスなどの活動経費補助を行います。

(mwe事務局)

 プラチナアスリート認定では埼玉県内の中小企業との連携が可能かな!?と思いました。

 というのも、身近な事例ですが、走り幅跳びのパラアスリートの競技力upに中小企業の

 技術力が活かされた事例があるからです。


 その中小企業は自動車関連部品を製造していますが、同社の技術力を活かして、

 義足に使用される器具の開発・改良・改善を行っています。まったく異なる分野

 (製造業⇔パラスポーツ)ですが、キーとなる技術を応用、転用することで

 今回の独自性ある価値を生み出しました。
 

 このような事例が多くのパラスポーツ・パラアスリートで生まれるのではないか!?

 と楽しみになりました。地域でパラスポーツ・パラアスリートを支え、地元企業が

 記録更新に寄与することができれば、その企業で働く従業員にも励みになりますね!

 ●アスリート発掘のための体験会・測定会
  :世界にはばたく未来のアスリートを発掘するため体験会・測定会を実施します。

   体験会は「陸上競技・卓球・水泳・アーチェリー・ボッチャ・ゴールボール・

   バレーボール」を行い、測定会は「基礎体力測定(握力・長座体前屈・反復横跳

   ・立幅跳・上体起こし)・20m走(5m往復走)・ハンドボール投げ」を行います。

3.ナナメ:障がい・障がい者への理解
  障がいのあるなしにかかわらず参加できるイベントを通じ、障がいへの理解や

  心のバリアフリーを推進し、スポーツを通じた共生社会の実現を目指します。
 ●ボッチャ交流大会
  :障害の有無に関わらず誰でも参加できるボッチャ大会を開催します。予選大会

   (24チーム)・当日予選(8チーム)を経て、32チームが本大会で競います。
 ●ゴールボール体験会
  :障害を疑似体験しながらスポーツを楽しみます。参加者(親子、障がい児、

   プロチームのファン)とプロチームの選手が、アイシェードをつけての歩行、

   声を掛け合いながらのパス回しや試合を一緒に体験します。

<ボッチャの体験会>


講演の最後には、参加者全員でパラスポーツ(ボッチャ)の体験会を行いました。

会場いっぱいにコートを敷いて、赤・青のボールを投げ込み、ゴールを競いました。

ルールがシンプルだったので、皆さん初めの体験にも関わらず、大変盛り上がりました。

ボッチャのボールの感触のよさを今でも覚えています。皆さんも機会があれば、

ボッチャを体験してみましょう!


◆財団交流会 講演②◆


テーマ :「 “ユニバーサルデザイン”について 」
     ~年齢・性別・能力の違いに関わらず、全ての人が暮らしやすい社会へ~
講 師 : 埼玉県ユニバーサルデザイン推進アドバイザー 栗林 稔昌 様
           (埼玉県 県民生活部 文化振興課より、講師派遣)

後半は、埼玉県ユニバーサルデザイン推進アドバイザーを務められている栗林稔昌様に

「ユニバーサルデザイン」を解説いただきました。ご自身も車椅子当事者として日々、

生活をされる中で感じている問題意識(不便さ)をベースに解説をいただきました。

栗林様は、「埼玉県ユニバーサルデザイン推進アドバイザー」「福祉用具専門相談員」

「埼玉県福祉教育・ボランティア学習推進員」を担当され、本業は栗林福祉建築事務所

代表を務められています。

栗林様によるご講演は、2020年10月以来、2度目のご登壇です。当時から世の中の

流れも変わり、ユニバーサルデザインの考え方がどれくらい浸透したのか?

改めて、考える機会になりました!

<ユニバーサルデザイン(UD)の基本的考え方>
ユニバーサルデザインは1985年、アメリカの建築家が最初に提唱した考え方で、

以下の7つの原則からなります。
●ユニバーサルデザイン 7つの原則
 原則1 誰にでも公平に利用できること(公平性)
 原則2 使う上で自由度が高いこと(自由性・柔軟性)
 原則3 使い方が簡単で直ぐわかること(単純性)
 原則4 必要な情報が直ぐに理解できること(分かり易さ)
 原則5 うっかりミスや危険に繋がらないデザインであること(安全性)
 原則6 無理な姿勢を取ることなく、少ない力で楽に使用できること(省体力)
 原則7 アクセスし易いスペースと大きさを確保すること(スペースの確保)


また、このほかにも「経済性」「耐久性」「品質」「美しさ」「文化性」

「自然環境配慮」などの視点も加えた考え方もあります。

<メガネをかけている人には構えないのに・・・>
講演の冒頭、『皆さんの周りに眼鏡を掛けている方はいますか?』との質問でスタート。

見回すと交流会参加者の半数近くが眼鏡着用でした。mwe事務局 櫻井も眼鏡着用です…。
眼鏡は遠視・近視など、見えにくい状況を解決するために着用していますよね。

我々、車椅子利用者も同じなんです。歩けない・歩きにくいという状況を解決するために

車いすを使用する、それだけです』とのことでした。
 

私たちは、眼鏡を掛けている人を見て特段の思いを抱きませんが、車椅子利用者の方に
接した時に『車椅子利用者』ということで“ちょっと”構えてしまうことはありませんか?

その“ちょっと”構えてしまうこと、それが生活上の心のバリアになっているとのお話を

お聴きしました。“ちょっと”構えてしまう様子は、表情や言葉・態度に表れてしまい、

車椅子利用者の皆様は敏感に感じ取ってしまうのです。

<目に見える、見えない・・・3つのバリア>
さて、バリアには3つ(①物理的バリア、②情報のバリア③心のバリア)があります。
物理的バリアは、階段・段差などのスムースに移動できない状況のこと。
情報のバリアは、目的地・移動中の施設情報のこと。
 

例えば、駅はバリアフリー対応になっているか?トイレはあるか?などです。

最近は施設情報を公開するケースが増えていますが、実際に行ってみないと

バリアフリーかどうかは分からない状況であることが車椅子利用者にとって

情報のバリアになっています。
 

松本市では「健康寿命延伸都市/暮らせば健康でいられるまち」を掲げ、

無段差社会を創るために車椅子利用者がスムースに移動できるよう、

段差の有無・誰でもトイレの設置状況などを足で調べ、MAPにしています。

このような情報のバリアをなくす取組みっていいですね!
 

心のバリアは、先に挙げた“ちょっと”構えてしまうことによる視線・態度です。
 
ハード面だけでなく、態度・感情などソフト面のバリア、つまり、既にいまある

バリアをなくすことがバリアフリーと認識しました。そこから発展し、

そもそもバリアのない状態を創ってしまおう!と生み出された考え方が

ユニバーサルデザインです。お手伝いを必要とする方々、一般の方々を問わず、

全ての人々が使いやすいモノ・コトがユニバーサルデザインと言えるんですね。

講演の最後に栗林様から、1本の動画の紹介がありました。
YouTube動画『職場に必要なのは、あなたのやさしさです?』(Smart HR)
 

印象的だったのは、障がいを持つ人たちの『私たちってそんなに可哀そうなの?

というコメントでした。動画ではTAKE 1の後、改めてTAKE 2を取り直します。

その“違い”の私たちは気付いていきたいと思いました!

わずか2分7秒の動画ですので、皆さんも一度、ご視聴下さい!


次回、7月度mwe交流会は、7月9日(火)開催です。

<交流会テーマ> 
医療費・介護費の増加を少しでも減らし、社会保障の持続可能性を高めるために…
『誰もが毎日を健康で、生き生きと暮らせる健康長寿社会づくりを考えよう!』


これまで、厚生労働省は国民の健康のため様々な取組みを進めてきました。

その結果、男女とも平均寿命で世界最高水準を達成するまでになりました。

 

今後、シニア層の人々が急増する中、世界のどの国も経験したことのない超高齢化

社会を迎えることになります。そして、これまで以上にQOL(Quality of Life)、

すなわち生活の質により多くの関心が寄せられるようになりました。

皆さんは5年後、10年後もQOLを維持した生活ができているでしょうか?

こうした中、一人ひとりが生き生きと暮らしていくためには、単に長寿である

だけでなく、「いかに健康で過ごすことができる期間を長く保つか?」が

最重要課題となりました。

 

そのためには、健康寿命の延伸健康寿命社会の実現が必要です。(これらが

実現されることで、結果的に医療費・介護費の増加を少しでも抑えることができ、

国民負担の軽減につながると共に、社会保障の持続可能性を高めることになります)

健康寿命の延伸と健康寿命社会の実現に向け、日々の運動習慣や食生活の改善に

取組むことが、生活習慣病の発症や重症化を予防することに繋がるんだということに

気付く交流会にするため、埼玉県・食品メーカーから講師をお招きします。

<講演>
講演① 「健康長寿埼玉プロジェクトについて」
     ~県民一人ひとりが健康づくりに取組む社会へ~
講 師  埼玉県 保健医療部 健康長寿課 総務・健康づくり企画担当 

                 主任 石坂 隼平 様 / 主査 須網 英夫 様

                 主査 飯田 浩美 様 / 主事 守 菜々子 様


講演② 「明日をつくる 今日の食卓」
     ~食事を見直し、健康寿命を延ばそう!~
講 師  大塚食品株式会社 営業本部 

         ヘルスケアコミュニケーション部 管理栄養士 和田義樹様