プラチナ会完結 |  pianoforute村のムーミンママのブログ 

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6月13日(木)

高村光太郎の石碑を求めて、山道を進む。
道幅はどんどん狭くなり、車一台が通れるくらい。
待機場所はない。
ひたすら対向車が来ない事を祈る。
カーブが多くなる。
運転席側は崖。
助手席側は山だが、側溝がある。

どちらも脱輪したらアウト!

タイヤが見えるように、サイドミラーを限度まで下げる。

ハンドルを切るたびに、ヒヤヒヤ。

怖い! すごく怖い!

途中、昨夜の雨で、山側の土が流されて、道の真ん中が少し盛り上がった所があり、滑りそうで、怖いの何の。

もう、嫌だー。

一体こんな所を通らなければ行かれない観光名所ってあるかしら。
そもそもこんな道、どんな人が通るんだろ。
舗装はしてあるけれど、対向車も後続車もなし。
もう引き返したいけど、Uターン出来る場所なんてないし。

そのうち、二叉路に出た。
ここならUターン出来る。
これ以上進んでも石碑があるとは思えないし、仮にあるとしても、もう嫌だ!

ついに言った。

「ごめんなさい。もうこれ以上怖くて運転できない。引き返しますよ。いいですね?」

「いいさ、引き返した方がいいよ。乗ってる私が怖いだから、運転してる方は、もっと怖いさよ」

Oさん、無言だったけど、Nさんが賛成してくれたので、Oさんの返事を待たずに、さっさと方向転換した。

帰りは当然ながら下り道。
ところが、下りの方がもっと怖い。
カーブの時、後輪に気を取られていると、前輪が脱輪しそうになる。

エンジンブレーキをBにし、冷や汗かきながらの運転は、今まで経験したことがない。

さっき、土が盛り上がって滑りそうになった所をまた通らなければならないし。
もし、脱輪したら3人で持ち上げるのは不可能だし、車は通らないから助けて貰えないし、JAFには入ってないけど、警察にでもSOS出せば、何とかなるかも。
だけど、崖から落ちたら…
まず命はない。
見つけて貰えるのは、いつのことやら。
ああ、嫌だ!嫌だ!
何が何でも、無事に下りなきゃ。

そんな事を考えてたら、さっきの土が盛り上がった難所に来た。
その途端、私は自分の顔から血の気が引くのが分かった。

道を塞ぐように、大小の石が転がっている!
あの石をどけなければ、通れない!

何という事でしょう!

私達が通り過ぎた僅かな間の落石。
ということは、また落ちてくるかもしれない。
早く石をどけて去らなきゃ。

私は車を降り、一番大きな、ボストンバッグほどの石を転がして、崖下に落とした。

「大丈夫け?」

OさんとNさんが、心配そうに窓から声をかける。

「大丈夫!」

あとは、手で持てる大きさの5、6個を投げ捨て、急いで車に乗った。
早くここを通り過ぎなければ!
脱輪しないように。
それだけに集中して下る。

魔のような時間が過ぎて、センターラインが引いてある場所に出た時は、心底ホッとした。

「だけど、どうして見つからないの?公園からは一本道だから、間違ってないはずだけど」

ようやく口をきく余裕が出た私。

「こういう道端にあるだよ」
とOさん。

「だったら、見落とすはずないよね」

そして、例の一時停車した公園を通り過ぎた時、Nさんが言った。

「あれじゃないだけ?」

「え? あった?」

慌ててハザードランプを押して、車を停める。

Nさんが、すぐ車を降りて道路を横切る。
続いてOさんも降りる。

「やっぱりそうだよ〜、記念碑って書いてある」

よかったわ〜、見つかって!


私も車を降りた。
そして、周辺を見て、唖然…

ここって、公園から30mほどしか離れてないじゃん。
しかも、すぐ左側を下れば、Nさんを探して戻ろうとした、少し遠回りになる道路です。
あの時、近道せずここを上っていたら、見つかったのにぃ!

ああ、なんちゅう事よ。

何はともあれ、目的を果たせて、めでたしめでたし!


これが、高村光太郎晩年の書を掘った碑。
なんて書いてあるのかしら。
…うつくしき みつもの…   かな?


高村光太郎は、昭和17年10月に、馬の背に揺られながら柚子の里高下(たかおり)を訪れました。

その時書いた詩「山道のをばさん」の中に

軒いっぱいの秋空に、びっくりする程大きな富士山が、雪を被って轟くように眉に迫る

と、雄大な自然の美を書いたそうです。

その後、「かいじ国体」の年、ここ「柚子の里と富士」が、新富嶽百景の一つに選ばれたのを機に、光太郎の晩年の書を刻んでこの碑を建てたのだそうです。


記念碑の説明をじっと読むOさん。

目的果たせて、よかった!


ここは、ダイヤモンド富士の撮影スポットとしても有名だそうです。


「これさ、この標識、立てる場所が悪いよね。これじゃ、こっちの道を行けって言ってるみたいだよね」


腹いせに、標識のせいにする私。


「そう、標識が悪いだよ。矢印なんか付けるから、方向だと勘違いするだよ」


「そうさ、この、桜の木の真下辺りだったら、正面だから、運転してても良く見えるよね」


Nさん、Oさんも、文句タラタラ。


先ずは目的を果たせたからいいけれど、口直しに紫陽花でも見ましょうかと、わたしの提案で、紫陽花寺として有名な「小室山妙法寺」へ向かいましたが、まだ1分咲き。

標高800mですから、開花が遅いようです。

見頃は、今月末頃かな。


リベンジとして、今月末に、「臨時プラチナ会紫陽花鑑賞会」をする事になりました。


6月のプラチナ会のご報告、これでお終いです。


ああ、疲れた。


長々とお付き合い下さって、ありがとうございました。🙇