動物にとって有害な毒は、デメリットだけでなくメリットもあり、薬品、農薬、食品防腐剤、工業製品などあらゆる分野で利用されている。
許容範囲の量と用い方で安全を保っているが、すぐには気付かない反動もあり、改善、あるいは禁止されたものも多い。
今回は船の喫水線下に塗る「船底塗料」の話だ。
ペンキなどの塗料は鉄骨や建築資材だけでなく、家屋や乗り物などあらゆるものに使われている。
鉄や木材などの劣化を防ぐ為であり、そうしなければ木はボロボロ、鉄は錆びだらけになる。
船底塗料も同じであり海水による「錆」だけでなくもっと大きな目的がある。
フジツボや海藻などの付着を防ぐ為だ。
数ヶ月でこれらは繁殖、水の抵抗が大きくなり速度は極端に低下、燃料効率も最悪になってしまう。
大航海時代や木造船の時代、最も悩まされたのはフナクイムシであり、コロンブスが率いる船団の船体も穴だらけになり2隻が沈没。
船の沈没は嵐や座礁よりもこのフナクイムシが原因の方が多い。
長期航海で、陸揚げして船底のメンテナンスが出来なかったからだな。
フナクイムシは海の二枚貝類のグループの総称で「海の白アリ」とも呼ばれる。
このフナクイムシが何千年もの間、船を襲って食いつくし、船乗りや漁師を悩ませて来た。
小学生の頃、野人が育った漁村では船を浜に挙げてバーナーでよく船底を焼いていた。
水分を飛ばして軽くするのかと思っていたが、フナクイムシの退治だった。
木造船の時代、このフナクイムシを退治する為に船底塗料が使われるようになった。フナクイムシだけでなくフジツボや海藻も付着しないように毒が使われた。
鉄やFRP船になっても海の生物による船体の腐食は激しく、スピード低下や燃費の問題だけでなく船の寿命を保つ為に船底塗料は必要だった。
船舶数が激増すれば船底塗料の毒物による海洋汚染・環境悪化は深刻、港内の泥に住む貝などに重大な打撃を与えている。
最も船が停泊する海底に泥と共に堆積するからだ。
付着しないように「サメ肌」や「シリコン」なども使われ、「追い払う情報」や「超音波」など、塗料とは限らない方法も開発中だ。
面白いのは魚貝類を真似て「粘膜」で付着を防ぐと言うが、それで船は上手に走れるのかな。
粘膜も万全ではなく、貝には貝が付着、硫黄島の夜の海底で野人が乗っかった百キロの海亀のオツムにも巨大なフジツボが付いていた。
陸においても、これほど大勢が世界中で農薬を使えば環境に悪影響を及ぼすのは当然であり、人間が常用する薬も同じだな。
気付いた時は手遅れになり兼ねない。
科学はその繰り返しだが、初めにそれが読めないのか、それとも後先考えないのか。
「本来」からではなく「現状」から思考を進めるから、招かざる応報に悩まされる。
フナクイムシは海には必要な一員だ。
海には木など生えていないのに何故、このお方はいらっしゃるのかな。
台風が来れば陸の木が倒れ、枝が飛び、川から海へと運ばれる。
この膨大なゴミを誰が大掃除出来るのか![]()
そんな時・・
疾風のように現れて
、住み着き何時までも居座り
、穴だらけのボコボコに食い尽くしたら仕方なく去ってゆく![]()
この結構仮面のようなフナクイムシがいなければ海底は陸からのゴミの山になる。
フナクイムシは海で待機、流れて来た木をバクテリアの力を借りて分解、封じ込められた炭素をリサイクル、海洋において重要な役割を果たしている。
人間よりもはるかに・・・
そして海の白アリと人間から忌み嫌われても健気に生きている![]()



