むー塩が危機を迎え、まむし頭が頭を抱えている。
記録的な大雨で伊勢湾の塩分濃度が極端に低下、製造効率も低下した。
海水のミネラル分を含む塩分濃度は平均3%だが、その半分程度の濃度が長い間続いている。
今回の大雨の影響での海の濁りはいつもと違って1週間抜けなかった。
ところが濁りが治まっても塩分濃度が戻らない。
濃度は1、8%で通常の半分強で、同じ手間と経費をかけても生産量は約半分。
2千円のむー塩が4千円近くになる計算だ。
猛暑の中、体が参るだけでなく、製造しても赤字になってしまう。
濃度の復元を待てばよいのだが、塩を待っている人は多く、責任感の強いまむし頭はやる気満々。
猛暑の釣りも体力を消耗するし、暑くて頭から湯気が出ているのだからやめておけ・・と、責任感の乏しいお野人は言うのだが、まあ好きにさせるしかない。
海面に近くなるほど濃度は薄くなり、深い場所から汲み上げればよいのだが、調査も含めて手間がかかる。
塩分濃度はやがて徐々に戻るだろうが、待つわけにも行かない。
同じ手間はかかるが、海水量を増やして濃縮海水の濃度を同じにすれば仕上げ量は変わらない。
海水量と燃料と時間が余計にかかることになるが、これしかない。
皆様にはしばらくご迷惑をかけるが、ごめんね・・
むー塩に変わりはないが、この塩の利点は、やや甘塩、旨塩になることだ。
むー塩の90%近くは塩化ナトリウムで残りが「にがり」と呼ばれるミネラル分。
ミネラル分が他の粗塩よりはるかに多いから甘く旨く感じる。
この原料の海水に山から流れ込んだ塩分濃度の薄い「汽水」が混じれば、出来上がった塩のミネラル分は増え、塩化ナトリウムの含有量は減る。
伊勢湾口の海水は大河から流れ込む山のミネラル分を多く含んでいる。
ミネラル配分量と水の綺麗さ・・まむし頭はその最高の場所と採取する時間帯をはじき出した。
その場所で船から採水すれば、使う海水量は増えるがミネラル分も増すことになる。
半分しか出来なかったこのむー塩・・
滅法甘くて旨かったらしい。
かって、宮川河口に位置するこの大湊は塩作りが盛んで塩の神社も残っている。
河口の汽水域の塩分濃度はわずか2%、3%の海水と比べて効率は悪かったが、それでも作ったのは美味しい「甘塩」が出来たからだ。
河川の汚染と共に廃れたが・・
考えて見なさい。
汚染物質を完全に消去してしまえば旨い塩が出来る。
簡単だな・・
そのうちヒマになったら「むー塩スペシャル」作ってみるか
想像しただけで、よだれが出るほど旨いな。
宮川河口
塩の道 むー塩物語 全7編
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