火口湖に潜ったと言っても最近の話ではなく、高校2年のキャンプでのことだ。
潜ったのはお笑いだが、お笑いは今も続いていた。
数年前だったか、津久見市に帰郷した時、同級生5人が集まり料理屋で宴会になった。小学校からの仲間達だ。
その中の一人は漁協の参事を経て市会議員をやっていた。 みな・・毛が無いか真っ白でメタボ・・
名は「康道」で、酒も進みお口も滑らか、選挙で鍛えたせいか声はバカでかい。
高校時代で一番悔しかったのは、腕相撲で野人に負けたことで、悔しくて夜も眠れなかったと言うのだ。
腕も手首も野人より太く剣道も強かったが、腕相撲は彼の誇りだったらしい。
次が、幼馴染でかぐや姫のメンバーだった「伊勢正三」の話で、これもお笑いになったが、そこには正ちゃんらしい優しさがあった。年上の正ちゃんは野人の守り役。
康道もギターでミュージシャンを目指し、コンテストでかぐや姫に負けたことを悔しがっていた。
康道のお口はさらに回り・・
「たかしよ~ お前覚えちょるか 久住山でキャンプした時のこと」
「覚えちょるが まだ何か根に持たれるようなことしたのか?」
「あん時 登山中に火口湖で皆で泳いだろうが」
大分県にある九重連山は1700メートル級の山が連なり、山頂近くには噴火口に雨水が溜まった幾つかの火口湖があった。
先生の事前情報で、泳げないことはないが自殺の名所?とも聞いていた。
前日、標高千m以上に位置するロッジに泊まり、翌朝から登山、昼食時にその火口湖に飛び込んだのだ。
水の色は黄緑というより黄色に近く硫黄の色だったが、岸近くはやや底が見えた。
火口湖の上のほうでクラスメート数十人がお弁当、食べ終わった後、お野人が水面に向かい、その後を数人が続き、先生も下りて来た。
まず、野人が素っ裸になっていきなり飛び込み、湖の中心まで数十m泳いだ。
奴らも裸になり準備運動してから水に入り後に続いた、カルガモの親子のように・・
「お・・あれか~ 真ん中で、湖底まで10メートル近く潜ったな」
水中眼鏡もなく、目を開ければ硫黄が染みて開けていられず、腕が沼にずぼりと埋まって着底がわかった。
「そうじゃ あん時 俺ら恥ずかしかったぞ お前が真ん中で逆立ちして潜る時には丸見えじゃ~ 女どもは上から見て涙流して悶絶
するほど笑っちょったぞ」
「そりゃまあな・・全員フリチンじゃあしょうがねえだろう 先生まで」
「何 俺らは皆海水パンツ持参で行ったんじゃ」
「いや・たしか 先生もフリチンで・・」
「バカタレ 先生が女子生徒の前でフリチンになれるはずなかろうが チンクロないずどスイミングよ」
「・・・じゃ フリチンの記憶は・・」
「フリチンになったんは お前だけじゃ」
「・・ ・・・ 」
そうじゃ そうじゃ間違いない と声があがる・・
「このこと以前ブログに書いたぞ みなフリチンって」
「バカタレ 修正せえ 俺らのメンツもある」
「わかった・・」
「だいたい大勢のオナゴの前で フリチンで逆立ちするバカなど世界中探してもおらんわ・・」 酔っても出来ん
「学校中の 笑いもんじゃ・・」
それから帰って記事を探したのだが何処にもなく、それっきり忘れていた。
2年前、康道から電話があり、野人本全部津久見市図書館に寄贈するよう要請があり送ったが、フリチンの件は忘れているようだった。
SLが停まる津久見駅
https://ameblo.jp/muu8/entry-12091527384.html
野人珍話列伝 フン戦記5
https://ameblo.jp/muu8/entry-11316204086.html
御前崎の伝説
https://ameblo.jp/muu8/entry-12255780524.html
https://ameblo.jp/muu8/entry-12255939061.html
タキの流れに身をまかせ~~