樹木なしの実験むー農園
樹木が混生する畑と樹木のない畑では野菜類の生育が明らかに異なる。
肥料と水で短期肥大させる一般農法、有機農法などは問題ないが、自然農法や協生農法では生産量に大きな違いが出る。
実験むー農園は0,7反で始めたが、1年遅れて隣接する0,3反を借りた。
地主が異なり、後者は果樹を植える承諾を得ていない。
当初3年間は野菜の生育にそれほど差はなく、どちらも白菜、キャベツ、大根などどっさり出来た。
果樹を植えた畑も果樹が幼木のうちは大差なく、果樹が大きくなるにつれて生産量は増し、差が出て来た。
樹木がない畑は生産量が落ち始め、大型野菜だけでなく、トマト、キウリ、葉野菜などの生産量も極端に落ちるようになった。
土壌構造は出来上がり、土質も本農園と大差ないのだが、生産量の差は明らか。
荒れ地でも問題ない「豆類」の生育も明らかに劣る。
自給するにはそれで十分だが、農業にするなら果樹がなければ分が悪い。
その理由は何処にあるのか。
当初はまったくわからなかった。
見てわかる違いは、草の特徴にあり、木々がない畑はヨモギやイネ科の植物が密生している。
果樹農園にもヨモギやチガヤや野芝はあるが、目立たず、気になるほどではない。
ヨモギやチガヤの完全除去などやれるものではなく、草は草をもって制すしかない。 つまり野菜で制すればよいのだ。
数年前、チドメグサが表土を覆い尽したことがあった。
背丈10㎝の草が表面を占拠したのだが、何で他を抑えられるのかがわからなかった。
根も浅く、簡単に剥がれるのだが、野人はこれを楽な「チドメグサ・マルチ」として重宝、野菜の苗をどっさり植えた。
しかし、野菜はまったく育たず、数カ月経っても苗のままだった。
このちっこいチドメグサの才能には脱帽した。
草類は生き残る為にそれぞれの技を磨いて来た。
シロツメクサもそうだが、浅い根で表土を覆い尽すことで他種の進入を防いでいる。
表土構造を順番に使うことで一年草は繁殖出来るが、彼らは他種植物に根を張らせないのだから構造は出来ない。
根を張れたとしても根から必要な生命エネルギーが摂れなければ野菜は育たない。
野菜がまったく生長出来なかったのはそれが理由だ。
そのチドメクサも逞しいヨモギやチガヤには敵わず、やがてとって代わられる。
根から勢力を広げるヨモギやチガヤは、表土のみを制するチドメグサの手には負えない。
このヨモギやチガヤが表土を覆い尽せば、土中は彼らの根が密生。
多年草には多年草野菜が一番、表土構造を必要とせず、簡単に負けることはない。
人が少しだけ手助けしてやれば、優勢となりとって代わる事が出来る。
セイタカアワダチソウが密生する荒れ地も同じで、耕しても土中の根は一掃出来ず、すぐに再生・密生する。
これも人が手助けしながら多年草野菜を密生させれば問題なく使え、密生していたアワダチソウの根も役立てることが出来る。
樹木のない畑の対策を示したが、樹木があるほうがはるかに生産は楽だ。
生物多様性・・と言ってしまえば簡単だが、何故多様性によって大きな差が出るのか・・・
続く・・
2010年11月 樹木なし農園
多年草の仕組み 2
http://ameblo.jp/muu8/entry-11868037602.html
多年草野菜の進撃 2
http://ameblo.jp/muu8/entry-11936772401.html