押し入れから色褪せた一枚の写真が出て来た。
子供の頃からカメラに関心がなく、アルバムも作った事がない野人の写真はいただきものばかり。
誰が写したかは知らないが野人22歳、曰く付きの一枚だな。
画像を見ればわかるが、左端の野人は余裕綽々で平常心を保っている。
左隣の学生服は体育会委員長、他は他のクラブの友人達だ。
この日は学園祭で、静岡の女子大生がやって来て「茶」を披露した。
堂々たる野人と違って不安で落ち着きもないのがわかるだろう。
海洋学部だから仕方ないのだが・・
普段はむさ苦しい男の群ればかりで、女子大生など見慣れていない。
しかも美目麗しい着物姿の女人5~6人に見つめられているのだ。
品定め・・されるように・・
緊張の理由はオナゴばかりではない。
奴らは「茶」などやったことがなく、茶道の何たるかも知らない。
ご招待され、困り果てている所へ野人が通りかかった。
「まかせておきなさい」
「おい・・作法・・知っとるんか?」
「高校では茶道部じゃ」
「ホントか?」
「作法など 簡単じゃ・・」
「人は見かけによらんのう」
「茶道も華道も陰陽道もやれるわ」
クラスのオナゴどもに無理やり茶道部に入れられ、1日で脱走したが・・
余計な事は言う必要もない。
疑惑の目を向けながらも・・奴らはついて来た。
まあ、野人を手本にやれば恥をかくことなどない。
続く・・
野人珍話列伝 フン戦記1
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野人珍話列伝 禁断の観音崎3
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小田原家庭裁判所 バイクと野人