母ちゃんの究極の杖術 2 | 野人エッセイす

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母の杖を持つ両手の位置は理に適い、達人の域だ。

持ち方も左右交互で棒術の基本をわきまえている。

細い枝先のほうは垂直歩行に丁度良い長さで、太く丈夫な方は相当余っている。

「分不相応」と言ったが、左右バランスがとれているから重さは苦にはならない。

足運びは武術の理に適いブルースリーそっくり、さらに杖の曲がった先で軽く体を支えながら歩いているのだがその範囲は広い。

前にバランスを崩しそうになれば、左手を引くと同時に右手を突きだせば前の杖になり、

後ろにコケそうになればその逆、両手をテコのように素早く動かせば力もいらず大きく体が傾くことはない。

右、前、後ろには最初から大きくバランスを崩すことがなく、崩しても一歩踏み出せば済むから左に集中すればよい。

驚いたのは杖を立てるのではなく、綱渡りに使うバランス棒のように常に斜め45度前後を保ち続けていたことだ。

肩幅よりやや広く上下から棒を持ち、斜め45度に構えるのは野人のスタイルではないか。


弱点の左にバランスを崩しそうになった時、母の技の理を見た。

杖を持ったまま右手を体の中心に移動、左手をするりと右手のほうへ寄せて、弧をかくように太い根元を地につけたのだ。

重く丈夫な太いほうだから、支点を移動して杖のバランスを変えれば自重で素早くストンと落ちる。

さらに寄せた両手を円を描くように軽くこねると落下速度は増す。

体の傾きが少ないうちに両手で支えるのだから苦にもならない。

両手が揃うのは左に傾いた時だけで、常に同じ構えを保ち続けた。

母はいつでも左の重いほうをストンと落とせる格好で歩いていた。

太い方は傾いた体をしっかり支える目的、折れやすい細い方は常に垂直を保つ補助として使っている。

即効で簡単にやってのけるのは神がかり的な宇宙人としか思えんが、杖よりもか細い手をした90歳のバアちゃんなのだ。

思わず・・「う~~む・・」と唸って感心した。


続く・・


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