タケノコの知恵 2 | 野人エッセイす

野人エッセイす

森羅万象から見つめた食の本質とは

2mを超えるタケノコの先端のアクが抜けて来る理由はそう難しくもない。

アクが抜けて生で食べられるのは先端であり、他は普通のタケノコと変わりない。

どんな植物も生長点である先端は柔らかくアクもなく食べやすい。

しかし、この生長点を摘まれたり動物に食べられたりすれば成長が止まり、あらたな新芽が必要になる。

出来るだけ早く他同様に程々にアクを持つ正常な葉や茎にしなければならない。

甲羅の役割を持たない脱皮したばかりの甲羅の柔らかいカニのようなものだ。

すべての動植物が持つ皮脂だけでなく、アクも甲羅もトゲも毒も進化した防御の形なのだ。

ヤマウドもタケノコもそうだが、土中にあるうちはアクも少ないが、空気や光に触れて外敵に晒されるようになるとアクが出て来る。

多くの植物は枝葉を出し、生長点を分散することで致命傷を負うことを防いでいる。

タケノコのように「一点集中」、一気に数mの高さまで伸ばす道を選んだ種にとって、生長点を傷つけられることは致命傷になる。

一気に数m伸ばすと言う桁外れの道を選べるのは、自らの驚異的な生命力を熟知しているからに他ならない。

竹の生命力は地球の植物の中では驚異的で人知を超えた例外、知恵もまた同じで、その解明は野人のライフワークになっているが、一般的な竹の活用ではなく、この知恵とエネルギーなのだ。

何故竹にあのような節があり、空洞構造になっているのか、いまだ研究途中だが、構造力学上から見ても、植物成長の仕組みから見ても完璧であり、高層建築技術も遠く及ばない。

人知が逆立ちしても敵わない技術は、「無から有を生み出す」と言う植物族のメカニズムであり、今の科学で言うなら「魔法」のようなものなのだ。