珍話列伝 真実一直線路2 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

「おい・・このマラソン順位がそのまま体育の成績、知っとるか?」


「なんじゃ~? そりゃあインチキじゃ、知らん」


このまま行くと体育は間違いなくランク「1」ではないか、小学校から続いた誇りに傷が付いてしまう。

確か前年、この体育教師はサッカーの蹴ったタマの飛距離で成績を付けた。

その時はダントツの飛距離で事なきを得たが、今回はこれだ。

こんな目に遭うのはこの教師の担当クラスだけ、だいたいハイライトで青少年を勧誘、試合に出させようとする御仁なのだ。

文句を言ってもどうなるものでもなく、状況を覆すしかない。

誇りを守るのも男として生きる為、そう自らに言い聞かせた。

ピンチに立つと野人の思考はフル稼働、眠っている脳も目覚める。

頂上から海を見下ろすと、曲がりくねった道を下りる無数の学生達が場所により見える。

この狭い山道を下りれば40分以上はかかるだろうし、ごぼう抜きも難しい。

そして瞬時に出た答えが「真実一直線作戦」だった


「おい 先に行くからな」 と・・

2人に言って森に突っ込み山を一直線に駆け下りた。

背中から「え~~?うらぎりものおお~~!」と言う罵声を浴びながら。

一直線に走れば10分程度の距離で、しかも下りだから楽ちんだ。

デメリットは道が無いと言うだけだが大した問題ではなく、逆にメリットが大きい。

よ~く考えてみなさい、物理的に・・・

山の下り道は足腰に負担がかかり非常に疲れる。

木々の中を進めば「手すり」だらけで体重を預けられるぶらさがり健康法だから疲れず、しかも距離がはるかに短縮される。

つまり重力に逆らわず、曲がった道を直線にして手すりを利用すればよいのだ。

体に勢いがついて急には止まれないが、反射神経さえあれば最低限の体さばきで済む。

戦国の忍者だってやっていた単純な技だ。


この方法を「ワープ下山走法」と・・・言う。


続く・・