野人がやろうとしていることは茶の販売だけではなく、茶畑の再構築まで手掛けようとしている。
茶栽培の在り方が問題であり、野菜畑同様、地下水、河川、海の汚染の原因となっている。
田や果樹園も同じで表土を破壊して肥料や薬物を投入すれば同じ事になる。
果樹園でも草の除去の為に表土を耕したり除草剤を使ったりしなければ影響は少ない。
サトウキビやパイナップルを始めとする熱帯地方の農業の在り方も同じで、肥料薬剤だけでなく赤土の流出が珊瑚にダメージを与え続けている。
珊瑚の白砂が茶色っぽく変っているのはそれが理由だ。
野菜畑の協生農法から始めたが、サトウキビ畑も茶畑も他の果樹園も田も、いつかはやらなければならなかったことだったのだ。
その茶畑がサトウキビと時期を同じくしてやってきたから再生を引き受けた。
田も植林もいづれは手掛けることになるだろう。
マリーナ、レストラン、水産加工に加え、狩猟民族として最後までやりたくなかった畑を手掛け、野菜を売り、サトウキビ畑、茶畑を手掛け、砂糖と茶の販売まで足を突っ込んだ。
さらに荒廃したミカン山の再生をきっかけに果樹園までやろうとしている。
さらに麦などの穀物、米、畜産、養鶏、林業と続くだろう。
つまり、農業関係すべてに関わるつもりだ。
これは幅広く多角経営したいからではなく、表土の再生と継続可能な農業のモデルを作ろうとしているからで、それぞれ一ヶ所だけで十分だ。
理論だけではなく実際にやって証明しなければ波及などあり得ない。
理論、実践、商品化、販路の開発はこれからも限りなく続く。
今の仕組みは、学者、農家、企画、流通と分業だが、まったく噛みあわず、専門家の分業が負の遺産をもたらしたとも言える。
前回に世界的な森林の減少の記事を取りあげたが、日本の山はもはや健全な森林とは言えず、放置された植林で表土は荒廃、自然林はわずかになってしまった。
緑を大切に、植林を・・と言う考えは半分間違っている。
「何の為に」と言う明確な目的と大地と生命の循環の仕組みを知らずして答えは出せない。
場合によっては生態系を壊す結果になり、公園などがよい例で人工林と変りない。
平野は田畑で埋め尽くされ、近代農法による表土破壊で川や海は悲鳴をあげている。
平野も山も破壊することなく生態系を取り戻し、人がその中で暮らしを営んで行ける仕組みの構築はどうしても必要なのだ。
何の問題もなくやれることはわかっているのだが、時間と労力を要する。
自然界に障害はなく、人間が築いた常識が最大の壁になるだろう。
協生理論は農法を始めとするあらゆることに応用可能だ。
読者には、推移を見守り数年後の結果を見届けてもらいたいと思っている。