深刻な世界的森林減少 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

昨年の秋の毎日新聞の記事を紹介する


 世界で森林消失による経済的損失は、年最大4兆5000億ドル(約370兆円)になることが、国連環境計画(UNEP)などの分析で分かった。20日、名古屋市で開催中の国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10=名古屋会議)で発表した。他にサンゴ礁や昆虫の授粉などがもたらす効果も試算した。名古屋会議では生態系保全の国際目標の合意が焦点になっており、試算は今後の交渉に影響を与えそうだ。

 現在、日本の面積を上回る40万平方キロの原生林が毎年減っている。森林は木材を供給したり災害を緩和する。そこにすむ動植物は医薬品のもとになる。このため、森林消失で年2兆~4兆5000億ドルの損害をもたらすと試算。保全に年450億ドルを投じれば、年5兆ドルの利益が返ってくると推計した。

 サンゴ礁は、100万~300万種の魚の生息地で、沿岸や島にすむ3000万人が食料や収入源として頼っている。地域に最大で年1720億ドルの利益をもたらすと見積もった。昆虫による授粉効果では、代わりに人が作業した場合の人件費などを考慮すると、年1530億ユーロに達した。また、生態系悪化は、農林水産業に依存している途上国の貧困層を直撃すると警告した。

 さらに、環境に配慮して生産された農産物の市場規模は20年までに2100億ドルになると見込んだ。
会見した分析責任者のパバン・スクデフ氏は「政府や企業は自然の価値を知り、従来の政策や方針を見直してほしい」と語った。